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DE DGG SLPM139 191 アマデウス四重奏団 モーツァルト/弦楽四重奏曲第16番変ホ長調, ハイドン/弦楽四重奏曲第76番ニ短調「五度」

  • Record Karte
  • DE TULIP, 1966年の優秀録音です。
    • 演奏:アマデウス四重奏団
    • 録音:1966.
    • 曲目
      1. モーツァルト/弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調
      2. ハイドン/弦楽四重奏曲第76番 ニ短調 「五度」

作曲の禁じ手とされる〝五度〟を使った弦楽四重奏曲の極み

― 名門アマデウス四重奏団(Amadeus-Quartett)が、1970年代にレコーディングしたハイドン作品集は機械的で正確なアンサンブルという以上に、4挺の楽器が骨の髄まで溶け合い、何とも親密で流れの良い音楽を紡ぎ上げていきます。最も室内楽の鑑と言うに相応しい録音のひとつでしょう。
1950年代の録音に比べ、1960年代から70年代のアマデウスSQの演奏には一種の鋭さが感じられる。ロマンティックな情感と現代的感覚が有機的に結びつき、弦楽四重奏団としての最高の高みに達していたわけである。このハイドンの弦楽四重奏曲は、名盤の名に恥じぬものだ。

元気を出したいときによく聴く、不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。アマデウス弦楽四重奏団は1948年に結成され、1987年に活動が停止するまで、約40年もの長きにわたり演奏活動を続けてきました。アマデウス四重奏団の演奏は、はじめて聞くアマチュアの演奏に「良い曲だな」と思う時に似ている。そういうところからか何度聴いても、初めて聴いた時の感激と興奮が戻ってくる。常に同じメンバーで、アンサンブルに磨きをかけ続けたアマデウス四重奏団が、晩年に残した珠玉のハイドン作品集。その演奏スタイルは格好良さとは無縁、一所懸命だけど全然厳しくなく、心底アンサンブルを楽しんでいる仲間たちの姿が伝わってきて、とっても微笑ましく音楽を聴く楽しさを享受するのにアマデウス四重奏団とハイドンとの相性は最高です。

良き主に出会い、前半生に身につけたスキルをすべて注いだハイドンの極み。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは1732年に生まれ、1809年に亡くなっています。その77年の生涯は、29歳から58歳までを過ごした30年に及ぶエステルハージ時代を中心に、それ以前とそれ以降の3つの時期に分けて考えることができます。「エステルハージ以前」の28年間は、幼少期の声楽やさまざまな楽器演奏の修行、青年期に入ってからの作曲の勉強により、弦楽四重奏曲を多数作曲したほか、十数名という小編成オーケストラのための交響曲を作曲して指揮するという実地経験により高いスキルを身につけた時期。続く「エステルハージ時代」の30年間は、楽才にも恵まれたニコラウス・エステルハージ候のもと、二十数名規模のオーケストラも常設され、安定した境遇下で膨大な作品を作曲・演奏しています。シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒涛)様式と言われるスタイルが導入され、数多くの交響曲やピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、協奏曲、そしてオペラやオラトリオが書かれたほか、ニコラウス候が熱中していたヴィオラ・ダ・ガンバに似た楽器「バリトン」を主役にした「バリトン三重奏曲」も大量に作曲されています。それに伴い海外での名声も高まって、1780年代なかばからは作曲依頼が舞い込むようになり、『十字架上のキリストの最後の七つの言葉(管弦楽版)』や、『パリ交響曲集』、『ドニィ交響曲集』などの傑作が生み出されます。「エステルハージ以降」の19年間は、二度のロンドン長期滞在により、国際的な知名度を獲得した時期で、市民がお金を払って訪れるコンサート・ホールという環境で、大型のオーケストラを駆使して演奏される楽曲を創造した円熟の頂点ともいうべき時代でした。

格好良さではなく、一生懸命さの美しさ。

交響曲の父、パパ・ハイドンは弦楽四重奏曲の父でもある。モーツァルトのケッヘル番号は、ウィーンで活躍するときに貴族や豪商に作品カタログとして目録をモーツァルト自信が作っていたことから、作曲順になっています。今で言うポートフォリオと同じもので、モーツァルトがナンバリングしていた625曲に、未完となった「レクイエム」を626番として編纂されていった。ベートーヴェンは出版楽譜に番号をつけ、未出版作品は番号無しとした。それ以前の、バッハやヘンデルは曲の規模で整理されています。ハイドンの作品を整理したホーボーケンもこれに倣い、ホーボーケンの目録では弦楽四重奏局は「Ⅲ」に該当する。ハイドンは長い間題名として弦楽四重奏曲を用いず、ディヴェルティメントと呼んでいた。自筆楽譜に「四重奏曲」の名が現れるのは作品42(1785年)になってからである。また、作品50(1787年)以降は継続的に書かれるようになる。多くの作品は6曲ずつまとめて出版されていて、出版社による編曲や他の作曲家作品も混ざってしまっている。長らく83曲と考えられてきたが、作品3の6曲は現在ではハイドンの作ではないと考えられており、編曲ものを除くと68曲になる。そのためこのレコードの発売時と、現在のCDでは番号が異なる。

モーツァルトが頻繁に使った作曲の禁じ手とされる五度を使ったハイドン。

本盤はモーツァルトの「ハイドン・セット」集に含まれる《弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調 K.428》とハイドンの「エルデーディ四重奏曲」集に含まれる《弦楽四重奏曲第76番ニ短調作品76-2「五度」》の組み合わせ。「五度」(Quinten)のタイトルは冒頭のテーマの特徴的な音程の意味。1楽章は全体を通して〝五度〟が使われていて見事。ハイドンの今までの集大成的な意味合いが強く、よりメロディアスになっています。

この『五度』の音程は「モーツァルトの五度」と称されるほどに、モーツァルトの最初の交響曲第1番には作曲学において御法度である平行五度が3箇所ある。しかもそれは表出る使われ方でもなく、その後も隠し味同然に頻繁に使用されるモーツァルトの音符の署名のようなもので、レクイエムの絶筆となった箇所が同じく禁則の空虚五度でした。でも、その禁じ手がモーツァルトの音楽を聴いていてしびれさせるのです。ちなみに、ベートーヴェンの交響曲第6番や交響曲第9番を「空虚五度」で開始しているのはハイドンやモーツァルトの延長線上にあるように、意志が働いたかのように思えるのである。
第1ヴァイオリンであるノルベルト・ブロイニン(Norbert Brainin)の艶のある音色、ロマンティックな歌いっぷりの良さ。他の楽器もそれぞれ主体的に動き、爽やかでイキの良いアンサンブルを構築します。 演奏者の感情のノリや思いがストレートに表され、輪郭クッキリ、強弱ハッキリ。歌いまわしもたっぷりと表情豊かでありながら、抜群の落ち着きと品位を保っています。一種の鋭さがある1960年代後半のアマデウス四重奏団のハイドンと、モーツァルト。モーツァルトが頻繁に使った作曲の禁じ手とされる五度を使ったハイドンと、ハイドンに捧げたモーツァルトの組み合わせが憎い。

販売レコードの写真

  1. 3798102
  2. SLPM139 191

プロダクト・ディテール(オリジナル盤)

  1. レーベル
    Deutsche Grammophon
  2. レコード番号
    SLPM139 191
  3. 作曲家
    1. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
    2. フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
  4. 楽曲
    1. 弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調
    2. 弦楽四重奏曲第76番 ニ短調 「五度」
  5. 演奏者
    アマデウス四重奏団
    • Violin [1st] – Norbert Brainin
    • Violin [2nd] – Siegmund Nissel
    • Viola – Peter Schidlof
    • Cello – Martin Lovett
  6. 録音年
    1966
  7. 録音プロデューサー
    Rainer Brock
  8. 録音エンジニア
    Heinz Wildhagen
  9. 録音種別
    STEREO
  10. 製盤国
    DE(ドイツ)盤
  11. レーベル世代
    チューリップ・レーベル

ショップ・インフォメーション(このヴィンテージ盤はショップサイトの扱いがあります。)

  1. 商品番号
    3798102
  2. 盤コンディション
    良好です(MINT~NEAR MINT)
  3. ジャケットコンディション
    良好です
  4. 価格
    7,700円(税込)
  5. 商品リンク
    https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/3798102.html
  6. ショップ名
    輸入クラシックLP専門店 ベーレンプラッテ
  7. ショップ所在地
    〒157-0066 東京都世田谷区成城8-4-21 成城クローチェ11号室
  8. ショップアナウンス
    べーレンプラッテからお客様へ
    当店のレコードは、店主金子やスタッフたちが、おもにヨーロッパに直接出向き、実際の目と耳で厳選した、コンディション優秀な名盤ばかりです。国内で入手したものや、オークション品、委託商品はございませんので、安心してお求めになれます。


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