34-6263

商品番号 34-6263

通販レコード→米ダーク・ブルー銀文字盤 Turnabout / Vox Historical Series

恩師リストの作品 ― 大作曲家フランツ・リストに学んだ名指揮者、作曲家のフェリックス・ワインガルトナー(1863~1942)は、SPレコード時代に活躍した指揮者としてただ一人、戦前に来日を果たしたことでも知られています。1937年(昭和12年)5月から6月にかけて新交響楽団 ― NHK交響楽団の前身とともに東京、静岡、名古屋、京都、大阪で開催した演奏会は、当時の音楽界に大きな話題を呼びました。来る前から新聞では世紀の大指揮者来日の話題で持ちきりとなり、〝日本のみなさんへ〟という小さなピアノ小品が送られてきて、それが新聞に載るという、今日では考えられないようなマスコミでの扱いをうけています。戦前の日本で、それほどクラシック音楽が受け入れられていたかと思うと、背筋を正されます。ベルリオーズの華麗な編曲によるウェーバーの「舞踏への勧誘」とはひと味違う、落ち着いたウィーン調の編曲をワインガルトナーはしており、「魔弾の射手」序曲、ヨハン・シュトラウス2世の「常動曲」、「ピツィカート・ポルカ」、「酒、女、歌」といった作品の編曲が知られます。ここで重要なのは、ワインガルトナーがヨハン・シュトラウス2世やブラームス、リスト、ワーグナーといった19世紀後半の大音楽家達と共に学び、生きてきたことです。「魔弾の射手」序曲は、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが〝古典形式の気品と清澄を持ち続けた〟とした評言が実によく当てはまる演奏で、それがベートーヴェンの交響曲であろうとスコアに現代オーケストラに相応しい改訂を施して ― いわゆる「ワインガルトナー版」と呼ばれる校訂版であり、弦をはじめ一部のパートのオクターブを高く移動したり、作曲当時の楽器の性能による制限にとらわれず高音部においても動機を自然な形で再現するなど、後の時代の演奏にも影響を与えています。当然彼のウィンナ・ワルツは彼自身がヨハン・シュトラウス2世本人の演奏を知っている事から、その演奏の意味は更に深いものとなりますし、リスト自身に学んだことからも彼が演奏するリストの《ピアノ協奏曲》や、「メフィスト・ワルツ第2番」「レ・プレリュード」は不滅の価値を持つと言えるでしょう。ワインガルトナー自身、リストの最後の弟子として、ぜひこの曲を残したいと英EMIに自身で掛け合い、録音させたということ、そして、その出来に非常に満足していたということがよく伝わります。加えて燦然と煌めいて充実感たっぷりだったピアノの美音を聴かせるドイツの名ピアニストだったエミール・フォン・ザウアー(1862~1942)もリスト門下で、大ピアニスト、名教師として知られました。ピアノの左手(低音)の和音が、超高域で動く右手の活躍をしっかりと支えて〝完璧にピアノらしい音の響き〟を構築する。リストの弟子達の協演による最も権威ある演奏の記録です。
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  • Record Karte
  • Recording: Dec. 1, 1938 (ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調, S124); Dec. 2, 1938 (ピアノ協奏曲第2番 イ長調, S125)
  • US THS THS65098 ザウアー リスト・ピアノ協奏曲
ワインガルトナーの芸術
ワインガルトナー
ARTIS
2017-03-10