34-18009
商品番号 34-18009

通販レコード→独ブルーライン盤
抒情的な部分での繊細な表現力は素晴らしい聴きもので、その妙演に長年の手兵であるバイエルン放送交響楽団も見事にこたえている。 ― ラファエル・クーベリックには「その音楽は概して中庸で、素朴な味わい云々」といった評が付いてまわる。商業録音の成果に関して多く言われていたことで、音楽的特質においてクーベリックは一種フルトヴェングラー的な気質を持っていたとされ、個性的だが、あざとくないアゴーギグ。例え方を変えれば、演歌すれすれの泣き節。激しくも気高い情熱。心憎いまでの絶妙な間の取り方。そしてオーケストラとの阿吽の呼吸。ザックバランな言い方をすれば、ぶっ飛び破廉恥演奏ではないが、間違っても退屈な優等生演奏ではない。かえって要所要所で「おっ、おぅっ」と仰け反らされるテクニシャン。とはいえ、それも絶対的な安心感で身を任せていられる。全体的に湧き立つような早めの推進力のあるテンポが採られ、その中で野卑にならないギリギリのところで見事な緩急が付けられています。細部の彫琢は入念に整えられており、ちょっとした打楽器や木管のアクセント一つが意味深く響き、対旋律が埋没することなく絶妙なバランスで引き立つよう目配りされている。熱狂と哀愁とが絶妙に交錯する作品の本質を、あくまでも自然な流れの中で描き出す手腕は全盛期のクーベリックならではといえるでしょう。1973~1976年、ミュンヘン、ヘルクレスザールにおけるステレオ録音。ドヴォルザークの管弦楽曲というと『スラヴ舞曲』ばかりが取り沙汰されますが、一連の交響詩群もダイナミックな迫力と美しい旋律の双方を満たす親しみやすい作風なので、この作曲家の交響曲がお好きな方は聴いておいて損の無い作品が目白押しともいえる状態です。特に、このアルバムにおけるクーベリックの演奏は、たいへん優れた演奏として評価の高いもので、描写的性格はもちろんのこと、音響面での充実振りもかなりのものです。本盤は《水の精》、《真昼の魔女》と《交響的変奏曲》。1973年4月16日、まだ43歳でイシュトヴァン・ケルテスがテル・アビブの海岸で遊泳中に高波にさらわれ行方知れずとなったことで、1973年12月に『スラヴ舞曲集』を録音し、フルトヴェングラー、カラヤン、ベーム、バーンスタインといったレコードでの人気指揮者が全曲盤を残さなかったにもかかわらず、LP初期から定盤とされる録音に恵まれてドヴォルザークの序曲と交響詩全曲を完成しました。クーベリックはチェコの人々にとって『スラヴ舞曲集』は極めて神聖な音楽であると語っていた。本盤をはじめ、指揮者とオーケストラが作品を知り尽くし文字通り一体化していることが判ります。
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録音は1950年代からミュンヘンの録音会場として使われ、その優れた音響で知られるヘルクレスザールで行なわれました。後の1986年にガスタイク・フィルハーモニーが出来るまではバイエルン放送交響楽団の定期演奏会も、すべてここで開催されていました。1800人以上を収容できる典型的なシューボックス形式のホールで、細部をマスクし過ぎない適度な残響感、高音域から低音域までバランスのとれた響きの2点で、録音には最適であり、マウリツィオ・ポリーニも好んでそのソロ録音をここで行なってきました。ドイツ・グラモフォンによるクーベリックとバイエルン放送交響楽団の録音も一部を除いて、このホールで行なわれており会場の特性を知り尽くした安定感のあるバランスが聴きものです。ドイツ・グラモフォンならではのオーケストラ全体を俯瞰できるサウンドの中で、木管や打楽器など重要なソロ・パートが適度な明晰さを持ってクローズアップされています。楽器配置はいつもながらのヴァイオリン両翼型で、弦楽セクションの動きの激しいドヴォルザーク作品にはまさにうってつけ。立体感充分の音響面での成果は、ヴァイオリン・パートを左右に分ける配置が功を奏しています。
ドヴォルザークは、チェコの国民的な詩人カレル・ヤロミール・エルベンの「花束」という詩集の中のバラードにインスピレーションを得て4曲の交響詩を1896年に立て続けに作曲している。本盤は、その前半2作品を第1面に収録。同時録音した「金の紡ぎ車」と「野ばと」は同時発売(2530 713)された。「水の精(Vodník)」作品107、B.195は1896年1月から2月に作曲された。1896年6月3日プラハにてアントニン・ベンネヴィツの指揮により初演された。「ある娘が親の反対を押し切り、水界の王と結婚し子供をもうけた。ある日、人間の歌を歌って子供あやしていると王にひどく叱られた。妃は里帰りさせてほしいと懇願して許され親許に帰るが、母親は娘を水王のところへ戻そうとしない。妃が約束の時間までに帰らないので実家の前まで来た水王は怒って嵐を起こす。その最中に大きな物音がしたので娘が戸を開けてみると、我が子が首を切られて捨てられていた。」というストーリーを持つ。「真昼の魔女(Polednice)」 作品108、B.196は1896年1月11日から2月27日の間に作曲され、初演は1896年11月21日ヘンリー・ウッドの指揮によりロンドンで行われた。物語は、魔女が自分の悪口を言った母親に復讐するために子供を殺すという話。クラリネットで演奏される「子供の主題」とヴァイオリンで演奏される「母親の叱責の主題」が展開・変奏されて行き、それぞれ「魔女の主題」、「魔女の踊り」へと変容してゆく構成になっている。レオシュ・ヤナーチェクはこの作品を大変に気に入っており、絶賛する評論を書いている。本盤第2面は「交響的変奏曲」作品78、B.70は1877年に作曲された作品で、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」の影響が指摘される作品。しかし、その変奏曲は民俗色の豊かな作品で多彩な変奏技法が凝らされたドヴォルザークの変奏曲中最も優れた作品である。初演は1877年12月2日、ルデヴィート・プロハースカの指揮により行われた。
1974年6ミュンヘン、ヘラクレス・ザール録音。
DE DGG  2530 712 ラファエル・クーベリック ドヴォル…
DE DGG  2530 712 ラファエル・クーベリック ドヴォル…