34-19393

商品番号 34-19393

通販レコード→仏ダーク・レッド銀文字盤、シンクロ・ステレオ コレクターズ・シリーズ

 ギリシャのテッサロニキ出身の女流ピアニストのヴァッソ・デヴェッツィをご存知でしょうか。 ― ギリシャ国内で学んだ後にフランスでかのマルグリット・ロンに師事し、パリを中心にヨーロッパ各地で広く演奏活動を行い、同胞の作曲家のミキス・テオドラキスや名ソプラノのマリア・カラスとも親しい間柄にもありました。カラスにまつわる評伝、著作、映画、ドキュメンタリーなどで名前ばかりが知られているデヴェッツィ(Vasso Devetzi Βάσω Δεβετζή, 1927〜1987)は、1960年代から70年代にかけてはソ連邦に長期滞在し、ルドルフ・バルシャイ、ダヴィッド・オイストラフ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ガリーナ・ヴィシネフスカヤなどのソ連邦を代表する音楽家と共演を重ねたのですが、このことはデヴェッツィのピアニストとしての高い力量を証明しているのではないかとも思われます。1977年にカラスがパリで亡くなると、生前の本人の希望を実現すべく、遺灰をギリシャ沖のエーゲ海に散骨し、遺産の管理者となり、マリア・カラス財団の会長も務めたのですが、演出家で映画「永遠のマリア・カラス」の監督でもあるフランコ・ゼッフィレッリなどが、デヴェツィが遺産目当てにカラスを毒殺したとの説を唱えるなどの毀誉褒貶もありました。バッハ、ハイドン、モーツァルトあたりの古典をバルシャイの指揮で録音していますが、そのことごとくが清潔感が支配する透明で生き生きとした世界でありながらどこかフランス風に洒落たところがあります。エッヂの効いたバルシャイ=モスクワ室内管弦楽団の伴奏との相性は〝互いを活かし合う存在〟といってよく、このコンビの録音を世界中のファンが楽しみにしている中、彼女はカラスの死を契機に演奏活動を止めてしまいます。デヴェッツィはソ連邦の名演奏家達との共演が多かったため,バルシャイ指揮のモスクワ室内管弦楽団、ロストロポーヴィチ、ヴィシネフスカヤとの共演や、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮のソヴィエト国立交響楽団とのアンリ・ソーゲのピアノ協奏曲などの録音があり、仏EMIや露メロディアなどからLPが発売されていました。本盤やバルシャイ指揮、モスクワ室内管とのヨハン・ゼバスチャン・バッハのピアノ協奏曲第1、2番には、デヴェッツィの力の抜けた落ち着きある語り口、垣間見られる諦観、全体を覆う寂しげな感情、それらが節々から滲み出る印象は筆舌に尽くしがたいものがあります。
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  • FR CHS SMS-2310 ヴァッソ・デヴェッツィ バッハ・半音…
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