34-15661

商品番号 34-15661

通販レコード→英ブルー黒文字盤

ボスコフスキーのもつ洗練された都会的なセンスと、そして楽しい音楽は安心して耳を傾ける事が出来る。 ― 私はあくまでヴァイオリニストが本職で指揮は趣味である。と言ったヴィリー・ボスコフスキーが60歳になったとき、〝この歳はヴァイオリニストとしては老年と言えるでしょうが、指揮者なら80歳で充実した年齢と言えるでしょう。したがって、私はこれから指揮することに次第に重点を置くでしょう〟と述べた。本盤は、ウィンナ・ワルツが骨の髄まで染みこむなど職人気質を持つボスコフスキーによる定番のシュトラウス・ファミリーやレハールではないワルツ集。ボスコフスキーの録音の中でもわりと珍しい部類のレコードで、ウィンナ・ワルツのスペシャリスト、ボスコフスキーの指揮で吹き込んだフランスのワルツ王、ワルトトイフェルのワルツとポルカ。オーケストラは、モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団である。ウィンナ・ワルツは、19世紀のウィーンで流行し〝ウィーン会議〟を通してヨーロッパ中に広まっていった3拍子のワルツ。ウェーバーは「舞踏への勧誘」と題したピアノ曲でワルツを初めて芸術音楽として紹介し、それを管絃楽に編曲したベルリオーズは交響曲の楽章にワルツを初めて登場させた。チャイコフスキーはバレエ音楽にワルツを組み込んだ。ウィンナ・ワルツにおける3拍子は、2拍目をやや早めにずらすように演奏されることで生じる、均等な長さを持たない独特の流動感にあるが、これは当時の演奏習慣ではなく20世紀中頃に成立した習慣である、とする見解もある。ワルトトイフェルは、フランスのパリを中心に活動したダンス音楽の人気作家でした。生涯に作った約260曲のダンス音楽の中には優美この上ない名作「スケーターズ・ワルツ」、シャブリエの人気交響詩をワルツ化してしまった「スペイン」、音楽的にも傑作と言われる「ダイヤモンドの雨」など魅力満点。同時期を生きたワルツ王ヨハン・シュトラウスに比べて、傑作と駄作の差が激しいのが難点ですが、独特の潤いに満ち、「フランスのシュトラウス」の名に恥じない輝きを放っていたが、印象主義音楽がパリを制する頃になると、時代の趣味から取り残されていくこととなって1899年に引退、奇しくも同年のシュトラウス2世の死によって、ワルツ熱は世紀末に一区切りを迎えた。シュトラウスを中心にウィンナ・ワルツやオペレッタ、モーツァルトの舞曲や、シューベルトの室内楽といったドイツ、オーストリアの作曲家が多く、またオーケストラも客演を別にすれば大半がドイツかウィーンのオーケストラを相手にしているボスコフスキーの録音の中では、フランスの作曲家に、フランス圏のモンテカルロ国立歌劇場管の組み合わせは恐らくこれだけではないだろうか。ただ、ボスコフスキーのもつ洗練された都会的なセンスと、フランス圏のオーケストラの洗練されたサウンド、そして楽しい音楽は誰もが安心して耳を傾ける事が出来るだろう。
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ヴィリー・ボスコフスキー(Willi Boskovsky, 1909.6.16〜1991.4.21 オーストリア) ― 精妙で自在、血の通ったリズム、優しさと爽快さ、そして華麗でありながら哀感を帯びた達人の世界を表現した、その音楽はマンネリに陥らずいつも生気に満ち、生きる楽しさ、喜びを伝えてくれる。ボスコフスキーは、ウィーンの純美な音楽伝統の化身ともいうべき、まさに〝ウィーン気質〟の音楽家であった。ウィーンに生まれ、ウィーン音楽アカデミーに学び、1932年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、翌年からウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとなり、1939年から1970年までコンサートマスターを務める傍ら、ボスコフスキー四重奏団(ウィーン八重奏団に発展)、ウィーン・フィル四重奏団を組織して室内楽演奏に勤しみ、母校で後進の指導にも当たった。1969年にウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団の指揮者に就任、さらにウィーン・モーツァルト合奏団やボスコフスキー合奏団を指揮して活躍した。ボスコフスキーの存在を忘れがたくさせているのは、何よりも1955年から1979年までウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを弾き振りした時の、これぞウィンナ・ワルツの神髄ともいうべき優雅で爽快な名演によってである。1975年と1979年のライヴ録音盤を含む「ウィンナ・ワルツ大全集」(1957〜1979年、LONDON)と、ウィーン・モーツァルト合奏団を指揮したモーツァルトのセレナード&ディヴェルティメント全集(1967〜78年、LONDON)は、ともに永遠の遺産といえる。
  • Record Karte
  • ワルツ『スペイン』 op.236、ポルカ『真夜中』 op.168、ワルツ『スケートをする人々』 op.183、ギャロップ『プレスティッシモ』 op.152、ワルツ『女学生』 op.191、ポルカ『美しい唇』 op.163、ワルツ『歓呼の声』 op.223、ポルカ『フランス気質』 op.182。録音:1976年5月モンテカルロ、パレ・ガルニエでのステレオ、アナログ・セッション、Producer: John Mordler, Balance Engineer: Christopher Parker。
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スケートをする人々~ワルトトイフェル作品集(UHQCD)
ボスコフスキー(ウィリー)
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-05-17