34-20464
商品番号 34-20464

通販レコード→ 英ブルー・レーベル黒文字盤 DIGITAL
ユニークな企画の火付け役 ― ストコフスキー・フリークでもある指揮者、ジェフリー・サイモンは企画プロデューサーとしても抜群。クラシック・レコード業界に旋風を巻き起こすのも性に合うのだろう。ストコフスキー協会会長でもあるだけに留まらず、ロンドンで自らCALAレーベルを設立して、その復刻に尽力。彼の意向が反映した埋もれた作品の発掘にも積極的で、大作曲家の珍しい作品ばかりを世に出して話題となった世界初録音盤も多く存在します。こういう企画趣旨の元集うレコーディングは、きっと充実していたに違いない。本盤でも、そうした特徴が顕著に現れている。幻想序曲『ロメオとジュリエット』は初稿版を使用したレア録音。チャイコフスキーは交響曲第1番と第2番の作曲時期の合間にあたる1869年にこの初稿版を書き上げているのだが、冒頭部分に「ローレンス僧」の主題はなく、実に平和でのどかな雰囲気の旋律でスタートするので、一聴して現在演奏される曲とは全く違う版となっている事に、まずびっくりさせられてしまう。その後、「ロメオとジュリエット」のテーマは出てくるものの、「ローレンス僧」の主題がないので中間部のトランペットも現在と違ったフレーズになっている。手が加えられ、1880年に現在演奏される形となる頃は、交響曲第4番を含む、後期3大交響曲に取り組む時期であった事もあり作曲者の最も油の乗り切ったオーケストレーションに進化を遂げていることが、改めて認識できて興味深い。ロシア軍がスウェーデン軍を破るという、愛国的史実を題材に描いている『マゼッパ』は、マイナー歌劇のなかの一曲なので知られていないだろうが「1812年」と似ている。しかし、ロシア帝国国歌の代わりに「スラヴァ」という愛国歌が輝かしく登場する。ロシア帝国国歌は、ロシア皇太子とデンマーク王女とのご成婚を記念して書かれた『デンマーク国歌による祝典序曲』では、デンマーク国歌の下から堂々と浮かび上がるように登場する。チャイコフスキーの管弦楽曲は珍しい曲ではなく表看板で、数多くの演奏で聴き慣れているからこそ未開拓のバージョンを聴くと、ことさらにチャイコフスキーが自信満々に発表した最終稿が際立つ。瓢箪から駒。最も有名なピアノ協奏曲第1番の長大な序奏を改定するように何度も要求されながらも、頑として貫いた心裏が見える。ユニークな企画の賜物だ。
初期はイギリス音楽に特化していた「シャンドス」(Chandos)レーベルの名称は、ヘンデルが宮廷作曲家として使えたジェイムズ・ブリッジス(第1代シャンドス公爵)に由来する。1979年に、イギリスの実業家ブライアン・カズンズが、発売されたばかりのソニー製PCM録音機を使っての自主制作を行なった。とくに、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、1983年以降、CDの一般への普及とともに、シャンドスはその業績を急激に伸ばしていった。サウンドにおいては、同時期に立ち上がったテラークと比較されることの多いシャンドスだが、ワンポイントではなくデッカ譲りのマイク・アレンジを駆使し、豊かなホールトーンと繊細なオーケストラ・イメージを描いている。デジタル黎明期に成功を収めた新興レーベルの雄としてのイメージが強いが、社長でありプロデューサーのカズンズがカタログ・ラインナップから音作りまで一貫して管理し、厳密にシャンドスのレーベル・イメージを作り上げてきた。母体は1963年設立のバンド・ミュージックの出版を手がけるシャンドス・ミュージック及び1970年設立のシャンドス・プロダクションズで、クラシック・フォー・プレジャーのほか、もっぱらRCAのイギリスのクラシック音楽を対象としたレーベルのためにLP制作を手がけていた会社で、カズンズはフリーの音楽プロデューサー兼エンジニアとしてその業務を行っていた。1979年にRCAがロンドンにおける業務から撤退したことに伴い設立された、ヴィンテージ・レコード・ファンがデッカや、H.M.V.の音作りを思い出すのが納得できる。とくに、〝シャンドス・サウンド〟とも呼ばれる、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、ジェフリー・サイモンはブライアン・カズンズについて大変優れた耳を持っており、常人には聴こえない音を聴くことができるエンジニアだったと語っている。カタログには、知名度の高い作曲家の作品はもちろんのこと、ハーバート・ハウエルズ、ジェラルド・フィンジ、チャールズ・スタンフォード、アーノルド・バックスのようなあまり知られていないイギリスの作曲家による交響曲や合唱曲、吹奏楽曲、室内楽曲が多く含まれている。初めて制作した録音はブロッホの『神聖祭儀』(アヴォダート・ハコデシ)で、当初から新人の発掘には力を入れており初期の録音にはマリス・ヤンソンス、ナイジェル・ケネディ、キングズ・シンガーズといったアーティストが著名になってEMIと契約を締結する前に残した作品があるほか、リチャード・ヒコックス、ジャナンドレア・ノセダ、ネーメ・ヤルヴィ、ヴァーノン・ハンドリーといった指揮者が録音している。
幻想序曲『ハムレット』、幻想序曲『ロメオとジュリエット』、デンマーク国歌による祝典序曲、弦楽セレナーデ、歌劇『マゼッパ』。1981年1月ロンドン、オール・セインツ教会でのセッション、ステレオ・デジタル録音。1981年リリース、2枚組。
GB Chandos DBRD2003 ジェフリー・サイモン チャイ…
GB Chandos DBRD2003 ジェフリー・サイモン チャイ…
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