34-724

商品番号 34-724

通販レコード→米ダーク・マルーン銀文字盤

情熱漲る入魂の演奏。 ― 低迷していたデトロイト交響楽団を瞬く間にアメリカ屈指のオーケストラに仕立て上げ、特にフランスものの瑞々しい演奏には定評があったポール・パレー。ドビュッシー「海」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」「ラ・ヴァルス」、ベルリオーズ「幻想交響曲」などでお馴染みのあのパレーのスタイルと並ぶ演奏ですが、それにしてもこのフランク、特別なことしていないのに凄い説得力です。颯爽とした演奏という一言で言い尽くしたいが、あっさりしている訳ではなく内容を感じさせる。骨太でぐいぐいと推し進めるフランクがとりわけ素晴らしく、パレーの構築力が発揮された演奏だ。厳格さのなかに宗教的かつ官能的な感情が内在し、静謐な思索や哲学的な沈潜をも感じさせる、独自の語法である循環形式を用いたフランク唯一の燻し銀のような「交響曲ニ短調」。第1楽章は天空から宿命の風が吹き荒れるような主旋律の歌わせ方。第2楽章以降の推進力のある上昇感溢れた展開にも満足できる。重く粘りやすいこの曲を、パレーはいつもの軽やかさ、滑らかさ、精妙さ、キラキラ透明感で、ふわり、さらり、ぴりりと料理に例えると、舌の上でまろやかに転がし鼻に香りがすっと抜ける吟醸酒とか、特上寿司の様です。のどごし、したで溶ける、その味わいに感じる魔法のような演奏です。パレーが音楽監督を務め黄金時代を築き上げたデトロイト響との、情熱漲る入魂の演奏です。オーケストラも抜群、このコンビの突き抜けた名人芸ぶりにうっとり身をゆだねましょう。硬質でいて明るい音色は、パレー以外では聴けない快演です。モノラル・レコーディング期より独特なマイク・セッティングにより、素晴らしい音響を作り出し、その後ステレオ録音の黎明期にも多くの素晴らしいディスクを世に送り出した米マーキュリー・レーベル。擁する指揮者は個性派揃い、パレー、ハワード・ハンソン、アンタル・ドラティ、フレデリック・フェネルらの貴重な名演が鮮やかに記憶に残っている。〝You are there〟 を謳い文句に、音が生まれるその場にいるような臨場感を再現するマーキュリー独自の録音方法は現在聴き直しても、新鮮な驚きを聴き手に届けます。米マーキュリーのプロダクトだとオーディオだけの関心で聞かれるのはやむを得ないとしても、音響として音楽を聴いているとパレーのさじ加減は楽しみ損ねる。演奏自体はフランク特有の陶酔感には乏しいが、それ故にフランクが編み出した循環形式の音楽構造がわかる。このひたむきに音楽を前進させる強靭な力、それこそがパレーの真骨頂なのだ。アプローチはやはり徹底してパレーらしいもの。何も演出らしいわざとらしさは無く、自然体の演奏を堪能できる。よく聴くと実に含蓄に富んだ表現でヘルベルト・フォン・カラヤンの演奏を表現する時に引き合いに出される「スポーツカーで走り抜けた」感じではありません。特に弦楽器の音の扱いには改めてバレーの大指揮者たる風格を気付かせてもらった。豪快な音楽展開のなかで、明瞭に聞こえてくるのはパレーの卓抜したオーケストラ・ビルディングの力か、米マーキュリーの録音の効果か、その両方故でしょう。やはり1950年代末は一味違う。いささか効率の悪い大排気量の車をフルパワーで引っ張りまわすがごとく汗をかきかき速く大きく正確にと、とにかく一生懸命なスタイルなのである。そうした人間臭さとともに時代を映すもの、つまりオーケストラの高度成長期の証みたいなものが感じられて実に面白い。
専ら、デトロイト交響楽団の指揮者として知られた存在のポール・パレー(Paul Paray)は、アメリカ人と思われているうえに、ローマ大賞を獲ったのに作曲家と思われてもなかろうが、それを補って余りあるほど指揮者としては成功したフランスの名指揮者。1886年5月24日、ル・トレポールに生まれ、最初はオルガンを学び、17歳でルーアンのオルガニストとしてデビューしたが、1905年パリ音楽院に入学、3年後に和声で1等賞を得て、1911年にはローマ大賞を受けた。1920年にコンセール・ラムルーを指揮してデビュー、翌年からシュヴィアールの副指揮者として、このオーケストラと行をともにするが、1923年から1928年まで務めた。この年からモンテカルロ国立歌劇場に正指揮者に昇格して移って、オペラとコンサートの両面で活躍した。1933年からはピエルネの後を受け、コンセール・コロンヌの正指揮者に就任、20年にわたって、このオーケストラを指揮してレコードにも登場して日本でも知られるようになる。第2次世界大戦中はパリがナチスに占領されると、古巣のモンテカルロに逃れ、連合軍によるパリ解放までレジスタンスの有力リーダーとして活躍したのであった。戦後再び凱旋将軍のようにパリに迎えられ懐かしいコロンヌの指揮台へ戻ったが、1952年アメリカのデトロイト響の音楽監督に招かれ、危機に瀕していた、この楽団を短期間のうちに全米屈指のメジャー・オーケストラに建て直したのだった。そして10年後の1962年に名誉指揮者となって勇退したが、晩年はフランス国内で客演生活を送っていたが1979年10月10日、モンテカルロで93歳の天寿を全うした。パレーはコロンヌ時代からベートーヴェンの「田園」交響曲を目にも留まらぬ速いテンポで録音し、戦前の日本のファンを煙に巻いたが、やはり全盛時代は戦後のデトロイト響期であろう。現在求めやすいレコードでは、サン=サーンスの交響曲第3番(1957年)、ドビュッシー&ラヴェル名曲集(1955〜1961年)、また、イベールの「寄港地」とラヴェル名曲集(1962、1959年)を挙げよう。特にイベールは彼自身が初演した曲だけに、いずれも自信に溢れた解釈が聴ける。パレーは所謂フランスの指揮者だが、所謂パステル画のようなぼかしの効いた、雰囲気により掛かるようなことはなかった。彼の音楽は男性的で逞しく、ゴール人として気質を感じさせるものがあリ、輪郭のはっきりとした明確な表現でありながら、一方では実に洒落た感覚の持ち主でもあり、「フランス・オペラ・ハイライト」(1960〜62年)や、「フランスの序曲と行進曲集」(1959年、1960年)で軽快で満洒な演奏も聞かせる。またパレーはベートーヴェン、ワーグナーの解釈者としても定評が高かった。その代表的名演の、ほとんどがデトロイト響の音楽監督時代のものですが、フランスものだけでなく独欧系のシンフォニックな作品においても非凡なセンスを見せるパレーの実力をうかがうに格好の1枚です。
昔から鮮烈なサウンドで知られていたマーキュリー・レーベルは、音だけでなく、演奏の方も勢いの良いものが揃っているのが特徴。1945年にアーヴィン・グリーン、バール・アダムス、アーサー・タルマッジによって設立されたマーキュリー・レーベルは、モノラル後期に活動を開始し、ステレオ初期を中心とした20年ほどのあいだに数多くの素晴らしいディスクを世に送り出しました。ラファエル・クーベリックやアンタル・ドラティ、ポール・パレー、スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ、ヤーノシュ・シュタルケル、ヘンリク・シェリングといった有名アーティストたちも、ここでは誰もがシャープで活気に満ちた演奏をおこなっています。しかも、オーディオ好きの間でも有名なマーキュリーのサウンドは、ステレオ初期に制作されたものが大半ながら、どれも音響条件は申し分なく、細部まで捉えきった情報量の多さは、当時ずば抜けたものと評されていました。実際、通常の楽音だけでなく、バスドラの重低音や、カノン砲の射撃音、大量の鐘の音といった難物も高水準に再現するあたりは、このレーベルの実力を改めて確認させてくれるところです。「You are there」を謳い文句に、音が生まれるその場にいるような臨場感を再現するマーキュリー独自の録音方法によって収録された名盤の数々は、今聴いても実に新鮮ですし、戦後まもなくの活気に満ちた演奏スタイルを味わえる点で、その存在感には非常に大きなものがあります。
1959年11月録音。
US MER SR90376 パレー フランク・交響曲
US MER SR90376 パレー フランク・交響曲