34-19176
通販レコード→DE SILVER WITH BLACK LETTERING 見開きジャケット

DE ARCHIV 413 094-1 ミルシテイン/フルニエ/セルシェル バッハ・器楽作品集

商品番号 34-19176

格調の高さ・気品 ― 「ようやくバッハ無伴奏の本命に出会えた」と感じた。

その流麗且つ気品溢れる演奏スタイルから「チェロの貴公子」と呼ばれ、20世紀の名チェリストとして名を馳せたピエール・フルニエ(1906〜1986)。彼の数々の録音のなかでも特に名盤の誉れ高い、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲。

再び、ピエール・フルニエによる無伴奏チェロ組曲の演奏を聴き、「ようやくバッハ無伴奏の本命に出会えた」と感じた。この曲を鑑賞する上での大前提として、耳にする機会のあまりにも多いパブロ・カザルスにはじまり、ヤーノシュ・シュタルケルを音楽教室の音楽担任のコレクションで聴き、個人的に最初のコレクションとなったのはミーシャ・マイスキーと、いくつかの録音を聴いてきたが、曲の中で深呼吸できるような落ち着いた演奏は、これが初めて。最初に聴いたフルニエが、どの録音時のものかはわからないけど、今まで聴いてきたものはそれぞれ工夫と意匠を凝らしていることは感じるが何やらスムーズにサラサラ流れていく。その点でカザルスはゴツゴツ野太いのと、普偏盤なのですが。バッハの楽譜に対峙しているという印象がぬぐえず、バッハの遊びに浸りたいという気になれなかった。それでも、演奏の多様性を可能にするバッハの奥深さと難しさは考えさせられます。

フルニエの無伴奏はというと、変に考えさせずにバッハの音楽に身を浸すことができると感じている、さっぱりとして、同時に温かみのある演奏です。彼がギターの巨匠セゴヴィアに影響を受けたと言っていることが意外ですし、大変興味深い話です。

フルニエが音楽の特質を大事にし、それを損ねないようにしながら自らの芸風を存分に発揮していることは一聴すれば直ちに気づくことが出来ると思います。そこがフルニエを聴く要素の強い演奏ですが、聴き逃すことのできない演奏であることは確かだと思います。フルニエは実に上手い。

しかも彼の特質、迫力あるロングトーンや豪快なボーイングによって聴き手を圧倒するのではなくて、密やかな静けさや、チェロ独自のなんかまろやかな美音を味わうものとなっている。すなわち格調の高さ・気品は一貫して保たれており、それが本盤の独自の存在価値になっているように思います。

いくつかあるフルニエの「無伴奏チェロ」の中でも演奏・音質の両面で最高傑作。何度も再販され、LP、CD、SACD、復刻LPやハイレゾ配信まで発売されていることが、時代を超越したフルニエの名演奏とその録音の優秀さを証明している。


盤史屈指*飛翔感と空気を裂くような美音の渦 衰えた技巧家が行き着いた精神性 ― 永遠に受け継がれるレジェンダリーパフォーマンス。

ナタン・ミルシテインが69歳の時に録音した自身2度目となるバッハ無伴奏全曲です。

20世紀に活躍したロシア出身の名ヴァイオリニストの中でも指折りのテクニシャンとして知られたミルシテインですが、ドイツ・グラモフォンに録音したステレオ録音の本盤は、端正な表現からにじみ出る清新な詩情、あくまで落ち着いた身振りの中にも感じられる厳しく気高い姿勢など、この作品が求める美と精神性をもっともバランス良く実現、最初のフレーズが鳴った瞬間から聞き手に緊張を強いる凛と張り詰めた艶やかで怜悧な音色。この音色で、この難曲をかっ飛ばして行く、その水際だった技巧の冴えは剣豪の太刀さばきのように凄まじい。もう言葉が出ない。1954年~56年のモノラル録音と並び、不朽の名盤としてゆるぎない評価を得ています。

血の滲むような研鑽を天才に強いる曲ながら、極めて清潔でありながら渋み溢れる演奏で、むろん綺羅星のごとく名盤は存在する曲だが、50年聴き続けても聴く度に凄い、と思うこの曲の第1位にあげる評論家もいるほどの名盤。録音も優秀。1973年の録音ながら過度に Hi-Fi 調にならないのも DEUTSCHE GRAMMOPHON のこの曲への見識で落ち着いた感じの決して金属的にならないヴァイオリンの音を聴かせてくれます。


11弦ギターの響きに浄化される ― 瑞々しい感性が充溢するイェラン・セルシェルのバッハ演奏

イェラン・セルシェル(Göran Söllscher)は、スウェーデン出身のクラシック・ギター奏者。ヨハン・ゼバスティアン・バッハからビートルズまで幅広いジャンルの音楽を解釈し、演奏するのが特徴。11弦ギターの演奏家のひとりでもある。セルシェルが11弦ギターという今まで誰も見たこともない楽器を駆使し、パリ国際ギターコンクールで優勝した時はギタリストみんなが驚愕しました。このギターコンクールでは多くの有名な演奏家が1位をとっております。今は亡き天才ギタリスト渡辺範彦、16歳の若さで優勝した山下和仁、トリビオ・サントス、福田進一など世界を代表するギタリストが出ています。そして11弦ギターが売れまくりました。低音の処理がほとんどリュート原曲と同じように取れる魅力は6弦ギターで演奏する時の不満を解消してくれます。 聴くのが一番。心地よい響きがたまらない。

バッハをギター的に弾くな! ― そのような批難の声もあるようだが、リュートのためにバッハが作曲した音楽を、ギターで演奏している。1981年から84年にかけてのデジタル録音。バッハなどバロック音楽は古楽器で演奏するのが正しいとメディアがメガホン気味だった時代。ピリオド楽器演奏が盛り上がるのはこのあと。セルシェルの手によるバッハの11弦用編曲が数多くあり、録音もどれも珠玉の名演。彼が録音に踏み切ったのは、バッハ自身が自作のヴァイオリンやチェロのための作品を、リュート用に編曲していたという事実に勇気づけられたことにも寄ると言う。僅かな反復部の変更と演奏上の移調を除くと、セルシェル自身の音譜の改変は殆どない。

セルシェルの演奏は、バッハのポリフォニックな声部の動き方が腹にストンと落ちます。尖った音やどっかに流れて行ってしまうところが無く、それぞれの旋律が独立し、拍を良い具合に踏み込んで、聴き手の四肢を確実に捉えながら流れていく感じ。

ひたすら淡々と水のごとく音が流れるバッハであり、1音1音が川の中の小石のようなコリコリした音で奏でられる。その意味で環境音楽に近く、バッハに違うもの、例えばセゴビアのようにメロディを、シゲティのように精神性を求める向きには不向きかもしれない。ユングヘーネルらのリュート演奏も悪くはないが、日常の中でふと聴きたくなるのはセルシェルの演奏になる。スウェーデン生まれのセルシェルの音は、生粋の『北欧の音色』とでも表現できるかもしれない。

セルシェルの素晴らしさの特色は、弦を弾く際の雑音と左手のコード進行の音が殆どしない。ギター演奏者がもたらしがちな、押し付けがましさが全く無く、逆に聴く者に静寂の中の限りないイメージ性の広がりを与えてくれる。11弦ギターの特性もあってバッハのポリフォニックな音楽を存分に楽しめる。当時まだまだメジャーだったスパニッシュでラテン的なクラシックギターの独自の音楽表現とは隔絶していて、いわゆるギター的な表現や音色感ではなく、器楽としてきわめて普遍的な演奏を繰り広げている。こうした演奏なら他の楽器を弾く人が聴いても違和感はまったくないだろう。具体的には、安定したテンポとしっかりした拍節感、不要なスラーやポジショニングの排除、均一な音色…そうした要素が奏功している。実に端整な演奏だ。大事なのは音楽だ。だから全身を委ねられる。11弦ギターの響きに浄化されるためのレコードです。


  • Record Karte
  • ヨハン・セバスティアン・バッハ/
    ギターのためのフーガ ト短調、組曲ハ短調、プレリュード ハ短調 ほか
    無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ第1番~第3番
    無伴奏チェロ組曲第1番~第6番
    演奏はそれぞれ/
    イェラン・セルシェル(ギター)
    ナタン・ミルシュタイン(ヴァイオリン)
    ピエール・フルニエ(チェロ)
    半世紀以上前の録音ですが昨日録音したような新鮮さ、優秀録音。1960年(チェロ組曲)、1972、73年(無伴奏ヴァイオリン)、1981、84年(ギター)の録音です。
関連記事とスポンサーリンク
商品名DE ARC 413 094-1 ミルシテイン/フルニエ/セルシェル バッハ・器楽作品集