FR  PHILIPS  6538 005 ポール・パレー ワーグナー・オペラ序曲集
通販レコード→仏ブラック・ラベル銀文字盤

FR PHILIPS 6538 005 ポール・パレー ワーグナー・オペラ序曲集


商品番号 34-12716

貴重なワーグナー ― ヌード劇場には懦夫をして立たしめるなにかがある。》モノラル期より独特なマイク・セッティングにより、素晴らしい音響を作り出し、その後ステレオ録音の黎明期にも多くのすばらしいディスクを世に送り出した米マーキュリー・レーベル。"You are there" を謳い文句に、音が生まれるその場にいるような臨場感を再現するマーキュリー独自の録音方法は現在聴き直しても、新鮮な驚きを聴き手に届けます。ポール・パレー、ハワード・ハンソン、アンタル・ドラティ、フレデリック・フェネルらの貴重な名演が鮮やかに記憶に残っている。フランスの名指揮者ポール・パレー。その代表的名演の、ほとんどがデトロイト交響楽団の音楽監督時代のものですが、フランスものだけでなく独欧系のシンフォニックな作品においても非凡なセンスを見せるパレーの実力をうかがうに格好の1枚です。彼の音楽は男性的で逞しく、ゴール人として気質を感じさせるものがあリ、輪郭のはっきりとした明確な表現でありながら、一方では実に洒落た感覚の持ち主でもあり、またパレーはベートーヴェン、ワーグナーの解釈者としても定評が高かった。パレーは1930年代、パリのオペラ座でワーグナーの楽劇の上演指揮に邁進した輝かしい過去をもち、そのワーグナー演奏には揺ぎない自信と確たるバックボーンが具わっている。彼がデトロイトと遺したワーグナーはすべて声楽抜き、『さまよえるオランダ人』序曲●『ニュルンベルクのマイスタージンガー』コンサート用組曲●『ワルキューレ』~ヴォータンの告別と魔の炎の音楽●『リエンツィ』序曲の4曲、実にどれもこれも端倪すべからざる演奏だ。いやもう、有無を言わせぬ力技である。ヌード劇場には懦夫をして立たしめるなにかがある如き『さまよえるオランダ人』序曲。面白いのは『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の前奏曲だ。このひたむきに音楽を前進させる強靭な力、それこそがポール・パレーの真骨頂なのだ。アプローチはやはり徹底してパレーらしいもの。クナッパーツブッシュやレーグナーのワーグナーとは方向性が違うワーグナーだが、何も演出らしいわざとらしさは無く、自然体のワーグナーを堪能できる。よく聴くと実に含蓄に富んだ表現でカラヤンの演奏を表現する時に引き合いに出される「スポーツカーで走り抜けた」感じではありません。ワーグナーの音楽にはブラスの豪放な印象が強いかもしれないが、特に弦楽器の音の扱いには改めてバレーの大指揮者たる風格を気付かせてもらった。豪快な音楽展開のなかで、明瞭に聞こえてくるのはパレーの卓抜したオーケストラ・ビルディングの力か、米マーキュリーの録音の効果か、その両方故でしょう。
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