10月12日

サントリーホールが開館した日(1986年)。東京初のコンサート専用ホールとして、〝世界一美しい響き〟をめざして設計された。消え入るようなピアニッシモの響きをホールの隅々まで伝えるため、客席配置をヴィンヤード(ぶどう畑)型とし、カラヤンは後に、「まるで音の宝石箱のようだ」と感想を述べたとも言われる。その形状は演奏するアーティストと聴衆の一体感を生み出す役割を果たしている。
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通販レコード→DE TULIP ALLE HERSTELLER 盤, MONO 7枚組

DE DGG KL33/39 カラヤン ベルリン・フィル グンドゥラ・ヤノヴィッツ エーベハルト・ヴェヒター クリスチャン・フェネス ブラームス:交響曲全曲/ヴァイオリン協奏曲/ドイツ・レクイエム/ハイドン変奏曲

  • 1963年~64年の優秀録音。布張りボックス入り。
  • 独語リーフレット、愛蔵家ナンバーカード付きです。

フルトヴェングラーの亡霊を祓いされ

カラヤンはベルリン・フィルと共に1960年代、70年代、80年代と3度のブラームス交響曲全曲録音を遺しています。いづれも甲乙のつけがたい名盤ですが、とりわけ1960年代の全集録音は、古き良きベルリン・フィルの魅力を存分に感じ取ることが出来ます。本セットは7枚組、その最初の1960年代後半の交響曲全集に、ドイツ・レクイエム、名盤の誉れ高いクリスチャン・フェラスとのヴァイオリン協奏曲、ハイドンの主題による変奏曲を加えた、ブラームスの大曲を網羅した全集です。

カラヤンは特にブラームスの交響曲の1番を得意にしていたらしいが、カラヤンのブラームスはかなり演奏回数が多いが、とくにブラームス1番は『新編・名曲名盤300』(音楽之友社刊)でも同曲のベストディスクにとりあげられています。若い頃からすでに大家に勝るとも劣らない才能があった事を思わせる完成度の高い演奏ですね。カラヤンの数多いレコード全集中ベストであるばかりでなく、すべてのブラームスの第1番の中でも注目すべきものといえましょう。第3楽章の味わいは、評価の高い後年の演奏が優れているが、冒頭のフレーズが鳴り響く直前の緊張感が伝わるような第1楽章始め、第2楽章、第4楽章はこちらを好む。ドイツ色の強い当時のベルリン・フィルの音色がブラームスにマッチしており、曲の良さを実感させる。楽器のバランスも見事で、木管群の表情も素晴らしい。フィナーレの歓喜の歌に似たテーマの幸福感溢れる歌い方も比類ない。わたしはそれぞれ、全てが好きで、3種類ある録音を組み合わせて、その日の気分で楽しんで聞いて遊んでもいる。そして、最後の来日公演より5ヶ月後のこと。楽壇の帝王死の9か月前の演奏となったのが、カラヤンの十八番「ブラ1」でした。カラヤン最後のロンドン公演は、パリからの荷物が遅れて、開演は1時間後に迫っていた、そんな中でリハーサルもなしでぶっつけ本番。異様な緊張感の中で始まったコンサートのなんと神がかりなことか!こんなに重厚かつ流麗な演奏は、彼らにしかできない。

 自然体のカラヤンの美学が感じられる。

日本は春から新年度ですが、冬からシーズンが始まる西欧において、ブラームスの4つの交響曲は〝冬〟から〝春〟、〝夏〟を経て〝秋〟までの一巡として聴くことが出来る。つまり第1楽章を第4番、第2楽章を第2番、第3楽章を第3番、第4楽章を第1番にすると、素晴らしい一つの交響曲が出来るのではないだろうか。
晴朗な叙情性と豊かな楽想に溢れる第2番は避暑地ベルチャッハで作曲され、その牧歌的な曲調から〝ブラームスの田園交響曲〟とも言われている。ブラームス44歳の時のこと。素朴だからといって単調なわけではなく、情緒豊かな一面があり、聴く者を音楽に引き込んでいきます。オリジナリティのある旋律をつくることに苦しんだといわれるブラームスにとって、あれこれいじくり回すことのなかった第2番は、純粋に彼の心の音楽といってよいものだと思います。1855年から1876年まで約20年間、書いては破り続けた第2番に対して、第2番は翌1877年のたった1年で一気呵成に書き上げてしまった、筆の迷いのない作品だからです。推進力を最後までしっかり保って進んでいく。ブラームスに似つかわしくない華やかで豪華な音色も垣間見れる。華やかで豪華というその点で1978年録音の演奏が、一番成功した演奏になっている。聴き終えての感動を〝爆演〟と一言で表したいが、それは重厚さも威圧感もなく、優美さが支配している。而も横への流れが途絶えない、カラヤンらしさ満載の ― カラヤン美学に忠実な ― 演奏である。ドイツ風の質実剛健さ、武骨さに背を向け、敢えて華麗な音響と流麗な曲作りで押し通した録音で、いわゆるドイツ風の演奏とは対極にあるけれども、牧歌的で美しい曲の性格もあって、曲想的にはこの方法も良く合っていると思える。ブラームスは何も質実剛健さだけが特徴なのではないことを教えてくれる演奏である。
「想い慕っていたクララ・シューマンへの想いを表現したとされる長いホルン・ソロ」を華やかで流麗なベルリン・フィル・サウンドで聴かせてくれるそして限りない憧憬を秘めた第3楽章が映画『さよならをもう一度』で使われ広く知られるようになった、雄渾な楽想が印象的な《交響曲第3番》。そして、一巡の締めくくりに《交響曲第1番》となる。

 帝王

ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、残された録音もSPレコード時代からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。その中でも、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との結び付きがいよいよ強固なものとなり、続々と水準の高い録音が続々と行われた1970年代は、カラヤンの録音歴の中でも一つの頂点を築いた時代といえます。ヨーロッパの音楽界を文字通り制覇していた「帝王」カラヤンとベルリン・フィルと、ドイツでの拠点を失ってしまった英H.M.V.の代わりとなったドイツ・エレクトローラとの共同制作は、1970年8月のベートーヴェンのオペラ『フィデリオ』の録音を成功させる。カラヤンのオーケストラ、ベルリン・フィルの精緻な演奏は、ヘルガ・デルネシュ、ジョン・ヴィッカースの歌唱を引き立てながら繊細な美しさと豪快さを併せ持った迫力のある進め方をしています。有名なベートーヴェンのオペラが、ただオペラというよりオラトリオのように響く。カラヤンは1972~76年にかけてハイドンのオラトリオ『四季』、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、さらにベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』という大曲を立て続けに録音しています。ドイツ、オーストリアの指揮者にとって、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスは当然レパートリーとして必要ですが、戦後はワーグナー、ブルックナーまでをカバーしていかなくてはならなくなったということです。カラヤンが是が非でも録音をしておきたいワーグナー。当初イースターの音楽祭はワーグナーを録音するために設置したのですが、ウィーン国立歌劇場との仲たがいから、オペラの録音に懸念が走ることになり、彼はベルリン・フィルをオーケストラ・ピットに入れることを考えました。カラヤンのオペラにおける英EMI録音でも当初はドイツもの(ワーグナー、ベートーヴェン)の予定でしたが、1973年からイタリアもののヴェルディが入りました。英EMIがドイツものだけでなく、レパートリー広く録音することを提案したようです。



この1970年代はカラヤン絶頂期です。そのため、コストのかかるオペラ作品を次々世に送り出すことになりました。オーケストラ作品はほとんど1960年代までの焼き直しです。「ベルリン・フィルを使って残しておきたい」というのが実際の状況だったようです。この時期、新しいレパートリーはありませんが、指揮者の要求にオーケストラが完全に対応していたのであろう。オーケストラも指揮者も優秀でなければ、こうはいかないと思う。歌唱、演奏の素晴らしさだけでなく、録音は極めて鮮明で分離も良く、次々と楽器が重なってくる場面では壮観な感じがする。非常に厚みがあり、「美」がどこまでも生きます。全く迫力十分の音だ。ベルリン・フィルの魅力の新発見。そして、1976年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から歩み寄り、カラヤンとウィーン・フィルは縒りを戻します。カラヤンは1977年から続々『歴史的名演』を出し続けました。この時期はレコード業界の黄金期、未だ褪せぬクラシック・カタログの最高峰ともいうべきオペラ・シリーズを形作っています。カラヤンのレコードでは、芸術という大目的の下で「人間味」と「完璧さ」という相反する引き合いが、素晴らしい相乗効果を上げる光景を目の当たりにすることができる。重厚な弦・管による和声の美しさ、フォルティシモの音圧といった機械的なアンサンブルの長所と、カラヤン個人の感情や計算から解き放たれた音楽でもって、音場空間を霊的な力が支配しており、聴き手を非現実の大河へと導く。


ピュアナチュラルなオーディオ装置で堪能したい、美しい音量の均等化を成した録音。

ベートーヴェンの第九からの時をカウントするティンパニの後、ハ音の重低音が物凄い音圧で腹に響きます。本気になったベルリン・フィルの音は、とにかく音波の振幅がとてつもなく大きいのが特徴です。このブラームスは、どこがどうということはなく、磨き抜かれた美音とフォルテシモの強烈な威力で形どられた生々流転のドラマ。ごつごつせず只管、流麗に音楽の内包する摂理にのって流れる、一流の演奏だけが持つ輝きとオーラを放って見事に全体の均整がとれた《交響曲第1番》を聴かせます。ギュンター・ヘルマンスは〝カラヤンの耳を持つ男〟と言われ、カラヤンの絶大なる信頼のもとに、彼の録音のプロセスを行ってきました。カラヤン専属録音技師。カラヤン晩年の映像作品「レガシーシリーズ」を録画した、テレモンディアル社の録音も手がけた、レコーディング・エンジニア。ドイツ・グラモフォンのトーンマイスター。カラヤンとベルリン・フィルの来日に伴って来たときなど、マイク、スピーカー、ミキサーは日本で用意させ、パワーアンプだけ持って来たとのことです。重低音にこだわっていたカラヤンのサウンドに不可欠で、これはアンプは重要だと考えているためでしょう。

フルトヴェングラー時代の余韻の残るオーケストラと、推進力あふれるカラヤンの指揮が見事にマッチ。

1954年にドイツ音楽界に君臨していたフルトヴェングラーの急逝にともない、翌55年にカラヤンは、ついにヨーロッパ楽壇の頂点ともいえるベルリンフィルの首席指揮者の地位に登りつめた。ここで英EMIの親分レッグとカラヤンの関係は終止符を打つが、この約10年間に残したレッグ&カラヤン&フィルハモニアのレコードの数々は、正に基準となるようなレコード であったと断言出来ると思います。
こうして英国で基準となるようなレコード作りをレッグから嫌と言うほど学んだカラヤンは、1959年以降この手兵とともにドイツDGGに膨大な数の基準レコード作りに邁進した。
広く親しまれた名曲を最高の演奏でレコード化することに情熱を傾け続けた彼の姿勢は、このアルバムにも端的に示されています。60年代のカラヤンのものがダントツに面白い。とにかくダイナミックスの幅が広く鮮やかで迫力満点。牧歌的な部分から迫力ある部分まで表現の幅が広く、リズムも引き締まっています。
演奏はオーケストラに合奏の完璧な正確さを要求し、音を徹底的に磨き上げることによって聴衆に陶酔感をもたらせ、さらにはダイナミズムと洗練さを同時に追求するスタイルで、完全主義者だったレッグのノウハウが100%DGGに流出したと言っても良いのでは。出来栄えも隙が無い。DGGの製作人の中で燦然と輝く指揮者としても活躍のオットー・ゲルデス&ギュンター・ヘルマンス製作盤。1960年代の前半の録音で、ベルリンイエスキリスト教会が録音ロケーションになっていました。当時は初期のステレオですが、なかなか臨場感があり、カラヤンも颯爽としたときのもので、 前任者フルトヴェングラーの時代の余韻の残るオーケストラと、推進力あふれるカラヤンの指揮が見事にマッチした演奏です
  • Record Karte
    • 1963年10月(交響曲第1,2,4番)、1964年2月(ハイドンの主題による変奏曲)、1964年5月(ヴァイオリン協奏曲)、1964年9月(交響曲第3番)ベルリン、イエス・キリスト教会での録音。1964年5月(ドイツ・レクイエム)ウィーン、ムジークフェラインザール(楽友協会大ホール)でのステレオ録音。
    • 布張りボックス、ブックレット付属。
    • ドイツ・プレス、最初期レア・ボックスセットです。

レコードの写真

  1. 3721198
  2. 3721199
  3. 3721200
  4. 3721201
  5. KL33

ショップ・インフォメーション(このヴィンテージ盤はショップサイトの扱いがあります。)

  1. 商品番号
    372172
  2. 盤コンディション
    良好です(MINT~NEAR MINT)
  3. ジャケットコンディション
    良好です(ボックスに擦れ、蓋と底の継ぎ目など僅かに傷みあり)
  4. 価格
    27,500円(税込)
  5. 商品リンク
    https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/372172.html
  6. ショップ名
    輸入クラシックLP専門店 ベーレンプラッテ
  7. ショップ所在地
    〒157-0066 東京都世田谷区成城8-4-21 成城クローチェ11号室
  8. ショップアナウンス
    べーレンプラッテからお客様へ
    当店のレコードは、店主金子やスタッフたちが、おもにヨーロッパに直接出向き、実際の目と耳で厳選した、コンディション優秀な名盤ばかりです。国内で入手したものや、オークション品、委託商品はございませんので、安心してお求めになれます。

CDはアマゾンで

ブラームス:交響曲第1番/シューマン:交響曲第1番《春》 (SHM-CD)
ヘルベルト・フォン・カラヤン
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2023-04-12


ブラームス:ドイツ・レクイエム
ウィーン楽友協会合唱団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2009-10-21


ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、ハイドンの主題による変奏曲
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
ユニバーサル ミュージック
2014-05-21


Brahms: The Symphonies
Bpo
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2008-11-18


ブラームス:交響曲第1番&第2番&第3番&第4番
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
Universal Music
2003-09-26


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2008-05-13


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