34-19721
通販レコード→ブルー・アンド・シルヴァー盤[オリジナル]

GB COLUMBIA SAX2398 オットー・クレンペラー メンデルスゾーン・交響曲4番「イタリア」/シューマン・4番

関連記事とスポンサーリンク
《武骨で不器用な男気に溢れた演奏》メンデルスゾーンもシューマンも、作曲家の視点ではなく、自分に引き寄せ気味ですが、そのスコアに書かれたものを描き出そうとしている。メンデルスゾーンの軽やかなイメージを覆した、クレンペラーならではのアプローチによる演奏です。メンデルスゾーンの《イタリア》は、旅の思い出を一筆で一気に書き上げたような軽快で爽快な音楽。一作曲家としてはイギリスの島々まで及ぶ贅沢な大旅行ですが、クレンペラーは、そういう作曲の背景に気持ちを動かされないスコアに書かれた音楽世界だけに忠実だ。北ヨーロッパ人が南国イタリアに憧れるという境地を描いた演奏といえば分かりやすいか、この北ヨーロッパ人というのはクレンペラー自身である。本演奏の深沈たる味わい深さとスケールの雄大さにおいては、他の演奏とは比較しようのない出色のものがあると言えるのではないだろうか。これに対して、シューマンの交響曲第4番は、曲から深遠な神秘性を引き出した感動的内容になっています。クレンペラーの本演奏におけるアプローチは、意外にも早めのテンポによる演奏であるが、スケールの雄大さは相変わらずであり、重厚さにおいてもいささかの不足はない。どっしりしたテンポの中に、隅々まで彫琢を施し、響きの透明度を出しながらも、強奏ではすさまじい迫力を出してくる。いささかも隙間風の吹かない堅固な造形の剛毅にして壮麗な音楽が紡ぎだされた、クレンペラーの優れた音楽性が伺える1作といえる。シューマンが同曲に込めた寂寥感や絶望感を鋭く抉り出していくような奥行きのある演奏に仕上がっている。
GB COL SAX2398  オットー・クレンペラー メンデルスゾ…
GB COL SAX2398  オットー・クレンペラー メンデルスゾ…