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GB EMI SLS789/5 ジャクリーヌ・デュ・プレ ベートーヴェン・ピアノ三重奏曲全集

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《メディアに造られたイメージ ー 短く逞しく生きた夭折の天才というイメージは激情系のチェリストとして認知されているが、本当の彼女のチェロは、弾く事を心から楽しむ、自然な演奏にあったのではないだろうかとふと感じました。》最年長がバレンボイム、最年少がズーカーマン、いずれも20代のときの迸る情熱にあふれた名演。バレンボイムとデュ・プレは結婚していて、デュ・プレが指に違和感を覚える2年前、まさに彼女の全盛時の録音。1968年4月にバレンボイムとブラームスのチェロ・ソナタ第1番と第2番、翌69年4月にジェラルド・ムーアとフォーレ:エレジーをレコーディング、その暮れから翌年1月にかけて、ズーカーマン、バレンボイムとベートーヴェンのピアノ三重奏曲全集をレコーディングしています。レコードに成っていない演奏としてはクリストファー・ヌーペン監督のためにシューベルト『ます』の全曲演奏を含むドキュメンタリーを映像収録が同年8月にありました。バレンボイム28歳、ズーカーマン22歳、デュ・プレ24歳のときの録音である。この年齢ならではの煮えたぎる情念があふれ出ている。すでに結婚していたジャクリーヌ・デュ・プレとダニエル・バレンボイム、そして二人と同世代の友人、ピンカス・ズーカーマンとの仲睦まじい共演の記録。気心が知れているというだけでなく、時に火花も散らす激しさも見せる。多くの名演・名盤が存在するベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番“大公”も、他に類がないほどヴィヴィッドな演奏。時にセッション録音であることを忘れさせるような即興性がスリリング。デュ・プレの奏でる調べは、我々の魂の深いところに響く。ひとはジャクリーヌを妖精と呼んだ。たとえ目の前に落とし穴や障害物がいっぱいあっても、ジャクリーヌは大股で踏み入っていく。ジャクリーヌの天性の感は行く道を誤ることがない。ガラミアン門下ならではの美音が魅力のズーカーマンと老巨匠クレンペラーに気に入られたバレンボイムの演奏から、ジャクリーヌのチェロが勢い良くとび出すと音楽の温度が一気に上る。デュ・プレのテクニックは小気味良く、力を抜く余裕はなく音色も時に美感を欠くほどだが、それだけにきれいごとでない独奏が聴くものを圧倒する。1961年、16歳でデビュー、「カザルスに匹敵する」と絶賛を浴びてから9年。レコード会社の肝いりでコンサートツアーとなると協奏曲の演奏を求められるわけで、そこでは作曲家に襲い掛からんばかりの気迫で曲を征服してしまう彼女だが、本当の彼女のチェロは、弾く事を心から楽しむ、自然な演奏にあったのではないだろうかとふと感じました。短く逞しく生きた夭折の天才というイメージは激情系のチェリストとして認知されているが、室内楽を弾かせても抜群の味付けが出来たということがわかります。「天才とは神が与えた重荷だ」というが、4年後に多発性硬化症が発症して28歳でチェロ演奏家として引退するとは思ってもいなかっただろう。ジャクリーヌは生涯に三台のチェロを愛用。16歳のデビューの際に贈られた、ストラディバリが制作した60余りのチェロの中でも指折りの銘器と言われる1713年製ストラディヴァリウス “ダヴィドフ”。それ以前に弾いていたチェロは1673年製ストラディヴァリウス。このレコードでの使用楽器は、バレンボイムがデュ・プレに贈ったセルジオ・ペレッソン製作の近代的チェロ。多発性硬化症で思うように手先に力が入らないジャクリーヌのための考えられた楽器です。このレコーディングの後、1971年頃から症状は進行します。付け加えにはもったいないですが特筆すべきは、彼女らのトリオ演奏の活気はピンカス・ズーカーマンの存在ありきです。繊細な美音ではなくて70年代のロックの息吹が今でも呼吸している伸びやかな美音。ズービン・メータとの仲も良く、優れた録音が多いピンカス・ズーカーマンは近年は指揮者としての親日家として親しまれていますが、娘さん2人がオペラ歌手とロック歌手になって賑やかなことでしょう。丁々発止のやり取りに、ジャズやロックを感じるのは彼女らはロック世代だからだろうか。聴くほどに新鮮な喜びを感じさせてくれるのはバックボーンあってのことではないかしら、と思います。
GB EMI SLS789/5 ジャクリーヌ・デュ・プレ ベートーヴ…
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