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FR Concert Hall Society M-2251 スヴャトスラフ・リヒテル シューベルト・ピアノ・ソナタ第15番D.840「レリーク」他
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シューベルトには未完成の作品が多い。シューベルトの生前に出版された作品第1番は歌曲「魔王」で、死後に出版された曲がアンバランスに膨大にあり、そちらの方を私たちは主に好んで聞いているわけです。それで「遺作」とついた未完成の作品も頻繁に聞く機会が出来る。「遺作」とある曲ではショパンも多いが、ショパンの場合は友人に贈った曲の楽譜が死後に出版されていることがほとんど。未完成の曲だったらモーツァルトも結構ありそうなものですが、モーツァルトは作曲途中だった楽譜は、その度に破棄していることが多い。その点、シューベルトは書きたい曲が次々と湧き上がったとも言われますが、やっておかないことのほうが多くて、時間が出来たら完成させようと思って直しこんだままだったのではないかしら。D840は、1,861年に、シューベルトの最後の作品と間違われ『レリーク』という不適当なタイトルで出版された。いくつかの完成版の試みがあるがスビャトスラフ・リヒテルによるこの録音では、シューベルトが書き残したままの形で演奏されている。ロンドの終曲はぷつりとピアノの音色が途絶えるが、リヒテルの狙いはここだ。この終わり方、歌曲集「冬の旅」を思わずにいられない。えも言われに気持ちにさせられる。そして、この感覚はマーラーを予告しているんじゃないかと思うほどです。この曲をピアニストのヴァリッシュは「サウンド・カテドラル」と表現しています。教会で長時間過ごしたことがある人は理解できることでしょう。表からの僅かな日の陰り、時間の経過が教会内を流れていくような錯覚。リヒテル+シューベルトの取り合わせはそれと等しい。音響の巨大建築のように堂々とした形式感でリヒテルは聴かせてくれる。もはや、サロン向けのシューベルトでは無くなっている。
YIGZYCN
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