34-14799

商品番号 34-14799

通販レコード→英ホワイト・アンド・ブラック・スタンプ・ドッグ、カラー・スタンプ・ドッグ黒文字盤二種混

〝重厚&メタリック〟な音色によって聴いたらすぐに分かる1970年代以降の〝カラヤン・サウンド〟 ― NHK-FMで日曜日午後2時から放送している『きらクラ』では、ここ最近は「ベートーヴェンは冬」、「ブラームスは秋」だとナビゲーターのふかわりょうさんが独断で、クラシック音楽の大作曲家たちを季節に当て込むのがトレンドとなっていて、一昨日の11月初週の放送では「ラヴェルは季節感につながるようなものではなく、別のもの、硬質に感じる」と遠藤真理さんは口にした。わたしは同じ発音の「高湿」をラヴェルを聴いていると自然と感じるのですが、1970年代以降のヘルベルト・フォン・カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音は〝重厚&メタリック〟な音色によって聴いたらすぐに分かる「クセがある」、「アクが強い」、〝カラヤン・サウンド〟。極めてスタイリッシュかつパワフルで録音も素晴らしく、オーディオ的観点からも胸のすく音の洪水。カラヤン指揮ベルリン・フィルの録音は星の数くらい沢山あるが、ベルリン・フィルの実力を最高に引き出しているという点では当盤も最右翼でしょう。カラヤンのブルックナーの交響曲は多数の録音があるが、本録音はカラヤンの何時もの重厚感がたまらなくいいし、豪華絢爛なベルリン・フィルも健在。当時のベルリン・フィルは木管楽器にジェイムズ・ゴールウェイ(フルート)、ローター・コッホ(オーボエ)、カール・ライスター(クラリネット)、ギュンター・ピースク(ファゴット)など最高の名手が絶頂期を迎えており、そのアンサンブルは他に得られない圧倒的なものです。弦楽器のゴツゴツしたドイツ的な響きも魅力です。この録音はブルックナー・交響曲第4番《ロマンティック》と第7番の2曲がまとめて録音され、3枚組のLPで発売されたのが初出。
この時期の英EMIとヘルベルト・フォン・カラヤンは非常に濃厚な仕事をしています。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と違い、毎晩オペラ座のオーケストラ・ピットで演奏する代わりに、ステージ上からオーケストラ曲を演奏するコンサート・オーケストラだ。この、日常オペラの伴奏をしないオーケストラはカラヤンとの録音を通してオーケストラ演奏に表情を獲得した。英EMIは過去60年にわたり450以上のオペラ録音を続けており、偉大なアーティストによる録音の継続の中で、現在もアンジェラ・ゲオルギュー、ナタリー・デセイ、ジョイス・ディドナート、ロベルト・アラーニャ、アントニオ・パッパーノなどによる新録音が加わっています。カラヤンは1960年にはウォルター・レッグとの縁切れにあわせ、EMIと疎遠になってしまいました。替わってドイツ・グラモフォンとロンドンDECCAの録音に関わるようになります。そして1970年はレコード界では大きな変革の年でもあります。オランダ・フィリップスがドイツ・グラモフォンの補助的な役割から主導的な役割に変化します。そこにはスター音楽家をドイツ・グラモフォンがかき集め過ぎ、録音演目調整がうまくいかなくなったことによりました。これの端的な例がマーラー録音です。若手の大物指揮者たちは皆マーラーが録音したいと唱えだし、歌手や合唱団、録音スタッフに及ぶまで人件費も含めて経費を考えたときドイツ・グラモフォンでは賄えません。その中でベルナルト・ハイティンク、コリン・ディビス、小澤征爾ら売れる指揮者に、積極的にフィリップスを主要な活動の場として与えました。そして、1970年代は映像のつながりとオペラの積極的録音があげられます。また、1970年代半ばからPCM録音(パルス・コード・モジュレーション)技術が実験され、1980年になるとそれが本格的にデジタル録音として登場しますが、1970年代はステレオ録音の総決算でもありました。9月に録音契約を更新、終身カラヤンはドイツ・グラモフォンとベルリン・フィルとウィーン・フィルを指揮する専属契約をしていましたが、併せてカラヤン自身も再びEMIを活動の場の1つとしました。そしてベルリン・フィルを引き連れてEMIと録音することも始めます。本盤は、そうして登場します。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、残された録音もSP時代からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。その中でも、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との結び付きがいよいよ強固なものとなり、続々と水準の高い録音が続々と行われた1970年代は、カラヤンの録音歴の中でも一つの頂点を築いた時代といえます。本盤は1970年から翌1971年にかけて録音されたこのブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」と、交響曲第7番との組み合わせで3枚組LPとして1971年に発売され、音楽之友社「レコード・アカデミー賞」を受賞するなど高い評価を得た人気の名盤です。壮麗な力がみなぎり、徹底的に磨き抜かれたこの演奏に、ガツンと一発食らわされた感じだった。カラヤンは当時「自分とベルリン・フィルは今、一番良い状態にある」と語ったことがあるが、そうした彼らの志気と埃の高さが最もよく示された演奏の一つといってよいだろう。この後のカラヤンのすべてのブルックナー演奏に共通する耽美的ともいえる響きの美しさや、レガートをたっぷりと付けた縁取りの濃い旋律表現等々、すでにこの頃の録音から聴き取ることが出来る。しかし、これは後年の演奏で聴ける円熟味を加えた充実の演奏とは異なる、壮年期のカラヤンの気迫漲る圧倒的な名演であり、他のスタジオ録音からはなかなか聴くことのできない仕上がりとなっているのは、プロデューサーが前出のモーツァルト同様ミヒャエル・グロッツであるからではと思われる。〝カラヤン・サウンド〟のディスクでは、ディレクターのミシェル・グロッツ、およびレコーディング・エンジニアのギュンター・ヘルマンスの名を例外なく目にする。1950年代初頭から1972年までベルリン・フィルの録音がほぼ独占的に行なわれていた、ベルリン郊外のダーレム地区にあるイエス・キリスト教会の持つ豊かな響きを得ることで、カラヤンの演奏の志向する旋律線の息の長さ、一瞬一瞬の響きの美しさがまさに理想的な形で収録されていたからです。カラヤンは1975年に同じベルリン・フィルを指揮したドイツ・グラモフォン盤、最晩年の1989年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したこれまたドイツ・グラモフォン盤もあるが、1971年英EMI盤が音楽の輪郭が最も明瞭で、ブルックナーの音楽が持つ激しさ、厳しさが際立っている。速めのテンポを取っているように見えながらもスケールは巨大で、後年のカラヤン盤の描くアルプスよりさらに標高が高い眺めを堪能出来る ― イメージ上、カラヤンは最もアルプス的でなさそうな指揮者なのだが、アルプス的スケールを感じてしまうのである。しかもベルリン・フィルが演奏しているから、技術的に全く問題がない。カラヤン全盛時の録音であることも相俟ってその美音には身震いするほどである。これを聴けば、ベルリン・フィルとのブルックナー録音を全部聴きたくなる人が現れてもおかしくないだろう。連続聴破したら、同じ9曲あるベートーヴェンと比べると凄く疲れるが...
カラヤンのブルックナー作品への傾倒は第2次大戦前からのことで、演奏会では交響曲第4番以降の諸曲をコンスタントに取り上げていましたが、録音面ではステレオ時代の到来を待ってようやく1957年に実現したベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との交響曲第8番が最初でした。その後、ベルリン・フィルとの録音が本格化した1960年代にはなぜかブルックナーの録音は行われず、業を煮やした音楽ファンにようやく1971年になって届けられたのが、この交響曲第4番と第7番だったのです。ブルックナーの全交響曲の中でも、「ロマンティック」というタイトルとも相まって、早くから最も人気のある第4番と、最も流麗な響きと美しいメロディで知られる第7番は、絶頂期をむかえていたカラヤン+ベルリン・フィルの芸術性を表現するのにまさにうってつけの作品であり、ここでも重厚で艶やかな金管、厚みのある弦、明滅する木管ソロの美しさ、そして各パートの精巧無比な統一感のある響きなど、カラヤンのもとで20世紀後半のオーケストラ美学を極めていたベルリン・フィルの充実ぶりを刻印しています。カラヤンはブルックナーを抒情派の音楽家としてとらえている。したがって、カラヤンによって指揮された時、ブルックナーのシンフォニーは、ともすると際立ちがちなあの物々しさを、ごく控えめににしか示さない。ブルックナーのシンフォニーは大伽藍のごとくに聳え立つといわれたりするが、その表現はカラヤンによって再現されたものにはあてはまらない。そのようなカラヤンによるブルックナーのとらえ方が、ここで端的に示されている。交響曲第4番はロマンティックであり、同時にリリックでもある演奏である。基本的にハース版を使用しながらも、改訂版の表情を引用するなど、「ロマンティック」というタイトル通りの名演となっています。 カラヤンとベルリン・フィルは、この後1975年にブルックナーの交響曲全集の一環としてドイツ・グラモフォンに交響曲第4番の再録音を行なっていますが、1970年代に比較的短いスパンでEMI→DGと再録音が行なわれたモーツァルトやチャイコフスキーの後期交響曲集などと同じく、このブルックナーの交響曲第7番も、時期の早い英EMI盤の方にむしろこのコンビ独自の魅力がよりはっきりと出ているといえるでしょう。この黄金コンビの全盛時代ならではのオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築を行っているし、オーケストラは雄弁だ。いずれにしても、凄い演奏であるし超名演に値すると言える。
ヨーロッパの音楽界を文字通り制覇していた「帝王」カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と、ドイツでの拠点を失ってしまった英H.M.V.の代わりとなったドイツ・エレクトローラとの共同制作は、1970年8月のオペラ『フィデリオ』の録音を成功させる。カラヤンのオーケストラ、ベルリン・フィルの精緻な演奏は、ヘルガ・デルネシュ、ジョン・ヴィッカースの歌唱を引き立てながら繊細な美しさと豪快さを併せ持った迫力のある進め方をしています。有名なベートーヴェンのオペラが、ただオペラというよりオラトリオのように響く。カラヤンは1972~76年にかけてハイドンのオラトリオ『四季』、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、さらにベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』という大曲を立て続けに録音しています。ドイツ、オーストリアの指揮者にとって、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスは当然レパートリーとして必要ですが、戦後はワーグナー、ブルックナーまでをカバーしていかなくてはならなくなったということです。ヘルベルト・フォン・カラヤンが是が非でも録音をしておきたいワーグナー。当初イースターの音楽祭はワーグナーを録音するために設置したのですが、ウィーン国立歌劇場との仲たがいから、オペラの録音に懸念が走ることになり、彼はベルリン・フィルをオーケストラ・ピットに入れることを考えました。カラヤンのオペラにおける英EMI録音でも当初はドイツもの(ワーグナー、ベートーヴェン)の予定でしたが、1973年からイタリアもののヴェルディが入りました。英EMIがドイツものだけでなく、レパートリー広く録音することを提案したようです。この1970年代はカラヤン絶頂期です。そのため、コストのかかるオペラ作品を次々世に送り出すことになりました。オーケストラ作品はほとんど1960年代までの焼き直しです。「ベルリン・フィルを使って残しておきたい」というのが実際の状況だったようです。この時期、新しいレパートリーはありませんが、指揮者の要求にオーケストラが完全に対応していたのであろう。オーケストラも指揮者も優秀でなければ、こうはいかないと思う。歌唱、演奏の素晴らしさだけでなく、録音は極めて鮮明で分離も良く、次々と楽器が重なってくる場面では壮観な感じがする。非常に厚みがあり、「美」がどこまでも生きます。全く迫力十分の音だ。ベルリン・フィルの魅力の新発見。そして、1976年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から歩み寄り、カラヤンとウィーン・フィルは縒りを戻します。カラヤンは1977年から続々『歴史的名演』を出し続けました。この時期はレコード業界の黄金期、未だ褪せぬクラシック・カタログの最高峰ともいうべきオペラ・シリーズを形作っています。
ブルックナー:交響曲第4番&第7番
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
ワーナーミュージック・ジャパン
2009-02-11

第4番は、1970年9月25日&10月16日、第7番は、1970年10月19日、1971年2月3日&4日ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会でのステレオ・セッション。解説書付き、3枚組。[LP初出]1c 165 02 467~8S(1971年)、[日本盤LP初出]AA‐9685~87 (1971年12月)、[プロデューサー]ミシェル・グロッツ、[エンジニア]ヴォルフガング・ギューリヒ。