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2022.10.24-30

クラシック音楽365日

大作曲家の生没日。名曲のゆかりの日。

10/26

バロック時代の作曲家、ドメニコ・スカルラッティが生まれた日(Giuseppe Domenico Scarlatti, 1685年10月26日〜1757年7月23日)。バッハやヘンデルも同年に誕生している。有名な作曲家であるアレッサンドロ・スカルラッティの子として、ナポリに生まれた。スカルラッティ家はバッハ家やクープラン家と同様の音楽家の一族だった。バッハ家は20人兄妹の大家族で、男子8人は長じてドイツ各地の王侯貴族のお抱え作曲家におさまったが、スカルラッティ家、10人兄弟の6番目の子だったドメニコは、15歳でナポリの教会付き作曲家兼オルガン奏者に就任した。が、20歳になると父の命令によってヴェネツィアに移ったが、この4年間は謎に包まれている。ヴェネツィアでスカルラッティが何をしたかは伝わっていない。再び姿を表すのは、1709年からローマに住み、同地に当時亡命していたポーランド王妃マリー・カジミールの音楽監督の職を得たことである。このローマ時代にはヘンデルとチェンバロおよびオルガンの腕前を競い合ったという逸話がある。チェンバロの勝負においては二人の差はなかったが、オルガンの勝負では明らかにヘンデルが勝っており、スカルラッティもそれを認めたという。その生涯の創作についてはオペラや、また総数がおよそ555曲とも言われる、チェンバロ・ソナタを作曲したことで知られる。そのチェンバロ曲の殆どは、公共の場で演奏されるためのものではなくて、一人の若い女性のために作曲されたものだった。その女性の名は、マリア・マグダレーナ・バルバラ。8歳になる、ポルトガル王女だった。彼女の音楽教師に呼ばれた作曲家は34歳だった。10年の時が流れ、王女はスペイン王家に嫁ぎ、女王になる。


10/28

チャイコフスキー 最後の交響曲、第6番「悲愴」がサンクトペテルブルクで初演された日(1896年)。演奏は作曲家自身の指揮によって行われたが、悲しいことに、チャイコフスキーはその後すぐに世を去ることとなった。作品の出来栄えには本人もとても満足していたようで、自身の最後の交響曲となった。


10/29

モーツァルトのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》がプラハで初演された日(1787年)。前作、《フィガロの結婚》がプラハで大盛況だったことを受け依頼され、作曲に至った。映画「プラハのモーツァルト」のメインプロットになっている、当時の貴族社会の闇とも言える裏側。今ならゴシップものながら。数え切れないほどの女性遍歴を持つプレイボーイ、ドン・ジョヴァンニを主役に、彼がある出来事がきっかけとなり徐々に追い詰められていく様子を様子を描く。とはいえ、スポンサーは貴族たちであるので、上演が禁じられない程度にオブラートで包んでいる。モーツァルトに続く、ロッシーニの時代まではオペラの序曲は使い回すことも当たり前で、オペラ本編のメロディーを序曲で先に聴かせておくヴェルディのスタイルは更に時代が下がってのこと。「フィガロの結婚」序曲が代表するとおり、モーツァルトのオペラの序曲は簡潔で、幕開けの期待を高める効果を目的としていることなどは、ロッシーニ同様だが、「ドン・ジョヴァンニ」の序曲はシンフォニックだ。当初このオペラには序曲はないとオーケストラに伝えられていたが、初演当日に急遽作曲された。その序曲は、「プラハ交響曲」と同じ旋律を持つ。その意図するものは。序曲に込めた、モーツァルトの思いは。序曲が終わると、拍手が起こって、幕が開くとドン・ジョヴァンニに恨みを抱く登場人物が一同する。このオペラのドラマとしての完成度を高めるために、ウィーン版では明確な意図を持って叙情的なアリアの追加がされたが、騎士長が殺害された経緯などは憚れるとばかりに、プラハ版では触れられずに。衝撃的なラストまでスピード感をもって展開していく。


10/30

フランスの詩人、アンドレ・マリ・シェニエが生まれた日(1762年)。後にロマン派のイタリア人作曲家、ウンベルト・ジョルダーノがシェニエの半生を題材にしたオペラ「アンドレア・シェニエ」を作曲したことで、現代でもその名が知られる。シェニエはフランス革命の頃に活躍するも、恐怖政治が終わる3日前に「国家反逆罪」で斬首刑された。そうした背景から、既存の戯曲があるようなものではなく、台本作家ルイージ・イッリカ(後にプッチーニの数々の名作オペラを手がける)がジュール・バルビエ『アンドレ・シェニエ』、ポール・ディモフ『アンドレ・シェニエの生涯と作品』などを参考に、台本を執筆し、実在のシェニエが詩人でもあったので、彼が綴った詩をもとにアリアの歌詞を書くなど、シェニエの詩歌作品も丹念に研究して仕上げた。オペラでも、シェニエの詩と人柄に恋をした貴族との悲しい恋物語が描かれる。実在のシェニエが残したコワニーという美女について綴った詩から自由にイメージを膨らませて、シェニエの恋人マッダレーナ・ディ・コワニーのキャラクターを創造したり、またシェニエに対抗する立場の役として架空の人物カルロ・ジェラールを設定するなど、物語に歌劇的な興趣を盛り込むべく、フィクションもふんだんに取り入れた。

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スカルラッティ:ソナタ選集
ロス(スコット)
ワーナーミュージック・ジャパン
2000-06-21




チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック
2017-11-22


モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(全曲)(SACDシングル・レイヤー)
ジュリーニ(カルロ・マリア)
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-06-28




ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェニエ」
ジュゼッペ・モレーシ
ユニバーサル ミュージック
2019-10-23


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