NL DEC D251D5 ジェルジ・フィッシャー モーツァルト・ソプラノコンサートアリア集

商品番号 34-20246

通販レコード→蘭シルヴァー青文字盤 DIGITAL RECORDING[オリジナル]

モーツァルトの音楽は、私にとって心の栄養、欠かせないもの ... だから毎日、聴かずにはいられない ... なにげなく聴いていても、いろいろな思い出が甦り、新しい発見がある ... ― アントニオ・サリエリのオペラに「まずは音楽、おつぎが言葉」がある。1786年、ヨーゼフ2世はサリエリとモーツァルトにオペラを作曲させ、ジングシュピール歌劇団で上演するように命じた。愛聴盤というと、そのレコードを買って来た当初毎日のように聴き、そのあとも長い間折にふれて聴いてきて、なおかつ感動するという類のものである。モーツァルティアンになって、モーツァルトの曲を全部聴いてみたいと思った時、なかなか聴けない曲がコンサート・アリアだった。毎週のようにレコード屋まわりをするのは、未聴のコンサート・アリアが入ったレコードがないか捜しまわることでもあった。モーツァルトがアロイジアに贈ったことで、手紙でも有名な「アルカンドロよ」K.294が長い間聴けなかったのである。リタ・シュトライヒの歌った盤があるということは知っていたが、見たこともない超珍盤であった(DG SLPM138695)。そんな長年のコンサート・アリアへの渇きを癒してくれたのが、1981年に録音され、82年に出た本盤、英デッカのソプラノのためのコンサート・アリア全集であった。キリ・テ・カナワ、エディタ・グルベローヴァ、テレサ・ベルガンサ、エルフィー・ホーバルト、クリスティーナ・ラーキら5人のソプラノが次々と素晴らしいアリアを披露する。コレクター人生の中でも最大のイベントではなかっただろうか。このレコードを手にいれてから数ヶ月というもの、毎日のように聴いて聴いて聴きまくった。聴くたびに感動した。5人の美女と共同生活をしているような贅沢な気分になった。苦労に苦労を重ねてやった一緒になれた「共同生活」だから、喜びも一入だ。このデッカ盤はテ・カナワ、グルベローヴァ、ベルガンサと歌手も抜群にうまいし、ジェルジ・フィッシャーの指揮もいい。未だにひとたび聴きはじめると、どれか取捨選択できぬまま5枚通して聴いてしまう。とにかく目くるめくモーツァルトの華麗な世界が展開されていて、20年たってもレコードの中の彼女たちは若々しく官能的で、わたしの中で眠る若き血が騒ぎ出す。このデッカ盤のあと、EMIが中途半端なアリア集を出し、ドイツ・グラモフォンがテノール、バスも含めた全集を出した。演奏はデッカ盤の方がグラモフォン盤より格段にすぐれている。モーツァルトの様々なオペラや、演奏会の機会があって作曲されたコンサート・アリアだけれども、ソプラノだけが登場する異色のオペラ全曲盤でも聴く感じだ。これが「まずは音楽、おつぎが言葉」への、モーツァルトの回答に代えられまいか。まだこのレコードを聴いたことのない方は一聴をおすすめする。歌詞がわからないからと敬遠するには及ばない。歌詞など分からず、無視して、ただただ聴き入って官能的な世界が昇華したモーツァルトの愛の世界が実感できれば、もう病みつきになります。
コンサート・アリアは、モーツァルトが親交のあった歌手たちのために、自作オペラ・アリアの代替曲としてや、他の作曲家のオペラへの挿入曲として作曲したもの、または歌手の演奏会のために作曲した作品。個々の作品は、歌手それぞれの技量を最大限生かす作曲がなされているため、当時の歌手たちの技量の高さも伺い知ることができます。類まれな美声によるアリアの数々は実に魅力的で、聴いていて心地よいことこの上なし。ジェルジ・フィッシャー指揮ウィーン室内管弦楽団の伴奏もたいへん充実した立派なものです。特定の歌手のためにその技術や音域に応じて書かれた数多いアリアからキリ・テ・カナワが歌うのは7曲。これらをずらりと並べて歌うのは実は大変なことではないだろうか。テ・カナワは見事にそれをやってのけた。特に後半の3曲の素晴らしさにはただ溜息。K.528はモーツァルトがなかなか自分のためのアリアを作曲しないことに業を煮やしたヨゼーファ夫人が軟禁状態で書かせたエピソードで知られるアリアで、短時間で書かれた曲ながら夫人を満足させる素晴らしい仕上がりとなったことでも有名。最後のK.383は、アロイジア・ヴェーバーとの失恋が生み出した曲で、感謝の気持ちに満ちた内容からリサイタルの締めくくりにもよく使われる佳曲。

Soprano Concert Arias / Sopran-Konzert-Arien / Arias De Concert Pour Soprano

Side-A(キリ・テ・カナワ)
  1. Ah, Lo Previdi! ... Ah, Tìinvola(ああ、私にはわかっていたわ)K.272
  2. Vado, Ma Dove? Oh Dei!(私は出ていくわ、でもどこへ)K.583
  3. Oh, Temerario Arbace! ... Per Quel Paterno Amplesso(おお、無分別なアルバーチェよ)K.79
  4. Chi Sà, Chi Sà, Qual Sia(わからないわ、あの人の悩みは)K.582
Side-B(キリ・テ・カナワ)
  1. Non Piè, Tutto Ascoltai ... Non Temer(もう言わないで、すっかりわかりました)K.490
  2. Bela Mia Fiamma, Addio... Resta, Oh Cara(美しい恋人よ、さようなら)K.528
  3. Nehmt Meinen Dank, Ihr Holden Gönner!(私の感謝をお受けください、慈善の方々よ)K.383
Side-C(エディタ・グルベローヴァ)
  1. Schon Lacht Der Holde Frühling(やさしい春がもうほほ笑んで)K.580 ― ジョヴァンニ・パイジェッロ:歌劇《セビーリャの理髪師》ドイツ語版への挿入曲
  2. Per Pietà, Bell'Idol Mio(どうぞ、いとしい人よ)K.78
  3. Misera, Dove Son! ... Ah! Non Son Io Che Parlo(ひどいこと、ここはどこ … いま話しているのは私ではない)K.369
  4. Un Moto Di Gioia(私の胸は喜びに踊るの)K.579
  5. Basta, Vincesti ... Ah Non Lasciarmi, No(もし私の言葉を信じないのなら)K.295a ― ヨハン・アドルフ・ハッセ:歌劇《アルタセルセ》から
Side-D(エディタ・グルベローヴァ)
  1. Alma Grande E Nobil Core(偉大な魂、高貴な心を)K.578 ― ドメニコ・チマローザ:歌劇《ロッカ・アッズーラの二人の男爵》への挿入曲
  2. A Questo Seno Deh Vieni ... Or Che Il Cielo A Me Ti Rende(いとしい人よ、さあ早く … 天はあなたを私に)K.374
  3. Se Tutti I Mali Miei(私の受けた災いの)K.83
  4. Voi Avete Un Cor Fedele(あなたの心は今は私に)K.217 ― バルダッサーレ・ガルッピ:歌劇《ドリーナの結婚》への挿入曲
Side-E(テレサ・ベルガンサ)
  1. Ombra Felice! ... Io Ti Lascio(幸せな幻影よ … お別れです)K.255 ― ミケーレ・モルテッラーリ:歌劇《アルサーチェ》から
  2. Misero Me! ... Misero Pargoletto(あわれなこの私よ … あわれな我が子よ)K.77
  3. Giunse Alfin Il Momento ... Al Desio di Chi T'Adora(あなたを愛している人の望みどおり)K.577
Side-F(テレサ・ベルガンサ)
  1. Se Ardire E Speranza(もし勇気と希望とが)K.82
  2. Conservati Fedele(心変わりしないで)K.23
  3. Ch'io Me Scordi Di Te? ... Non Temer Amato Bene(どうしてあなたを忘れよう … 恐れないで、いとしい人よ)K.505 ― 歌劇《クレタの王イドメネオ》 K.366への追加曲
Side-G(クリスティーナ・ラーキ)
  1. Fra Cento Affanni(数知れぬ憂苦に)K.88
  2. Non Curo L'Affetto(私は気にとめない)K.74b
  3. Ah! Spiegarti, Oh Dio(ああ、打ち明けてしまいたい)K.178
  4. Der Liebe Himmlisches Gefühl(恋の気高い思いは)K.119
Side-H(クリスティーナ・ラーキ)
  1. Alcandro, Lo Confesso ... Non So D'Onde Viene(アルカンドロよ、告白するが … 私は知らない、どこからくるのか)K.294, Version I
  2. Non So D'Onde Viene(私は知らない、どこからくるのか)K.294, Version II
  3. Ah, Se In Ciel, Benigne Stelle(ああ、やさしい星よ、もし天に)K.538
Side-I(エルフィー・ホーバルト)
  1. "Ma Che Vi Fece, O Stelle ... Sperai Vicino Il Lido(おお運命の星よ … 岸は近いと信じ)K.368
  2. Mia Speranza Adorata! ... Ah Non Sai Qual Pena Sia(ああ、あなたはいかなる苦しみか知らない)K.416
  3. Vorrei Spiegarvi, Oh Dio!(神よ、あなたにお伝えできれば)K.418
  4. No, Che Non Sei Capace(いえ、いえ、あなたには)K.419
Side-J(エルフィー・ホーバルト)
  1. A Berenice ... Sol Nascente(愛し合うベレニーチェと … 今日ここに昇る太陽よ)K.70 ― ジュゼッペ・サルティ:歌劇《ヴォロジェーゾ》のためのリチェンツァ
  2. Popoli Di Tessaglia! ... Io Non Chiedo, Eterni Dei(テッサリアの民よ … 私はお願いしません)K.316 ― クリストフ・ヴィリバルト・グルック:歌劇《アルチェステから》
数奇な人生の始まり ― キリの養父母であるトム&ネル・テ・カナワは、キリが養女として貰われる数年前から、ニュージーランドのギズボーンで暮らしていた。ネルの祖先は19世紀にニュージーランドへ渡ってきたイギリス人で、彼女の大伯父は喜歌劇作曲家として著名なサー・アーサー・サリヴァンだった。ネルは1938年に、マオリ族のトム・テ・カナワと結婚した。トムはマオリ族の名門の出であった。トムは道路工事の仕事をしていたが、後にトラック請負業を始めた。ネルは明るい性格で、家がだだっ広かったので学生に部屋を貸し、いつも家の中には若者たちの笑いが聴こえていた。夫妻は自分たちの子供を欲しがっていたが、40歳代のネルはもう子供を生める齢ではなかった。そこで地元紙に男の子の養子を求める広告を出した。1944年の4月、ソーシャル・ワーカーが生後5週間の女児を抱いて、テ・カナワ家を訪れた。夫妻は男の子でないという理由で断った。あとで夫のトムが「あの可哀想な女の児のことを思ってごらん。あの児は家がないんだよ。うちで育てようじゃないか」とネルにもちかけた。「あら、男の子がほしいっておっしゃったのは、あなたじゃありませんか。あなたがそうおっしゃるなら、私には異存がありませんわ」とネル。こうして、そのベイビイ・ガールはテ・カナワ家の養女となり、「キリ」と命名された。マオリ語で「鐘」の意味だそうである。キリは1944年3月6日、ギズボーンで生まれた。両親はテ・カナワ家と同じく異民族同士のカップルで、母はヨーロッパ系、父はマオリ族である。母は牧師の娘だったので、マオリ族の父と正式に結婚できなかったが、生涯夫に尽くした。非常に生活が貧しかったため、娘を養女に出したのだという。キリの実父は肺結核のため35歳で没し、実母はキリが注目される数年前オーストラリアで亡くなったが、キリは2人に会ったこともないし、その係累と接触したいとも思っていない。「ニュージーランドでは、マオリの子供が貰われた場合、誰も出生のことなどを口にしない風習がありますの。そのほうがむしろビューティフルじゃございません!?」とキリは言っている。
1981年録音、5枚組。Producer – Christopher Raeburn, Engineer - James Lock, Simon Eadon
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