34-20132

商品番号 34-20132

通販レコード→英ダークレッド銀文字盤 英DECCAプレスのED1相当

流動性と豪快さを備えた純音楽的名演。 ―  ピエール・モントゥーが晩年に遺した名盤の一つ。モントゥーの指揮は冒頭から引きつけるものがある。一言で表現すれば〝大人の風格〟か、明快さ、明朗な演奏。若手のやる気満々の指揮者のような情熱の発散ぶりに驚きを禁じ得ません。メカニックな響きはどこにもなく、細部を緻密に掘り下げるのではなく、全体の曲の雰囲気作りと大きな有機的なフレージングを信条とした演奏は、今聴いても新鮮です。曖昧な部分がなく、それでいてスケールは極めて大きい。テンポにもフレージングにもまったく無理がなく、表情はさりげないのに味わいがあって滋味豊か。第2楽章のアダージョなど抜群だ。いかにも好好爺を思わせる指揮ぶりが目に浮かぶ。一転して、第3楽章など80歳代半ばの指揮者とは思えないチャーミングさ。最終楽章も活力があり十分に壮大だ。モントゥーは、ブルーノ・ワルターと同じで70歳を過ぎてから益々意気盛んといった感じの人物者。健康的な快速テンポはこの老人の何処に潜んでいるのだろうか、微妙なニュアンスの豊かさ、スポーツ的にとどまらない陶酔感、推進力を裏付ける音楽性 … 。晩年残された録音は全て傾聴に値するといいたくなるほどの名演揃いで、加えて、最晩年になってもあまり衰えることの無かった気力・体力にも恵まれた所為か、ステレオ録音にも素晴らしい演奏がたくさん残されている。何かと共通点の多いワルターとモントゥー、永遠に其の名を刻む大家と言えよう。若いが年寄りめいた指揮者が多い昨今、モントゥーのような指揮者が現れる事希求します。しかし思うにモントゥーというマエストロは、「春の祭典」のセンセーショナルな初演等々近代音楽で名を馳せましたが、晩年に近づくにベートーヴェンやブラームスなどの古典モノに傾倒した指揮者ですね。フランスとかドイツとかチェコとかイギリスとかを感じさせない。カバー表紙の表記は「2番 Op.70」だが現在は「第7番 Op.70」になる1961年初リリース盤。ドヴォルザークは、ほかに第4番の録音があるのみ。ドヴォルザークの交響曲録音で、モントゥーを思い出す方は殆どいないだろう。曲と指揮者が結びつかない。実際モントゥーは4、7番の2曲しか録音していない。2曲とも1959年の英国録音でオーケストラはロンドン交響楽団。それにしてもロンドン響はドヴォルザークの名演が多い、米国のオーケストラとは異なる味わいがある。ロンドン交響楽団のアンサンブルは洗練されているといえないが、金管を中心とした荒ぶる魂の表出は素晴らしい。モントゥーはフランス人(後にアメリカ国籍)で温厚で洒落たイメージだが予想外。ラファエル・クーベリックのような劇的な演出はないが熱く燃えた演奏だ。とにかく一途な情感と説得力がある。小細工はなしで突き進む。丁度PHILIPSに録音したドビュッシーやラヴェル、シベリウスの交響曲第2番等のような雰囲気が出ている。録音場所はキングスウェイ・ホールで音質は低域は厚くないが明確で良好。もちろん本盤は欧州セッションですから、蜜月関係にあった英デッカチームのミシャエル・プレムナー、エンジニアは大御所ケネス・ウィルキンソンが担当した録音だ。
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一人の作曲家が同じジャンルの曲を複数作った場合、交響曲第1番、ピアノ協奏曲第3番といった具合に通した番号が付きます。どんな作曲家でも、番号は作曲された順に付けられるのかと思いきや、結構例外があります。ドヴォルザークが作曲した交響曲は、20世紀中頃までは、5曲とされてきました。最後の《新世界より》が第5番だったわけです。SPレコード時代によく聴かれていたレオポルド・ストコフスキー、アルトゥーロ・トスカニーニのレコードでは第5番となっています。ドヴォルザーク研究の上では、後に初期の4曲が発見され、番号が再整理されることとなりました。楽譜の確認はできていて、ドヴォルザーク原典版は刊行されていましたが、西側でも同じくするまでには時間が必要でした。レコードがモノラルからステレオになる頃が可読と言えそうです。カラヤンのベルリン・フィル盤の初版は「5番」と小さくありながら、「新世界より」を大きくデザインしています。第2版で「5番(9番)」と変わり、その後は「9番(5番)」を経て、「9番」となります。番号は小さい印刷でされていることから、ドヴォルザーク研究の結果をレコード製作者は知っていたと想像できます。それがなかなか切り替わるのに、時間がかかったのか。全9曲がわかっていなかったところか元からあった交響曲の番号は、出版社が勝手に変えたりしていて作曲順にはなっていませんでした。ドヴォルザークの作品を出版した、ジムロック社のビジネス上の思惑もあり作品番号で容易に並べ替えられないジレンマもあります。ドヴォルザークの交響曲第6番作品60は、ドヴォルザークの交響曲としては最初に出版されたため、当初は交響曲第1番とされていた。現在の番号との対比は次のようになっています。当初は第2番とされていた交響曲が7番になるのだからと、順繰りに送れそうですが、3番は現在5番で4番が、現在の8番、第5番は「新世界より」で9番という次第。ドヴォルザークの交響曲はワーグナーの影響が濃く、ワーグナーの『ワルキューレ』からの和音進行が顔を出すほどですが、後期三大となる交響曲は、スラブ風の牧歌的な作風となっていきます。ところが、ドヴォルザークが渡米していて、「新世界」交響曲を作曲する間に、ジムロックはドヴォルザークの若いころの交響曲を、第3番として出版したのです。スコアはドヴォルザークがジムロックに託していたのですが、以前の曲だからという作曲家の添え書きを無視して、新作として作品番号76番を付けて出版しました。そのため、作風は一気に若書きの体となるのです。
1959年10月19〜20日ロンドン、キングスウェイ・ホールでのモノラル&ステレオ録音
GB RCA SB2155 ピエール・モントゥー ドヴォルザーク・交…
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