34-14650
商品番号 34-14650

通販レコード→ 英ブルー・レーベル黒文字盤 DIGITAL
きりっと仕上げた濃厚系 ― マリス・ヤンソンス初期の代表的なレコーディング。CD時代になって、EMIバジェット・シリーズで名前を覚えた。サイモン・ラトルがイギリス音楽の指揮者で、ウォルフガング・サヴァリッシュのNHK交響楽団での活躍を注目していた頃だ。36歳のヤンソンスがオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任したのは1979年。その当時は一地方団体とみなされていたこのオーケストラを短期間で国際的水準にまで高めた気鋭ぶりは大変に有名ですが、オスロ・フィルの側も、1977年に新設されたフィルハーモニック・ホールに本拠を移し、これに伴う組織改編でメンバーが大幅に若返るなど従来にない意欲の高まりがあって、ヤンソンスの果敢な指導を積極的に受け入れたと伝えられています。その上昇機運を証明するかのように両者は1983年にイギリス・ツアーを行い、大成功させます。そのイギリスからの帰国直後、ヤンソンスとオスロ・フィルはそれまでの成果を世に問うために本拠で自費録音をおこなってデモ・テープを作り、このテープに収められたチャイコフスキーの交響曲第5番を聴いたシャンドス・レーベルの首脳が即座に交響曲全集レコーディングの契約を決断した、という逸話はあまりにも有名です。もちろん、シャンドスでの第5番は後の正式なセッション・レコーディングによるものですが、そうした逸話を生々しく再現するかのような若々しい意欲がレコードを通じて感じられることは事実で、日本でもチャイコフスキーの初期の交響曲を聴く機会を得られたことを支持するリスナーが数多いこと、そしてヤンソンス自身「自分のもっとも優れたレコーディングのひとつ」とたびたび述べていることも、その名演ぶりを裏書きしていると言えるでしょう。最近でもヤンソンスは2004年にバイエルン放送交響楽団と『悲愴』をはじめとして、ライヴ録音しており密度の高い見事な演奏を披露していますが、本盤で聴くことができる壮快な熱気とオスロ・フィルとの組み合わせならではの透明度の高いリリシズムにはまた別な魅力が備わっていると言えるでしょう。マエストロの伝説を語る時に引き合いに出せる記念碑と言いたいレコードです。
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初期はイギリス音楽に特化していた「シャンドス」(Chandos)レーベルの名称は、ヘンデルが宮廷作曲家として使えたジェイムズ・ブリッジス(第1代シャンドス公爵)に由来する。1979年に、イギリスの実業家ブライアン・カズンズが、発売されたばかりのソニー製PCM録音機を使っての自主制作を行なった。とくに、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、1983年以降、CDの一般への普及とともに、シャンドスはその業績を急激に伸ばしていった。サウンドにおいては、同時期に立ち上がったテラークと比較されることの多いシャンドスだが、ワンポイントではなくデッカ譲りのマイク・アレンジを駆使し、豊かなホールトーンと繊細なオーケストラ・イメージを描いている。デジタル黎明期に成功を収めた新興レーベルの雄としてのイメージが強いが、社長でありプロデューサーのカズンズがカタログ・ラインナップから音作りまで一貫して管理し、厳密にシャンドスのレーベル・イメージを作り上げてきた。母体は1963年設立のバンド・ミュージックの出版を手がけるシャンドス・ミュージック及び1970年設立のシャンドス・プロダクションズで、クラシック・フォー・プレジャーのほか、もっぱらRCAのイギリスのクラシック音楽を対象としたレーベルのためにLP制作を手がけていた会社で、カズンズはフリーの音楽プロデューサー兼エンジニアとしてその業務を行っていた。1979年にRCAがロンドンにおける業務から撤退したことに伴い設立された、ヴィンテージ・レコード・ファンがデッカや、H.M.V.の音作りを思い出すのが納得できる。とくに、〝シャンドス・サウンド〟とも呼ばれる、その専用の録音施設と高い技術から生み出される優れた音質には定評があり、ジェフリー・サイモンはブライアン・カズンズについて大変優れた耳を持っており、常人には聴こえない音を聴くことができるエンジニアだったと語っている。カタログには、知名度の高い作曲家の作品はもちろんのこと、ハーバート・ハウエルズ、ジェラルド・フィンジ、チャールズ・スタンフォード、アーノルド・バックスのようなあまり知られていないイギリスの作曲家による交響曲や合唱曲、吹奏楽曲、室内楽曲が多く含まれている。初めて制作した録音はブロッホの『神聖祭儀』(アヴォダート・ハコデシ)で、当初から新人の発掘には力を入れており初期の録音にはマリス・ヤンソンス、ナイジェル・ケネディ、キングズ・シンガーズといったアーティストが著名になってEMIと契約を締結する前に残した作品があるほか、リチャード・ヒコックス、ジャナンドレア・ノセダ、ネーメ・ヤルヴィ、ヴァーノン・ハンドリーといった指揮者が録音している。
1985年4月オスロ、コンサート・ホールでの Producer – Brian Couzens, Engineer – Dag Kristoffersen によるセッション、ステレオ・デジタル録音。
GB chandos ABRD1173 マリス・ヤンソンス チャイコ…
GB chandos ABRD1173 マリス・ヤンソンス チャイコ…