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GB EMI HQS1152 ダニエル・バレンボイム ベートーヴェン・ピアノソナタ

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《華麗ではないが、多様をきわめるテクニック。 ― 崇高なまでの詩情と壮大な構築は、24歳という若い年輪をすっかり忘れさせてしまった。》シュナーベル記念のベートーヴェン・メダルを受けたというだけに、バレンボイムは、ベートーヴェンに特に自信を持っているのだろう。若いに似合わず、なかなかしゃれた味を出している(門馬直美) ― 近年は指揮活動が中心となっているバレンボイムが、ピアニストとして充実した活動をしていた時期に録音した1枚。「トリスタンを振らせたらダニエルが一番だよ」とズービン・メータが賞賛しているが、東洋人である日本人もうねる色気を感じるはずだろう。だが、どうも日本人がクラシック音楽を聞く時にはドイツ的な演奏への純血主義的観念と偏見が邪魔をしているように思える。ベートーヴェンは固定的な印象を譜面に残していない。同じ譜面を演奏して個性の出る曲こそ、クラシック音楽を楽しむ魅力だ。「作品10」の3曲(第5番~第7番)は、ベートーヴェンの熱心な支持者であったブラウン伯爵夫人アンナ・マルガレーテに献呈されました。第5番は、ソナタ形式の通常の4楽章ではなく、スケルツォを省略した3楽章構成。簡潔ながら力強い緊張感を持ち、特に第2楽章の美しい旋律は必見です。第6番は、ソナタ形式の通常の4楽章ではなく、緩徐楽章を省略した3楽章構成。軽快で力強く即興的な音楽がお楽しみいただけます。第7番は、3曲の中で最も規模が大きく、特に「メスト」(悲しく)と書かれた第2楽章は、ベートーヴェン作品の中でも最も深刻な表情を持つ音楽の一つ。バレンボイムはアルゼンチンというスペイン語圏から出て、コスモポリタンとなり、大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインからも強い影響を受けたピアニストです。1942年、ブエノスアイレスでロシア系ユダヤ人の家系に生まれる。ビートルズと同世代で、フルトヴェングラーのシューベルト《グレート交響曲》の各楽章が片面に収まったレコードが登場して話題になっている。彼こそロックとLPレコード時代の演奏家だ。7歳でピアニストとしてデビューしたバレンボイムの演奏を聴いた指揮者、マルケヴィッチは『ピアノの腕は素晴らしいが、弾き方は指揮者の素質を示している』と看破。52年、一家はイスラエルへ移住するが、その途上ザルツブルクに滞在しフルトヴェングラーから紹介状“バレンボイムの登場は事件だ”をもらう。エドウィン・フィッシャーのモーツァルト弾き振りに感銘し、オーケストラを掌握するため指揮を学ぶようアドヴァイスされた。65年、イギリス室内管弦楽団とのモーツァルトの弾き振りのモーツァルト全曲演奏で評価を確立。若き日のバレンボイムの情感豊かでメリハリとパンチの効いたピアノ、透明感のある響きが美しく、すっきりとした仕上がりとなっている。ジャクリーヌ・デュ・プレ、その天才的チェリストとの出会いは66年12月、フー・ツォン宅にて。夜通し室内楽演奏に興じて意気投合、数カ月後には結婚を決意していた。ユダヤ教への改宗は“偉大な音楽家の多くはユダヤ人”との事実から彼女が望んだことだった。1966年から1969年にかけてという時期をジャクリーヌ・デュ・プレと共に、苦悩したものがベートーヴェンの後期の作品の録音とシンクロするものがあったのでしょう。『近年の教育と作曲からはハーモニーの概念が欠落し、テンポについての誤解が蔓延している。スコア上のメトロノーム指示はアイディアであり演奏速度を命じるものではない。』と警鐘し、『スピノザ、アリストテレスなど、音楽以外の書物は思考を深めてくれる』と奨めている。バレンボイムの演奏の特色として顕著なのはテンポだ。アンダンテがアダージョに思えるほど引き伸ばされる。悪く言えば間延びしている。そのドイツ的重厚さが、単調で愚鈍な印象に映るのだ。その反動のように終楽章の破綻を恐れないおもいっきりの良さ。血の気の多さ、緊迫感のようなものが伝わってくる背筋にぞっとくるような迫力があります。この、若い時のレコードでも変わらないところで、このロマンティックな演奏にこそバレンボイムを聴く面白さがあるのです。
GB EMI HQS1152 ダニエル・バレンボイム ベートーヴェン…
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