34-21455

商品番号 34-21455

通販レコード→仏グレイ白文字盤・金色型押し豪華ボックス

歴史的建造物におけるオルガン演奏、その空気感。 ― 令和最初のお正月を迎える年の瀬、令和に改まった8ヶ月の出来事を振り返る場面が増えましたが、平成の終わり世界中に衝撃を与えた2019年4月15日、パリを象徴する建築物のひとつでもあるノートルダム大聖堂が、屋根の補修工事中に出火、大きな火災にみまわれた。13世紀につくられた象徴的なステンドグラス入りバラ窓や、信徒の方々やカトリック教会にとって、もっとも大切な聖遺物をはじめ、多くの貴重な宝物類は ― 多くは被害拡大前に運び出されたか保全整備中で別所にあったため被災せず、そして堂内に鎮座するパイプオルガンの無事も確認されましたが、戻ってこないものがひとつ。それは大聖堂に響くオルガンの音色。堂内全体の空気を振動させて響きわたる音は、鎮火作業で舞いこんだ煤の清掃も含めオルガン自体の補修をすべて済ませたとしても、天井が焼け落ちる前の音響どおりにははならないでしょう。1955年より生涯にわたってノートルダム大聖堂のオルガニストを務めたピエール・コシュローの幅広いレパートリーを網羅した本盤。盛期ルネサンス時代のフランスの作曲家、ジョスカン・デ・プレが活躍した15世紀から、エリザベス朝時代のイギリス音楽が持つ諸要素とイタリア・フランスの風が巧く融合し、自由奔放な彼独特の世界観を醸し出しているヘンリー・パーセルが活躍した17世紀。フランソワ・クープラン、ヨハン・ゼバスチャン・バッハ、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトと受け継がれていくバロック音楽最盛期の18世紀。ロマン派時代の作曲家たちがオーケストラ音楽を飛躍的に発展させつつあった頃、古来の教会パイプオルガンにさまざまな革新的機能を盛り込み、オルガン奏者や作曲家たちの創意に刺激を与えたカヴァイエ=コルがノートルダム大聖堂のオルガンにも手を入れたことで、ここに壮麗さにおいても繊細さにおいても、オーケストラ・サウンドに似た多彩な表現を使えるようになった。演奏中の音の音量を増減できるエクスプレシオン・システム、多様な音色を響かせる新しい種類のパイプの機能を最大限引き出したフランツ・リスト、セザール・フランクらロマン派オルガン音楽の大作曲らからオリヴィエ・メシアン、シャルル=マリー・ヴィドールに至る19世紀〜20世紀まで。最後は、このノートルダム大聖堂の大オルガンを知り尽くしたコシュローの即興演奏で締めくくられる。世界最大といわれるノートルダム大聖堂の大オルガンの凄まじい音が余すところなく収められています。本盤の演奏法に他の録音と比べて違和感を持つとしたら、それこそ〝オルガンは、建物と一体〟というところです。バッハの作品の中でひときわ多声的な書法のものは、教会でのオルガン演奏にはあまり向いていません。演奏場所の音響 ― 残響は7秒のノートルダム大聖堂と楽器に奏法を順応させているオルガニストにとって必要不可欠です。演奏の際には、一つあるいは複数の声部を異なる鍵盤を活用して独立させ、ポリフォニーの明瞭さを保つ必要があります。ここに広がるのは、マリー=クレール・アランらの演奏レコードに聴く、それとは違う〝歴史的建造物におけるオルガン演奏、その空気感〟と〝抑揚、緩急に富んだ、時間軸の異なる世界のバッハ演奏〟です。
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パイプオルガンがヨーロッパの教会に設置されるようになったのは、およそ1000年近く前、中世のこと。現存する多くの楽器は古いものでも16世紀以降のものがほとんどですが、パリ・ノートルダム大聖堂の大オルガンは実に15世紀から建造が進められていました。それより前にも13世紀には小ぶりのオルガンが使われていたようで、ヨーロッパ中世教会音楽に大きな進展をもたらした〝ノートルダム楽派〟の音楽家たちも、おそらくその響きのなかで過ごし、祈りの詩句を単旋律で歌い上げてゆくグレゴリオ聖歌の伝統を大事にしながら、先進的な〝オルガヌム〟という曲種を編み出しました。単旋聖歌をもとに音程の重ね合わせだけであった初期ポリフォニーですが、それぞれの旋律の動きが複雑になる新たな多声音楽が、教会で用いられるようになり、12世紀末から13世紀の初めには聖職者音楽家たちが集っていたパリのノートルダム大聖堂が新しい様式の発信地となる。この時代の音楽は、芸術史一般の流れの中でいうとゴシック時代の音楽。〝ノートルダム期〟とは、限定的にするために使われるものです。声楽が中心ですが、それはメロディーがあって伴奏が付くと現代では一般的な表現とは全然ちがい、突然太鼓が鳴り出したりラッパが鳴ったりする。ルール無用に思える、この時代の音楽を聴き慣れていないと斬新に思われるでしょう。このころのヨーロッパは美術、建築、神学といったものがそれぞれの頂点に達し、歴史上の黄金期を迎えていた。大聖堂の管理下にある左岸のサン・ブノア教会の運営を任されていたマギステル(修士)・レオ、通称レオニヌス(Leoninus)は長く引き伸ばされたグレゴリオ聖歌による定旋律を低声部に置き、上声部が軽やかに動きながら定旋律を装飾していくスタイルの、二声オルガヌムからなる『オルガヌム大曲集』を作曲しました。レオニヌスのオルガヌムは、それまでのオルガヌムとは異なり、一定のリズム・パターンで動く傾向があり、後の厳格なモード・リズムの先駆的な性格をみせている。レオニヌスの時代、ノートルダム寺院では、そこに収められた100曲近いポリフォニー曲を一年を通じて演奏していたと言われている。マギステル・ペロティヌス(Perotinus)は、先輩のレオニヌスがつくった二声オルガヌムを受け継ぎ、ディスカントゥス様式部分を改作し、リズムの動きを統一的に秩序づけ、また3声、4声と声部を拡張することで先輩の作品をより精緻なものへと作り変えていきました。彼の音楽はレオニヌスのそれと比較して、より構成的で華麗な面をその特徴としている。この二人の活動は総称して〝ノートルダム楽派〟と呼ばれている。従来のネウマ譜では音の高さは明示できても音の長さは表現することができませんでしたので、この二人が導入したモード記譜法によって、歴史上始めて楽譜にリズムを正確に記述できるようになったという進展がある。さらにこの時代の〝オルガヌム〟から派生したモテトゥス ― 総じて今日合唱と呼べるジャンルはペロティヌスに端を発すると言えるくらいに、その業績は大きい。とくにクリスマスのための4声のオルガヌム「地上のすべての国々は見た Viderunt omnes terrae」は、おそらく現存する1300年以前の音楽作品の中でも、最も有名な作品であることに異論はあるまい。20世紀になってペロティヌスの音楽が再評価されるようになった時、その大胆な様式に触発されて、カール・オルフ(Carl Orff, 1895〜1982)は名曲「カルミナ・ブラーナ」を書き上げた。
続いて14世紀のフランスで発展するのが「アルス・ノヴァ(新芸術)」です。ギョーム・ド・マショー(Guillaume de Machaut, c1300〜1377)が作曲した4声のミサ曲は「ノートル・ダム・ミサ」とよばれますが、ミサ通常文を一人の作曲家が多声的に通作した最古のミサとされます。西洋音楽史上最も注目される作品で、マショーは「通作ミサの祖」として賞賛されています。時代を同じくして14世紀のイングランドではランカスター王家が礼拝堂聖歌隊を組織し典礼音楽を充実させていました。そこでは3度や6度の和音を用いた和声音楽が展開します。そしてブルゴーニュ公国であるフランドルのカンブレ司教座聖堂の聖歌隊出身の作曲家ギヨーム・デュファイ(Guillaume du Fay, 1397〜1474)はブルゴーニュ楽派の音楽を受け継ぎ、さらにルネサンス音楽の特徴となる「循環ミサ形式(ミサ通常文の全曲に同一の定旋律をモチーフとして作曲した)」を完成させました。そうして登場するのがヨハンネス・オケゲム(Johannes Ockeghem, c1410〜1497)、フランドル楽派の頂点とされる最大の作曲家ジョスカン・デ・プレ(Josquin Des Prez, 1450/c1455〜1521)です。モテットとはミサ曲以外の典礼文を歌詞とするポリフォニー音楽、シャンソンとはフランス語の世俗曲です。世俗曲はイタリアではマドリガーレ、イギリスではマドリガル、ドイツではリートとして発展します。ルネサンスのお膝元イタリア出身の音楽家が活躍するのは16世紀半ばになってからです。ルネサンス音楽はイタリアで生まれたものではなく、アルプス以北の地域で完成された様式をイタリアへ持ち込み、開花させたものでした。ルネサンス様式を進めた、その音楽様式はバロック様式と呼ぶべき音楽となりました。
Pierre Cochereau ‎– Cinq Siècles de Musique A Notre Dame de Paris
  • Side-A
    1. Ave Verbum Incarnatum, Composed By – Josquin Des Prés 2:35
    2. La Guerre de Renty, Composed By – Clément Janequin 4:15
    3. Toccata Pour L'elevation, Composed By – Girolamo Frescobaldi 5:25
    4. Marche Royale, Composed By – Jean-Baptiste Lully 2:23
    5. Prelude Du Te Deum, Composed By – Marc Antoine Charpentier 1:48
    6. 1ère Suite de Sinfonies, Composed By – Michel Richard Delalande 5:34
  • Side-B
    1. Trumpet Voluntary, Composed By – Henry Purcell 3:15
    2. Ouverture Solennelle, Composed By – Henry Purcell 5:00
    3. Martial Air And Cebell, Composed By – Henry Purcell 4:25
    4. Sonate de Concert, Composed By – Alessandro Stradella 7:11
    5. Adagio Serenissime, Adapted By – Jean Thilde, Composed By – Tomaso Albinoni 2:07
  • Side-C
    1. Messe A L'usage Des Couvents (Kyrie), Composed By – François Couperin 12:00
    2. Concerto pour Orgue et Orchestre en Sol Majeur, Composed By – Antonio Vivaldi, Transcription By – Johann Sebastian Bach 8:35
    3. Sinfonies de Fanfares (Rondeau), Composed By – Jean-Joseph Mouret 3:02
  • Side-D
    1. Toccata Et Fugue En Ré Mineur, BWV 565, Composed By – Johann Sebastian Bach 10:58
    2. Prelude Et Fugue En Sol Majeur, BWV 541, Composed By – Johann Sebastian Bach 9:28
  • Side-E
    1. Jesus Que Ma Joie Demeure, Composed By – Johann Sebastian Bach 3:31
    2. Choral "Wachet Auf", BWV 645, Composed By – Johann Sebastian Bach 4:00
    3. Sinfonia De La Cantate 29 "Wir Danken Dir, Gott", Composed By – Johann Sebastian Bach 5:15
    4. Choral "Num Komm Der Heiden Heiland", BWV 659, Composed By – Johann Sebastian Bach 6:00
    5. Choral Final De "La Passion Selon Saint Jean", Composed By – Johann Sebastian Bach 3:00
  • Side-F
    1. Alleluia Du "Messie", Composed By – Georg Friedrich Händel 4:39
    2. Sonate D'Eglise N°2 Pour Orgue Et Orchestre En Si Bémol Majeur, K. 68, Composed By – Wolfgang Amadeus Mozart 2:57
    3. Fantaisie En Fa Mineur, K. 608, Composed By – Wolfgang Amadeus Mozart 13:18
  • Side-G
    1. Marche Du Sacre, Composed By – Jean-François Le Sueur, Orchestrated By – Jean Thilde 6:31
    2. Messe Du Sacre, Composed By – Giovanni Paisiello, Orchestrated By – Jean Thilde 18:41
  • Side-H
    1. Missa Pro Organo (lectarum Celebrationi Missarum Adjumento Inserviens), Composed By – Franz Liszt 24:05
  • Side-I
    1. Choral N°2 En Si Mineur, Composed By – César Franck 14:35
    2. Choral-Prelude Op. 122 N°10, Composed By – Johannes Brahms 4:48
    3. Elevation En Mi Bémol Majeur, Composed By – Léon Boëllmann 3:57
  • Side-J
    1. Symphonie Pour Orgue N°9 "Gothique", Op. 70 (Andante Sostenuto), Composed By – Charles-Marie Widor 5:47
    2. Berceuse, Composed By – Louis Vierne 4:25
    3. Le Banquet Celeste, Composed By – Olivier Messiaen 6:30
    4. Improvisations Sur Des Themes Populaires, Composed By – Pierre Cochereau
      1. Prélude (Légende de Saint Nicolas) 3:40
      2. Toccata (Marche Des Rois) 4:04
  • Record Karte
  • Conductor – Armand Birbaum, Kurt Redel, Orchestra – Orchestre Pro Arte De Munich, Organ – Pierre Cochereau. 1972年頃発売。金色型押し豪華ボックス&リーフレット。
  • FR PHIL 6756 001 ピエール・コシュロー ノートルダム…
  • FR PHIL 6756 001 ピエール・コシュロー ノートルダム…
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