34-8976

商品番号 34-8976

通販レコード→英ダーク・プラム・スタンプ盤

ワインガルトナーの大きな財産は19世紀後半の大音楽家達と共に学び、生きてきたことでしょう。 ― フェリックス・ワインガルトナーは、1863年6月2日、現在クロアチアとなっているオーストリア=ハンガリー帝国に生まれました。フランツ・リストに師事しヨハネス・ブラームスとも親交があったというから、もはや音楽史上の人物であるが、そのワインガルトナーが実際に指揮した録音が今日まで伝えられていることは人類にとっての幸いである。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーやブルーノ・ワルターと同時期に活躍し、ウィーン国立劇場とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を勤め、1942年に亡くなるまでに200枚とも言われるSPレコードを残しました。4歳の時、父親が亡くなり、一家はオーストリアのグラーツに移ると、17歳になる1881年までここにいたのですが、音楽評論家エドゥアルト・ハンスリックの知己を得て、ハンスリックの推薦で奨学金をもらい、ライプツィヒ大学に入学。初めは哲学を専攻するが、程なく音楽に身を投じグラーツ、ライプツィヒ、ヴァイマルの各音楽院で学んだ。その後、バイロイト音楽祭で舞台神聖祝典劇『パルシファル』を観てリヒャルト・ワーグナーに出会い、ワイマールでリストに師事した後、若干20歳の時にケーニッヒスブルクの歌劇場で指揮者としてデビュー、自作のオペラも初演しています。そして1887年、24歳でベルリン宮廷オペラの指揮者となり、1908年にはグスタフ・マーラーの後任としてウィーン宮廷オペラの指揮者となりました。また、同時にウィーン・フィルの指揮者として1927年まで務めました。ヨハン・シュトラウス2世、ヨーゼフ・シュトラウス、エドゥアルト・シュトラウス1世の三兄弟、エドゥアルトの長男ヨハン・シュトラウス3世も音楽家として活動した時期と重なり、ワインガルトナーのウィンナ・ワルツ演奏の意味は更に深いものとなります。本盤で一番古い1931年録音になるワルツ《春の声》の、ややゆったりとしたテンポによる優雅な演奏からは、世紀末ウィーンの残り香がほのかに感じられます。ワルツ《酒、女、歌》はパリ管弦楽団との演奏で、その優雅な物腰が、決して現代は聴くことの出来ないものです。また、リスト自身に学んだことからも《メフィスト・ワルツ第2番》《レ・プレリュード》での彼の演奏は不滅の価値を持つと言えるでしょう。ここで重要なのは、ワインガルトナーがヨハン・シュトラウス2世やブラームス、リスト、ワーグナーといった19世紀後半の大音楽家達と共に学び、生きてきたことです。本盤のブラームスの交響曲などやワーグナーのいくつかは、ワインガルトナーの経歴から考えても、とても意義深い録音ですし、ウィーン・フィルと収録したベートーヴェンの《英雄》交響曲も交際のあった作曲者達直伝とでも云えましょう。ベートーヴェンの作品は楽器の工業製品としての発達、進化がまだ不十分な時代に書かれたということを念頭にワーグナーや、ハンス・フォン・ビューローは楽譜に積極的に手を加え、また、テンポや表現法も時代の好みにしたがって感傷的、情緒的に改変して、彼ら自身が欧州各地で指揮者として演奏活動を行なっていた。リストの元でピアノの薫陶を受け、ビューローの影響下で音楽家として歩み始めたワインガルトナーですが、ひとたび指揮者としてデビューするや、彼らと袂を分かつことになります。ワーグナーが演奏した第九がどのようなものであったかを直接音として知ることはもはやできないが、フルトヴェングラーの「バイロイトの第九」と比べても、大げさな表現を排したのがワインガルトナーだった。古典主義的な彼は「過剰」というものを嫌いました。ベートーヴェンの楽譜を子細に研究して、中庸なテンポ・表現が重要であると主張しましたが、それはなによりも音楽が内在する自然な流れを取り戻そうと振るった、改革の鉈だったのでした。1908年から1927年までの19年間、ウィーン・フィルの常任指揮者としてタクトを振ったワインガルトナーですが、ベートーヴェンの交響曲録音に取りかかったのは、その地位を辞任した後に当たります。実質は1939年までウィーン・フィルを指揮し続け、その間にベートーヴェンの交響曲全曲録音として歴史に名を残したのでした。この《英雄》交響曲が録音された1936年はSPレコードの完成期、周波数帯域は8kHzまで拡げられ、 第2次世界大戦後に登場したLPレコードに比べても音質的にさほど遜色はありません。
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Felix Weingartner ‎– The Art Of Felix Weingartner
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  • Side-B Beethoven - Symphony No. 3 In E-Flat Major, Op. 55 "Eroica"
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    1. First Movement : Allegro Non Troppo
    2. Second Movement :Adagio Non Troppo
    3. Third Movement : Allegretto Grazioso
  • Side-D Brahms Symphony No.2 In D Major, Op. 73 – London Philharmonic Orchestra, recorded in The Kingsway Hall, 26th February 1940
    1. Fourth Movement : Allegro Con Spirito
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    3. Wagner - "Tristan Und Isolde" Prelude To Act 3 – recorded in the Théâtre des Champs-Elysées, Paris, 12th May 1939
    4. Beethoven - The Ruins Of Athens Op.113 Overture – London Symphony Orchestra, recorded in The Kingsway Hall, 29th February 1940
  • Record Karte
  • 1975年発売。Compiled from EMI Archives and re-transferred by Bryan Crimp
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2017-03-10