34-16615

商品番号 34-16615

通販レコード→仏ダーク・グリーン銀文字盤

〝魔法のヴァイオリン〟 ― リカルド・オドノポソフ(Ricardo Odnoposoff, 1914年2月24日〜2004年10月26日)は、名のみ高いヴァイオリニストのひとりになってしまいましたが、ヴァイオリンマニアには名前は覚えられている。1934年から1938年までウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターをつとめたヴァイオリンの名手です。アルゼンチンのブエノスアイレスに生まれたロシア系移民の子オドノポソフは、12歳の時ベルリンに渡りベルリン高等音楽院でカール・フレッシュに学び、1931年にエーリッヒ・クライバーの指揮でベルリン・デビューしてクライバーを驚嘆させた。翌年ウィーン国際音楽コンクールで優勝。1933年、当時コンサートマスターの高齢化が懸案だったウィーン・フィルは、クレメンス・クラウスの推薦で、オドノポソフをオーディションなしでコンサートマスターに起用した。在職中の1937年にはブリュッセルのウジェーヌ・イザイ・コンクール(後のエリザベト王妃国際音楽コンクール)に出場して、ダヴィッド・オイストラフに次ぐ第2位を獲得している。ナチスのオーストリア併合で失職するも、戦火を避け米国に活動を移した後、戦後の1956年に、ウィーン音楽院のヴァイオリン科教授として舞い戻ってからは教職活動が多くなった。彼のレコードについて、ヨアヒム・ハルトナックは著書『20世紀の名ヴァイオリニスト』で「非常に水準が高く、ヘンリク・シェリング、ユーディ・メニューイン、オイストラフのものと肩を並べることができるほどである」と評したように、高度な技巧とみずみずしい音色、確かな表現力を兼ね備えた名手だったことがわかる。ウィーンスタイルの耳がとろけそうな甘い音色(俗にシルバートーンと呼ばれている)を切々と奏でる人ですが、音楽のフォルムを崩すことはなく、美音をまといながらも、極めて理知的な演奏家だったようです。フレッシュに教わった経歴に納得できる、実直で清潔な演奏は人気が高く、録音はポピュラーなコンチェルトを始め決して少なくないが、ほとんどが CONCERT HALL のようなマイナーレーベルだったため、一般に広く知られることはなかった。本盤は、名演として知られるメンデルスゾーンの「ホ短調」と、パガニーニの「第1番」のヴァイオリン協奏曲。この曲は天下に聞こえた下品な音楽 ― というとパガニーニに怒られるかも知れないけれど、伸びやかなメロディーにシンバルをジャンジャン鳴らして、音楽としての品を感じないほどで、大なり小なりどの演奏で聞いてもそんな印象を受ける。そこをまた、助長したような演奏も多い。然るに、この曲を聴くとヴァイオリニストの力量や音楽性がよく分かるので、愉しんでいる。レコード音楽として鑑賞するからには、こうしたイタリア風のあっけらかんとした演奏とは一線を画した、オドノポソフは格調の高さが好ましい。抜群の美音と確かなテクニック、そしてエスプレッシーヴォ。イザイ・コンクールでオイストラフと1位を争ったというのも少しも不思議ではないし、どの曲にも現代の訓練が行き届いたヴァイオリニスト達にはない味わい深い、高い音楽性を感じずにはいられない。指揮はイタリアのジャンフランコ・リヴォリ、管弦楽はジュネーヴ放送交響楽団で録音も良好、演奏もスタイリッシュで美しく古き良き時代を感じさせる。→コンディション、詳細を確認する
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ジャンフランコ・リヴォリ(Gianfranco Rivoli, 1921年6月2日〜2005年10月18日)は、イタリア生まれの指揮者および作曲家。1921年、ミラノの生まれ。彼はミラノ音楽院で、アッリーゴ・ペドロロ(1878〜1964)、ジョルジオ・フェデリコ・ゲディーニ(1892〜1965)、アントニーノ・ヴォット(1896〜1985)などの教授たちに指揮と作曲を師事。ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院を卒業後、大学オーケストラ(1938〜1940)の指揮者を経て、1946年にミラノ・スカラ座のバレエ指揮者としてデビュー。その後、コモのヴィラ・オルモ劇場の芸術監督の地位を確立し、ヨーロッパ最大のラジオ放送ネットワークと頻繁に協力しながら、イタリアおよび外国のオーケストラを指揮しました。やがて、リスボン・グルベンキアン財団の芸術監督をはじめ、リスボンの首都サンカルロス国立劇場のドイツのレパートリーを担当。デュッセルドルフ歌劇場でドイツ・オペラの音楽監督やトリノのレージョ劇場の芸術監督を歴任しました。チッタ・ディ・カステッロで没した。
デヴィッド・ジョゼフォヴィッツ(David Josefowitz, 1918年12月25日〜2015年1月10日)はイギリスの指揮者で、ロンドン・ソリスト室内管弦楽団の創立者。ベルリンのクリンドワース・シャーウェンカ音楽院でヴァイオリンも学んだ、熟練したヴァイオリニストでもあり、ホセ・ダビドの名義で演奏して録音していました。マサチューセッツ工科大学で化学を学んだプラスチックの専門家であり、ニューヨーク大学タンドンスクールの一部であるブルックリン工科大学で、1945年に化学の博士号を取得しました。1946年に、サミュエル・ジョゼフォヴィッツ(1921〜2015)とともに兄弟で、ニューヨーク市に本拠を置く〝Concert Hall レーベル〟を創設して、自身で多くの管弦楽曲のレコーディングを遺したほか、同レーベルのプロデューサーとして活躍しました。世界有数の音楽学校の1つで、1822年に創立された英国王立音楽院は、長い歴史と実績に裏付けられた伝統を重視。加えて、現代の音楽家に要求 される、新しい技術や知識を身につけるためのカリキュラムも組んでいます。卒業生には、ヘンリー・ウッドやエルトン・ジョンなど、著名な音楽家をはじめ、サイモン・ラトル(指揮)、マイケル・ナイマン(作曲)、リチャード・ロドニー・ベネット(作曲)、クリストファー・モルトマン(声楽)、ルステム・ハイルディノフ(ピアノ)、シモーネ・ラムスマ(ヴァイオリン)、日本人では、三浦友理枝(ピアノ)、熊本マリ(ピアノ)など、多くの優れたソリスト、オーケストラ や室内楽での演奏家、指揮者、作曲家を輩出しています。ロンドンの中心地リージェンツ・パークに隣接する便の良い場所にキャンパスでは、収容450席のデュカス・ホール、2001年に完成したデヴィッド・ジョセフォヴィッツ・リサイタル・ホールなど、素晴らしい演奏の場が待っています。
  • Record Karte
  • メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 Op.64、パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ジャンフランコ・リヴォーリ指揮、ジュネーヴ放送交響楽団、1954年録音
  • FR CSH MMS2205 リカルド・オドノポソフ パガニーニ・ヴ…
  • FR CSH MMS2205 リカルド・オドノポソフ パガニーニ・ヴ…
Milestones of a Violin Legend
Ricardo Odnoposoff
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2018-08-03