34-23859

商品番号 34-23859

通販レコード→蘭シルヴァー黒文字盤 Digital Classics

旋律の歌わせ方に愉しさと親しみがあふれ、しかも颯爽とした若々しい。 ― イ・ムジチ合奏団2度目の全曲録音。この合奏協奏曲集は、《調和の幻想》とか《調和の霊感》とかいわれるが原題は《L'estro armonico》ですが実際はヴァイオリン協奏曲集で練習用として有名なものも何曲か含まれています。ヴィヴァルディの明るい音色の向こうに、イタリアの青い空が見えるような錯覚を覚える。ヴァイオリン練習曲としてもお馴染みの第6番、映画のテーマ等に何度か用いられた第8番と10番。何度聞いても心が和みます。さすがヨハン・ゼバスティアン・バッハが好んだ大先達の音楽だけのことはある、バッハは、この曲集のうち第3番、9番、12番をチェンバロ独奏用(BWV978、972、976)に、第8番、11番をオルガン独奏用(BWV593、596)に、第10番を4台のチェンバロと弦楽合奏のため(BWV1065)に編曲した。そしてこれらの曲の素晴らしさは、若き日のバッハがこの曲集の多くをオルガンやチェンバロのために編曲していることからも、うかがい知ることができます。この全12曲の中では第11番がもっとも有名であり、形式としては3楽章形式の「2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲」と見るか、5楽章形式と解される「コンチェルト・グロッソ」と見るかは演奏者の解釈にゆだねられる面白さがある。そして、この作品が何故に有名かと言えば、バッハがこれを「オルガン協奏曲第5番ニ短調 BWV596」に編曲しているからです。とくに「Largo e spiccato」と記されたシチリアーナに関してはバッハはほとんど手を加えていないそうです。後期イタリア・バロック最大の巨匠ヴィヴァルディは『四季』があまりにも有名ですが、彼の膨大な作品群のなかでも最大傑作といわれるのが《調和の霊感》です。ヴィヴァルディが創出したリトルネロ形式による急速楽章を持つ、急 ― 緩 ― 急の3楽章形式による独奏協奏曲の様式を確立した画期的作品といえる。一方、第7番、11番にはコレッリ以来の合奏協奏曲のスタイルも残っている。1、2、4人のヴァイオリン独奏用協奏曲が各4曲ずつ計12曲から成っており、どの曲も明るく優美な曲想を持つ、イタリア・バロックの魅力のすべてを含んだ協奏曲集といえましょう。そうは言っても、協奏曲集『四季』を含む『和声と創意への試み 作品8』からすると、どうしてもっとメジャーにならないのかが不思議です。イ・ムジチ合奏団演奏による1962年録音盤は、フェリックス・アーヨの後を継ぎ、1967年から1972年までコンサートマスターを務めたロベルト・ミケルッチ(Roberto Michelucci, 1922.10.29〜2010.11.13)の華やかな音色が際立った演奏でした。本盤は1984年発売。1949年にはボッケリーニ五重奏団、1954年にはカルミレッリ弦楽四重奏団を創設し、ヨーロッパ各地で演奏活動や録音を行った、ピーナ・カルミレッリ(Pina Carmirelli, 1914.1.23〜1993.2.26)が1973年から1986年までコンサートミストレスを務めていた時代の、イ・ムジチ合奏団によるデジタル録音。イ・ムジチ合奏団もカルミレッリの時代になって、古楽奏法の影響を受けてか響きが和らいだ反面、鮮烈な印象は薄らいできました。この12曲からなる作品3の協奏曲集は、独奏ヴァイオリンの数による配列に特徴がある。「4-2-1」を繰り返す形で配列され、しかも「長調 ― 短調」の配置の規則性もある。ただし、最後は短調 ― 長調と逆に配置され、優雅な雰囲気とともにイタリアの明るい太陽を感じながら終結します。そしてこれらの曲は、作品集としての全体バランスのとれた素晴らしい曲。疲れた現代人を癒すのは最も適切な曲と思う。ヴィヴァルディの特徴ともいうべき1曲1曲じっくり聴くととてもいい曲なのですが、12曲の中からどれか1曲というといまいちはっきりしない不思議な世界。ヴィヴァルディは異形の作曲家です。と言ったら驚かれるでしょうか。ヴィヴァルディと言えば「四季」が真っ先に思い浮かび、そこには「認知度」が伴って非常に高いのですが、それではヴィヴァルディの作品で「四季」以外の作品を一つあげてくださいと言われれば大多数の人は答えに窮するでしょう。「ラ・ストラヴァガンツァ」と応える人があったら、跳びかかって抱きしめてるでしょうが、そのとき、もしかしたら、ヴィヴァルディって「四季」だけの一発屋だったのかという思いをもたげさせたら困ります。しかしながら、彼がその生涯に残した作品は残っているものだけでも多種多様な楽器を用いた室内楽作品や協奏曲、さらにはシンフォニアや歌劇、宗教作品に至るまで、途轍もなく幅広いものです。そして、音楽というものの本質の一つが聴くものの心を楽しませる「娯楽」という側面を持っていることは否定できない事実ですから、わたしはヴィヴァルディこそはモーツァルトに繋がる偉大な音楽家の一人だと確信しています。《調和の幻想》作品3に直接コレクトするならイタリア合奏団盤をファースト・チョイスします。イ・ムジチ合奏団盤はセカンド・チョイスか、定番ですが、ミケルッチ盤を聴きこんだ上でなら、カルミレッリ盤は輝きが増します。何といってのヴィヴァルディの本質は興業屋ですから、受けてなんぼと言うことを知り尽くしていた人でしたから、「娯楽」性に軸足を置いた2種類のイ・ムジチ合奏団盤を聴いて、結構ニヤリと笑うかもしれません。
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I Musici, Pina Carmirelli ‎– Antonio Vivaldi: L'estro Armonico, 12 Concerti Op.3, For One, Two, Or Three Violins, Strings, Ad Continuo

Side-A
  1. Concerto No. 1, RV 549, In D, With Four Violins Obbligati, 協奏曲第1番 ニ長調 RV549(4つのヴァイオリンのための)
  2. Concerto No. 2, RV 578, In G Minor, With Two Violins And Violoncello Obbligati, 協奏曲第2番 ト短調 RV578(2つのヴァイオリンのための)
  3. Concerto No. 3, RV 310, In G, With Violin Obbligato, 協奏曲第3番 ト長調 RV310(独奏ヴァイオリンのための)
Side-B
  1. Concerto No. 4, RV 550, In E Minor, With Four Violins Obbligati, 協奏曲第4番 ホ短調 RV550(4つのヴァイオリンのための)
  2. Concerto No. 5, RV 519, In A, With Two Violins Obbligati, 協奏曲第5番 イ長調 RV519(2つのヴァイオリンのための)
  3. Concerto No. 6, RV 356, In A Minor, With Four Violins And Violoncello Obbligato, 協奏曲第6番 イ短調 RV356(独奏ヴァイオリンのための)
Side-C
  1. Concerto No. 7, RV 567, In F, With Four Violins And Violoncello Obbligato, 協奏曲第7番 ヘ長調 RV567(4つのヴァイオリンとチェロのための)
  2. Concerto No. 8, RV 522, In A Minor, With Two Violins Obbligati, 協奏曲第8番 イ短調 RV522(4つのヴァイオリンのための)
  3. Concerto No. 9, RV 230, In D, With Violin Obbligato, 協奏曲第9番 ニ長調 RV230(独奏ヴァイオリンのための)
Side-D
  1. Concerto No. 10, RV 580, In B Minor, With Four Violins And Violoncello Obbligati, 協奏曲第10番 ロ短調 RV580(4つのヴァイオリンとチェロのための)
  2. Concerto No. 11, RV 565, In D Minor, With Two Violins And Violoncello Obbligati, 協奏曲第11番 ニ短調 RV565(2つのヴァイオリンとチェロのための)
  3. Concerto No. 12, RV 265, In E, With Violin Obbligato, 協奏曲第12番 ホ長調 RV265(独奏ヴァイオリンのための)
ヨーロッパ屈指の家電&オーディオメーカーであり、名門王立コンセルトヘボウ管弦楽団の名演をはじめ、多くの優秀録音で知られる、フィリップス・レーベルにはクララ・ハスキルやアルテュール・グリュミオー、パブロ・カザルスそして、いまだクラシック音楽ファン以外でもファンの多い、「四季」であまりにも有名なイタリアのイ・ムジチ合奏団らの日本人にとってクラシック音楽のレコードで聴く名演奏家がひしめき合っている。英グラモフォンや英DECCAより創設は1950年と後発だが、オランダの巨大企業フィリップスが後ろ盾にある音楽部門です。ミュージック・カセットやCDを開発普及させた業績は偉大、1950年代はアメリカのコロムビア・レコードのイギリス支社が供給した。そこで1950年から60年にかけてのレコードには、米COLUMBIAの録音も多い。1957年5月27~28日に初のステレオ録音をアムステルダムにて行い、それが発売されると評価を決定づけた。英DECCAの華やかな印象に対して蘭フィリップスは上品なイメージがあった。フィリップスは1982年10月21日コンパクト・ディスク・ソフトの発売を開始する。ヘルベルト・フォン・カラヤンとのCD発表の華々しいCD第1号はイ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディ作曲の協奏曲集「四季」 ― CD番号:410 001-2。1982年7月のデジタル録音。現在は、フィリップス・サウンドを継承してきたポリヒムニア・インターナショナルが、これら名録音をDSDリマスタリングし、SACDハイブリッド化しています。
  • Record Karte
    • Artwork By [Cover Illustration] – Silvan Steenbrink
    • Violin – Anna Maria Cotogni アンナ・マリア・コトーニ (tracks: A1, B1, C1, C2, D2), Claudio Buccarella クラウディオ・ブッカレッラ (tracks: A1, A2, B1, C1, D1), Pasquale Pellegrino パスクワーレ・ペレグリーノ (tracks: A1, B1, B2, C1, D1), Pina Carmirelli ピーナ・カルミレッリ (tracks: A1 to D3)
    • Cello – Francesco Strano フランチェスコ・ストラーノ (tracks: A2, C1, D1, D2)
    • Orchestra – I Musici イ・ムジチ合奏団
    Recorded in La-Chaux-de-Fonds (Switzerland), 8/1983. 1983年録音、1984年発売。
  • NL PHIL 412 128-1 カルミレッリ・イムジチ合奏団 V…
  • NL PHIL 412 128-1 カルミレッリ・イムジチ合奏団 V…
イ・ムジチ合奏団
イ・ムジチ合奏団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2001-10-27

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