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DE DGG 2530 302 アマデウス四重奏団 ハイドン・弦楽四重奏曲第42番ハ長調 作品54, No. 2, Hob.Ⅲ:57、弦楽四重奏曲第43番ト長調 作品54, No. 1, Hob.Ⅲ:58

  • Record Karte
  • DE BLUELINE, 1977,78年の優秀録音です。
    • 演奏:アマデウス四重奏団
    • 録音:Munchen, Residenz, Plenarsaal der Akademie der Wissenschaften, 10/1971.
    • 曲目
      1. 弦楽四重奏曲第42番ハ長調 作品54, No. 2, Hob.Ⅲ:57
      2. 弦楽四重奏曲第43番ト長調 作品54, No. 1, Hob.Ⅲ:58

室内楽の鑑

― 名門アマデウス四重奏団が、1970年代にレコーディングしたハイドン作品集は機械的で正確なアンサンブルという以上に、4挺の楽器が骨の髄まで溶け合い、何とも親密で流れの良い音楽を紡ぎ上げていきます。最も室内楽の鑑と言うに相応しい録音のひとつでしょう。

元気を出したいときによく聴く、不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。アマデウス弦楽四重奏団は1948年に結成され、1987年に活動が停止するまで、約40年もの長きにわたり演奏活動を続けてきました。アマデウス四重奏団の演奏は、はじめて聞くアマチュアの演奏に「良い曲だな」と思う時に似ている。そういうところからか何度聴いても、初めて聴いた時の感激と興奮が戻ってくる。常に同じメンバーで、アンサンブルに磨きをかけ続けたアマデウス四重奏団が、晩年に残した珠玉のハイドン作品集。その演奏スタイルは格好良さとは無縁、一所懸命だけど全然厳しくなく、心底アンサンブルを楽しんでいる仲間たちの姿が伝わってきて、とっても微笑ましく音楽を聴く楽しさを享受するのにアマデウス四重奏団とハイドンとの相性は最高です。

良き主に出会い、前半生に身につけたスキルをすべて注いだハイドンの極み。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは1732年に生まれ、1809年に亡くなっています。その77年の生涯は、29歳から58歳までを過ごした30年に及ぶエステルハージ時代を中心に、それ以前とそれ以降の3つの時期に分けて考えることができます。「エステルハージ以前」の28年間は、幼少期の声楽やさまざまな楽器演奏の修行、青年期に入ってからの作曲の勉強により、弦楽四重奏曲を多数作曲したほか、十数名という小編成オーケストラのための交響曲を作曲して指揮するという実地経験により高いスキルを身につけた時期。続く「エステルハージ時代」の30年間は、楽才にも恵まれたニコラウス・エステルハージ候のもと、二十数名規模のオーケストラも常設され、安定した境遇下で膨大な作品を作曲・演奏しています。シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒涛)様式と言われるスタイルが導入され、数多くの交響曲やピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、協奏曲、そしてオペラやオラトリオが書かれたほか、ニコラウス候が熱中していたヴィオラ・ダ・ガンバに似た楽器「バリトン」を主役にした「バリトン三重奏曲」も大量に作曲されています。それに伴い海外での名声も高まって、1780年代なかばからは作曲依頼が舞い込むようになり、『十字架上のキリストの最後の七つの言葉(管弦楽版)』や、『パリ交響曲集』、『ドニィ交響曲集』などの傑作が生み出されます。「エステルハージ以降」の19年間は、二度のロンドン長期滞在により、国際的な知名度を獲得した時期で、市民がお金を払って訪れるコンサート・ホールという環境で、大型のオーケストラを駆使して演奏される楽曲を創造した円熟の頂点ともいうべき時代でした。

格好良さではなく、一生懸命さの美しさ。

交響曲の父、パパ・ハイドンは弦楽四重奏曲の父でもある。モーツァルトのケッヘル番号は、ウィーンで活躍するときに貴族や豪商に作品カタログとして目録をモーツァルト自信が作っていたことから、作曲順になっています。今で言うポートフォリオと同じもので、モーツァルトがナンバリングしていた625曲に、未完となった「レクイエム」を626番として編纂されていった。ベートーヴェンは出版楽譜に番号をつけ、未出版作品は番号無しとした。それ以前の、バッハやヘンデルは曲の規模で整理されています。ハイドンの作品を整理したホーボーケンもこれに倣い、ホーボーケンの目録では弦楽四重奏局は「Ⅲ」に該当する。ハイドンは長い間題名として弦楽四重奏曲を用いず、ディヴェルティメントと呼んでいた。自筆楽譜に「四重奏曲」の名が現れるのは作品42(1785年)になってからである。また、作品50(1787年)以降は継続的に書かれるようになる。多くの作品は6曲ずつまとめて出版されていて、出版社による編曲や他の作曲家作品も混ざってしまっている。長らく83曲と考えられてきたが、作品3の6曲は現在ではハイドンの作ではないと考えられており、編曲ものを除くと68曲になる。そのためこのレコードの発売時と、現在のCDでは番号が異なる。レコード発売時の「弦楽四重奏曲第57番ト長調, Hob.Ⅲ:58」は「第42番」に、「弦楽四重奏曲第58番ハ長調, Hob.Ⅲ:57」は「第43番」となる。

泥臭いロマンティシズムに、愛嬌あるフレージングが絶妙の彩りを添える。

本盤は「第1トスト四重奏曲」集に含まれる《弦楽四重奏曲第58番ハ長調 Op.54-2》と《弦楽四重奏曲第57番ト長調 Op.54-1》の2曲。この曲集から、ヨーゼフ・ハイドンの円熟期の作品と考えることが出来ますが、大きな特徴は、これまでの曲集で行なってきた実験が、最早実験としてではなく、重要な表現の手段として用いられているということでしょう。表面上はあくまでも明快、しかしながら、気のおもむくまま如何様にも変化し得る、という遊び心を備えた世界は、はなはだ痛快です。序奏のようなアダージォで始まり、それが朗々といつまでも気持ち良さそうに続いてしまいます。かなり行ってから、ふと気が付いたようにロンド風のプレストのテーマが登場します。一見バロックのフランス風序曲を思わせますが、精神的には全く異なった音楽で、聞く人の予想の裏をかいて楽しんでいるような趣があります。ハイドンの弦楽四重奏曲では第1ヴァイオリンにソリスティックな節が頻繁に出てくる。技巧も問われるが、かといってひたすら清潔に弾いてしまうだけではハイドンの音楽は楽しめない。その点アマデウス弦楽四重奏団では品よく上品な音楽より、泥臭いロマンティシズムに満ちた曲が絶品。ハイドンの愛嬌あるフレージングが技巧的なパッセージに絶妙の彩りを添える。

販売レコードの写真

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  2. 2530 302

プロダクト・ディテール(オリジナル盤)

  1. レーベル
    Deutsche Grammophon
  2. レコード番号
    2530 302
  3. 作曲家
    フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
  4. 楽曲
    1. 弦楽四重奏曲第42番ハ長調 作品54, No. 2, Hob.Ⅲ:57
    2. 弦楽四重奏曲第43番ト長調 作品54, No. 1, Hob.Ⅲ:58
  5. 演奏者
    アマデウス四重奏団
  6. 録音年月
    1971年10月
  7. 録音場所
    Munchen, Residenz, Plenarsaal der Akademie der Wissenschaften
  8. 録音種別
    STEREO
  9. 製盤国
    DE(ドイツ)盤
  10. レーベル世代
    ブルーライン・レーベル

ショップ・インフォメーション(このヴィンテージ盤はショップサイトの扱いがあります。)

  1. 商品番号
    343083
  2. 盤コンディション
    良好です(MINT~NEAR MINT)
  3. ジャケットコンディション
    良好です(四辺にわずかな傷みあり)
  4. 価格
    5,500円(税込)
  5. 商品リンク
    https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/343083.html
  6. ショップ名
    輸入クラシックLP専門店 ベーレンプラッテ
  7. ショップ所在地
    〒157-0066 東京都世田谷区成城8-4-21 成城クローチェ11号室
  8. ショップアナウンス
    べーレンプラッテからお客様へ
    当店のレコードは、店主金子やスタッフたちが、おもにヨーロッパに直接出向き、実際の目と耳で厳選した、コンディション優秀な名盤ばかりです。国内で入手したものや、オークション品、委託商品はございませんので、安心してお求めになれます。


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