34-14539

商品番号 34-14539

通販レコード→赤地に黒文字、白黒切手ニッパー、英オリジナル盤

ワイセンベルク絶頂期のダイナミズムと繊細さ、剛柔を併せ持ったピアニズムが美しい。 ― 国内盤は東芝EMIから当時「帝王ふたり〈皇帝〉中の〈皇帝〉」のキャッチ・フレーズでリリースされた。ヘルベルト・フォン・カラヤンの作る完璧なオーケストラ演奏と、それに応える強靭なアレクシス・ワイセンベルクのピアノは華麗の極みです。カラヤンの「お気に入り」として、1960年代後期から1970年代にかけて数々の録音を残したワイセンベルク。この『皇帝』はその代表盤で、冒頭のティンパニの楔がガツンと決まって、幕を開ける。弦楽器の壮麗なことはこのうえない。『皇帝』という曲に求めたい華やかさが、これでもかというほど堪能することができる。カラヤンに迷いなし。ワイセンベルクも期待を裏切らない。期待とは、カラヤンが想定したであろう方向を創造している。硬質なピアノの音はどこまでも明快であいまいさがない。英EMIの録音は全体的に高音が強いから、きらびやかだ。たぶんそれに合わせているのだろう、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はいつもより重厚さを抑えている。計算され尽くしたうえで、披露するプロの芸の凄さを感じる。カラヤンにとって意外にも初のベートーヴェン・ピアノ協奏曲全曲録音となり、カラヤン&ベルリン・フィルとワイセンベルクという当時の人気アーティストが揃ったアルバム。そして、プロデューサー、グロッツへのカラヤンとワイセンベルクの信頼が成し得た頂点に向かうひたむきな演奏が残された貴重なアルバムでもあるものです。本盤のEMIの録音も、この時期にドイツ・グラモフォンにベルリン・フィルと行ったブルックナー・交響曲全曲録音もプロデューサーはグロッツです。全く系列の違う業界の両方の録音に彼が関わっているのです。このグロッツとカラヤンの間柄について、カラヤンの食事の時のエピソードとして、カラヤンと親しく交流のあった真鍋恵子さんの話をご紹介します。お昼はだいたい決まっていましたね、簡単なもの。夜はとてもくつろいで、キアンティを片手に、楽しく食事をしていましたけれど。食事中の鉄則は、〝絶対に仕事の話をしない〟ということ。(笑)本当に、絶対に仕事の話は出ませんでした。録音ディレクターでミシェル・グロッツさんという人がいましたが、彼がメチャクチャに面白い人なんです。フランス人でパリに住んでいた人ですが、とにかく本当に冗談を言うのが上手で、カラヤンさんは彼が大好きで、ご飯のときは必ず彼がいて常に笑い転げていました。彼とのやり取りが、いつも本当に面白かったです。演奏旅行にいくと、空港とかの待ち時間で、何もすることない時間がありますよね?そうするとカラヤンさんが〝ミシェル、あの交響曲の3楽章の第二ファゴットのどこどこの部分〟と必ず速いパッセージを挙げると、ミシェルがそこを全部〝ドレミ〟で超絶スピードで歌うのです。それがカラヤンさんは可笑しくて、お腹をかかえて笑っていました。本当にあの2人の掛け合いは面白かったですね。後にはドイツ・グラモフォンのレコーディングでもミシェルがやっている録音が沢山ありますよ。このグロッツにはカラヤンも胸襟を開いて付き合っていたことが伝わってきます。そうしたカラヤンとベルリン・フィルの、1960年代後半から1970年代にかけてのレコーディングは重厚長大というのが演奏の主流を占めていました。1977年ベルリン・フィル来日公演にもワイセンベルクはソリストとして同行、東京・普門館での「ベートーヴェン・ツィクルス」では「第3番」とこの「皇帝」を披露した。東京FM開局40周年を記念したこの「ベートーヴェン交響曲全ツィクルス・ライヴ」の録音が2012年に、ワイセンベルク追悼盤としてCD化され、その肉感的で筋肉質、質実剛健な音楽と、艶っぽさが優るEMIセッション録音の本盤との聴き比べは話題となった。それにしても、ワイセンベルグはどのようにも、ピアノが弾けた人だった。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、残された録音もSP時代からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。その中でも、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との結び付きがいよいよ強固なものとなり、続々と水準の高い録音が続々と行われた1970年代は、カラヤンの録音歴の中でも一つの頂点を築いた時代といえます。ヨーロッパの音楽界を文字通り制覇していた「帝王」カラヤンとベルリン・フィルと、ドイツでの拠点を失ってしまった英H.M.V.の代わりとなったドイツ・エレクトローラとの共同制作は、1970年8月のオペラ『フィデリオ』の録音を成功させる。カラヤンのオーケストラ、ベルリン・フィルの精緻な演奏は、ヘルガ・デルネシュ、ジョン・ヴィッカースの歌唱を引き立てながら繊細な美しさと豪快さを併せ持った迫力のある進め方をしています。有名なベートーヴェンのオペラが、ただオペラというよりオラトリオのように響く。カラヤンは1972~76年にかけてハイドンのオラトリオ『四季』、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、さらにベートーヴェンの『ミサ・ソレムニス』という大曲を立て続けに録音しています。ドイツ、オーストリアの指揮者にとって、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスは当然レパートリーとして必要ですが、戦後はワーグナー、ブルックナーまでをカバーしていかなくてはならなくなったということです。カラヤンが是が非でも録音をしておきたいワーグナー。当初イースターの音楽祭はワーグナーを録音するために設置したのですが、ウィーン国立歌劇場との仲たがいから、オペラの録音に懸念が走ることになり、彼はベルリン・フィルをオーケストラ・ピットに入れることを考えました。カラヤンのオペラにおける英EMI録音でも当初はドイツもの(ワーグナー、ベートーヴェン)の予定でしたが、1973年からイタリアもののヴェルディが入りました。英EMIがドイツものだけでなく、レパートリー広く録音することを提案したようです。この1970年代はカラヤン絶頂期です。そのため、コストのかかるオペラ作品を次々世に送り出すことになりました。オーケストラ作品はほとんど1960年代までの焼き直しです。「ベルリン・フィルを使って残しておきたい」というのが実際の状況だったようです。この時期、新しいレパートリーはありませんが、指揮者の要求にオーケストラが完全に対応していたのであろう。オーケストラも指揮者も優秀でなければ、こうはいかないと思う。歌唱、演奏の素晴らしさだけでなく、録音は極めて鮮明で分離も良く、次々と楽器が重なってくる場面では壮観な感じがする。非常に厚みがあり、「美」がどこまでも生きます。全く迫力十分の音だ。ベルリン・フィルの魅力の新発見。そして、1976年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から歩み寄り、カラヤンとウィーン・フィルは縒りを戻します。カラヤンは1977年から続々『歴史的名演』を出し続けました。この時期はレコード業界の黄金期、未だ褪せぬクラシック・カタログの最高峰ともいうべきオペラ・シリーズを形作っています。カラヤンのレコードでは、芸術という大目的の下で「人間味」と「完璧さ」という相反する引き合いが、素晴らしい相乗効果を上げる光景を目の当たりにすることができる。重厚な弦・管による和声の美しさ、フォルティシモの音圧といった機械的なアンサンブルの長所と、カラヤン個人の感情や計算から解き放たれた音楽でもって、音場空間を霊的な力が支配しており、聴き手を非現実の大河へと導く。
  • Record Karte
  • 1974年5月ベルリン、フィルハーモニーでのスタジオ録音 Engineer – Wolfgang Gülich, Producer – Michel Glotz
  • GB EMI  ASD3043 アレクシス・ワイセンベルク ベートー…
  • GB EMI  ASD3043 アレクシス・ワイセンベルク ベートー…
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ワイセンベルク(アレクシス)
ワーナーミュージック・ジャパン
2012-06-27