34-23539

商品番号 34-23539

通販レコード→英ダーク・レッド RED SEAL LIVING STEREO 銀文字盤 英デッカ社謹製ED1相当盤

フランシス・フォード・コッポラの名画〝地獄の黙示録〟でのヘリコプターの爆音はシンセサイザーで作られている ― ウィーン出身のエーリヒ・ラインスドルフは、ナチスを逃れてアメリカに渡り、当地で成功を勝ち取った名指揮者です。彼はアメリカでボストン交響楽団との活躍が長かったせいかアメリカの指揮者のようなイメージを持たれるほどです。ヨーロッパ時代には若くしてアルトゥーロ・トスカニーニやブルーノ・ワルターの助手を務めてオペラ指揮でキャリアを積み、1937年の渡米後も、まずメトロポリタン歌劇場でのキルステン・フラグスタートやラウリッツ・メルヒオールといった大歌手たちと共演したワーグナー指揮でその名声を轟かせました。切れ味鋭い名演の数々に、ラインスドルフのオーケストラ・ビルダーとしての巧みな手腕が100%発揮された。彼の暗譜で行われるリハーサルは、奏者の僅かなピッチの狂いもたちどころに指摘するほど厳格を極めたと伝えられていますが、本番では「音楽は自由であるべきだ」との信念からリハーサルよりもずっと手綱を緩めて素晴らしい名演を聴かせることで知られていました。その成果、ロンドン交響楽団の圧倒的でスリリングなエネルギッシュ感も感じ取れる演奏です。ビルギット・ニルソン、ジョージ・ロンドン、ジョン・ヴィッカーズら豪華歌手陣を起用。どの歌手も最高の時期の歌声と歌唱を聴かせてくれます。特別、第2幕のブリュンヒルデの登場から、ニルソンのクリスタルな声の魅力に引き付けられる。ラインスドルフは1937年にメトロポリタン歌劇場で楽劇《ワルキューレ》を指揮して以来、職人的オペラ指揮者として経験を積みました。本盤に聴ける物語と音楽の完全な把握、そしてその流れを明快かつ感動的につなげる手法は、ラインスドルフらしい技といえるでしょう。しかし同時期に録音されたハンス・クナッパーツブッシュの「ワルキューレ第1幕」と、ゲオルグ・ショルティの「ニーベルングの指環」全曲録音の影に隠れてしまって、脚光を浴びることの少ない不遇の録音ですが、プロデューサーにエリック・スミス、エンジニアにケネス・ウィルキンソンといえば泣く子も黙るデッカの黄金コンビ。RCAとデッカの提携時代の名録音のひとつである。ラインスドルフによる音楽的な設計が超一流なので、この見事な演奏の前では、〝リング全曲録音〟はショルティでなく、ラインスドルフで行うべきだった、とさえ思いたくなる。さて、本盤を肴に、かつてコッポラは『地獄の黙示録』で音楽を冨田勲にオファーしていて、「火星」が想定していたが、「ワルキューレの騎行」に代わった大人の事情を考えてみたい。→コンディション、詳細を確認する
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録音史に残る名録音 ― LIVING STEREO
フリッツ・ライナー=シカゴ交響楽団のRCAレーベルへの録音は、1954年3月6日、シカゴ響の本拠地オーケストラ・ホールにおけるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」のセッションで始まりました。この録音は、その2日後に録音された同じリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」と並び、オーケストラ・ホールのステージ上に設置された、わずか2本のマイクロフォンで収録された2トラック録音にも関わらず、オーケストラ配置の定位感が鮮明に捉えられており、録音史に残る名録音とされています。ステレオ初期のカタログではセミ・プロ仕様の2トラック、19センチのオープンリール・テープは数が限られていましたが、その中でもミュンシュ=ボストン交響楽団のRCAレーベルへの録音は比較的多く存在していました。これ以後、1963年4月22日に収録された、ヴァン・クライバーンとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番まで、約10年の間に、モーツァルトからリーバーマンにいたる幅広いレパートリーが、ほとんどの場合開発されたばかりのこのステレオ録音技術によって収録されました。ヤッシャ・ハイフェッツ、アルトゥール・ルービンシュタイン、エミール・ギレリス、バイロン・ジャニスなど、綺羅星の如きソリストたちとの共演になる協奏曲も残されています。何れもちょうど円熟期を迎えていたライナー芸術の真骨頂を示すもので、細部まで鋭い目配りが行き届いた音楽的に純度の高い表現と引き締まった響きは今でも全く鮮度を失っていません。これらの録音「リビング・ステレオ」としてリリースされ、オーケストラの骨太な響きや繊細さ、各パートのバランス、ホールの空間性、響きの純度や透明感が信じがたい精度で達成された名録音の宝庫となっています。
  • Record Karte
  • ジョン・ヴィッカーズ(ジークムント)、グレ・ブロウエンスティーン(ジークリンデ)、ジョージ・ロンドン(ヴォータン)、ビルギット・ニルソン(ブリュンヒルデ)、デイヴィッド・ウォード(フンディング)、リタ・ゴール(フリッカ)、マルグレータ・エルキンズ(ヴァルトラウテ)、ジュディス・ピース(ヘルムヴィーゲ)、ジュリア・マリヨン(オルトリンデ)、マリー・コリアー(ゲルヒルデ)、ジョーン・エドワーズ(シュヴェルトライテ)、ノリーン・ベリー(ジークルーネ)、ジョゼフィン・ヴィージー(ロスヴァイゼ)、モーリーン・ガイ(グリムゲルデ)、エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)ロンドン交響楽団。1961年9月ロンドン、ウォルサムストゥ・アセンブリー・ホールでの、ステレオ・アナログ/セッション録音。5枚組。
  • GB RCA LDS6706.1-5 ラインスドルフ・ロンドン響 ワ…
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ワーグナー:管弦楽曲集 (xrcd)
ラインスドルフ(エーリヒ)
ビクタークリエイティブメディア
2009-01-28