34-15261

商品番号 34-15261

通販レコード→ 仏後期ラージドッグ・セミサークル黒文字盤

サクソフォンはジャズの楽器だと思われがちですが、実はれっきとした「クラシック音楽」の歴史の流れの中で誕生した楽器なのです。例えばクラシックのオーケストラの中にも、こんなところで使われています ― 名匠ミシェル・プラッソンは、幅広いレパートリーを持つ指揮者ですが、フランス音楽の紹介には特に力を注ぎ、コンサートやレコーディングを通じての活動には定評があります。19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランス音楽界にはリヒャルト・ワーグナーの影響が絶大で、特にクロード・ドビュッシーなどはそれが顕著なわけですが、ワーグナーと言っても、楽劇「トリスタンとイゾルデ」とか舞台神聖祝典劇「パルジファル」、あるいは楽劇「ジークフリート」の森の場面からの影響であった。南フランスの貴族の家に生まれた自然派作曲家、ヴァンサン・ダンディの、自然に対する深い愛情の吐露が感じられる有名な「フランス山人の歌による交響曲」。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者だった作曲家グスタフ・マーラーが南オーストリア・ヴェルター湖岸のマイアーニックに作曲のための山荘を建て「交響曲第4番ト長調』が完成する、1901年に生まれたアンリ・ソーゲ(Henri Sauguet)は、本名はアンリ=ピエール・プパール(Henri-Pierre Poupart)といったが、5歳の頃から母親の手ほどきでピアノを学び、その後ボルドーのサント=ウラリー教会のオルガニスト、ルロー夫人に師事した。12歳の時に、父を交通事故で失う不運にも見舞われたが、自活を余儀なくされ、務めていた先でジョゼフ・カントルーブと親交を結ぶことになる。ともに蒐集し、和声付けした民謡集が、《オーヴェルニュの歌》にほかならない。ボルドーに戻って、ルイ・エミエやジャン=マルセル・リゾットと「三人組」(Groupe des Trois)を結成し、1920年12月12日に最初の演奏会を行う。この演奏会で、「フランス六人組」のエリック・サティの作品を聴く。1921年10月に、ダリユス・ミヨーに励まされ、ソーゲはパリで、ギメ美術館に務めるかたわら、シャルル・ケクランに師事し、様々な作品を残した。サティに支持されて、1923年10月25日に最初の演奏会をシャンゼリゼ劇場で行う。バレエ音楽「旅芸人たち」は、1945年に作曲された。彼が幼い頃から親しんだ旅芸人たちやサーカスなど、大道芸を演じる人たちの記憶を音楽化したバレエ音楽である。このバレエは1945年3月2日シャンゼリゼ劇場で初演され、大成功をおさめた。サクソフォンはジャズの楽器だと思われがちですが、実はれっきとした「クラシック音楽」の歴史の流れの中で誕生した楽器なのです。例えばクラシックのオーケストラの中にも、こんなところで使われています。ソーゲが、1950年に作曲した組曲「パリの風景」である。弦楽器に管楽器も加わり、ロマンティックな雰囲気の中、サクソフォンに、独奏ヴァイオリンが甘美な旋律で絡んでいく。華やかなパリの雰囲気を伝えている。室内楽作品などで顕著なように、ベースとなっているのはあくまでも当時のフランスの作曲家ならではの明晰なスタイル。本盤、ジャック・コッタンのサクソフォン、カルヴァン・シーブのヴァイオリン、トゥールーズ・キャピトール国立管弦楽団。プラッソンの共感豊かな優れた演奏によって、オーケストレーションの技術が発達した近代作品から、フランス管弦楽の魅力がよく伝わる。曲の隅々に神経を行き渡らせており、初めて実演でこうした曲に接する聴衆にも、「ほら、こんな知られざる名曲があるのですよ」とストレートに訴えかけているようだ。→コンディション、詳細を確認する
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バレエ・デ・シャンゼリゼ(Les Ballets des Champs-Élysées)は、1945〜51年の約7年間シャンゼリゼ劇場(Théâtre des Champs-Elysées)専属のバレエ団として活動した、パリ・オペラ座と並ぶ第2次世界大戦後のフランスを代表するバレエ団である。同バレエ団は、1945年3月にシャンゼリゼ劇場で公演した《旅芸人たち》(Les Forains)などがパリの観客から好評を得たことに端を発して結成され、同年10月にバレエ団として最初の公演をした。ローラン・プティ(Roland Petit, 1924-2011)が、第2次世界大戦直後という戦勝国のフランスも貧困にあえいでいた時代に作った《旅芸人たち》。リズミカルで表情豊かなアンリ・ソーゲの音楽に乗って、荷車とともに登場した芸人たちがテントを建て、仮設舞台を作って手品やダンスを演じていく。バレエ・リュスの一員だったボリス・コフノが考案した筋は誰にもわかりやすく、しかも変化と詩情に富んでいる。バレエ音楽《旅芸人たち》は、作曲者自身であるソーゲの指揮、コンセール・ラムルー協会管弦楽団の演奏による録音のある。第1曲「プロローグ」は、トランペットなど金管楽器により、行進曲のテンポで、軽快に華々しく始まる。旅芸人たちが人々に自分たちの芸をみせようと、勢いこんでいるムードで楽しい音楽だ。ワルツ風の第2曲「旅芸人たちの入場」は、優雅な音楽が金管楽器中心に華々しく展開されていく。徐々にその主題が遠のいていくと、第3曲「下準備」。アダージョの部分で弦楽器中心に叙情的な旋律が、ゆったりとしたテンポで演奏され、木管楽器が軽快に活躍する。やがて金管楽器が加わり、場の中心になって盛り上がり、次の曲に入る。第4曲「客の呼び込み」は、第1曲の旋律が、金管楽器と打楽器中心に現れて、繰り返される。そして、第5曲「本番」は、5つつの部分に分かれている。「椅子を操る少女」、「幻燈」、「道化師」、「シャムの双子」、「手品師」、「人形を操る手品師」という構成になっている。軽快な「椅子を操る少女」のあと、「幻燈」でヴァイオリン独奏が活躍する舞踏風の音楽が展開されたあと、「道化師」の音楽となる。騒がしいムードの音楽がピアノなども交えて奏され、道化師の滑稽な感じが描写される。次の「シャムの双子」は、ゆったりとしたバルカレーロ(舟歌)で、クラリネットやフルートなど木管楽器が絡んでいく。それが終わると軽快に奏される「手品師」の音楽になる。トランペットなど金管楽器も活躍し、華々しい感じの曲である。最後は、「人形を操る手品師」。ゆったりとしたテンポの曲で、フルートやクラリネット、オーボエなど木管楽器が活躍し、徐々にワルツ風の曲になって、盛り上がって終わる。第6曲「フィナーレ」は、明るく楽しいギャロップで、旅芸人たちのみせる芸が終わることを示している。第7曲「集金と旅芸人たちの出発」でふたたび、第1曲の行進曲風の音楽が繰り返される。同じ音楽だが、ここでは溌剌とした元気な感じはみられない。これは客の入りが思ったほど少なく、気を落としている様子を描写してのだろうか。せっかく、人々の前で工夫を凝らしたテント芝居を見せたにもかかわらず、最後にお金をもらおうとすると誰一人財布に手をやる観客はなく、足早に姿を消してしまう。第2曲「旅芸人たちの入場」のワルツ風の曲も繰り返されるが木管楽器中心に旋律が繰り返され、同様に勢いはなく、最後は静かに終わっていく。落胆したものの、荷物をとりまとめた旅芸人たちは次の町を目指して去っていく。鳥かごを抱えた少女が一人、みなを追いかけるところで幕となるフィナーレには、何度見ても思わずほろりとさせられる。当時のフランスでは、パリ・オペラ座以外のバレエ団には政府からの補助金はなく、私設バレエ団を結成しようにも資金提供者がいなければバレエ団は存続してゆけなかった。このバレエ・デ・シャンゼリゼの設立資金は、シャンゼリゼ劇場の支配人ロジェ・ユード(Roger Eudes)とプティの父親からの出資によるものであった。シャンゼリゼ劇場のような名の通った劇場の支配人からの依頼で劇場付きのバレエ団を設立できたということは、プティらにとって幸運であった。
昔から幾多の旅人や芸術家たちを惹きつけてやまない大都市パリ。フランスという国が過激武装組織の掃討に積極的な事もあり、繰り返しテロの標的になってしまった訳だが、その後のパリの人々の「不安」と「不屈」のせめぎ合いはニュースで見ていても、身につまされる。パリにゆかりの音楽作品と言えば、モーツァルトの「交響曲第31番」をはじめ、様々存在するが、ボルドーに生まれたが、パリで学び、パリに暮らし、パリを愛し、パリに没した作曲家、ソーゲの無名の傑作。パリの風物を標題に持つ小曲を集めて、平明で世俗的で何の工夫もないパノラマを展開。組曲「パリの風景」(Portrait de Paris)は1950年に作曲した。当時の音楽界は12音音楽が席巻していました。サティの直系の作曲家でもあったソーゲは、簡潔で実用的な音楽がモットーなだけに、調性とメロディを最優先させた作品を作曲しました。サティのバレエ音楽「パラード」に通じる雰囲気で、サティよりはあたたかい音楽。また無邪気な音楽が聴こえてくるようで、子供時代に帰ったような素直な気分になる音楽です。嬉しそうに猫を抱いている彼の写真があるように、大の「猫好き」であったソーゲはつぎの言葉遺した。「動物達がそばにいるだけで我々に優しさや美しさを感じさせてくれるように、音楽も決して贅沢品や手の届かない理想等ではなく、もっと生活そのものを表し、手軽に我々が抱き楽しむものである」。彼がこういうスタンスで曲作りに臨んだことが伺われる。「パリ創立2000年」を記念した作品で、ソーゲは作曲にあたって「パリの何処を題材にするか」を自ら歩いてセレクトした。観光客にもお馴染みのスポットもいろいろ含まれているが、日常の表情をした名所という風情。〝何気ない、いつものパリ〟という雰囲気が満ちているのが独特の心地良さを生み出している。「プレリュード~展望」は、華やかなパリの雰囲気を伝えている。弦楽器中心に旋律が奏でられて始まる。管楽器も加わり、ロマンティックな雰囲気である。「テュイルリー公園の朝」は、木管楽器が旋律を奏でて始まる。淡い朝の感じをうまく描写しながら、流れるように曲は流れていく。「花の河岸~島の市」は、ハープと木管楽器が活躍し、金管楽器も絡んで、鳥がはばたくようすを描写していく。「ヴォージュ広場」は、穏やかな旋律が奏でられていく。金管楽器も絡み、旋律は古風で典雅である。「サン・マルタン運河」は、フルートが活躍し、舞踏的なワルツの旋律が展開されていく。「オペラ座広場の正午」は、華やかさを感じさせ、同時にあわただしい雰囲気をも感じさせる曲。ユーモラスさも感じさせ、最後は力強く終わる。「リッツでの昼食」で、サクソフォンが活躍する。ゆったりとした昼食の風景だろうか。テーブルに回ってくる楽師のように、独奏ヴァイオリンが甘美な旋律で絡んでいく。フランスの首都パリらしさを感じさせる旋律である。「凱旋門の夕暮れ」は、行進曲風の勇ましい旋律が奏でられていく。「サン・ジェルマン・デ・プレの夜会」は、軽快な旋律が奏でられ、ヴァイオリン独奏が絡み、サクソフォンも入って夜の雰囲気を醸し出しながら活躍していく。「モンマルトルの夜」は、軽快で楽しい感じで始まる。後半はロマンティックな夜を思わせる雰囲気をたもって、最後は穏やかに終わる。
  • Record Karte
  • 録音:トゥールーズ、アル・オー・グラン、1977年6月10日、10月13、14、17日
  • FR VSM 1162201PM375 ミシェル・プラッソン ソーゲ…
  • FR VSM 1162201PM375 ミシェル・プラッソン ソーゲ…
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