34-12696

商品番号 34-12696

通販レコード→仏ダークブルー銀文字盤

2014年に初めてステレオ録音で登場した初期録音の金字塔。 ― ヘルベルト・フォン・カラヤンにとって最初のベートーヴェン交響曲全集は、英EMIの伝説的プロデューサーであるウォルター・レッグが創設したフィルハーモニア管弦楽団を指揮したもの。きめ細かにオーケストラをコントロールしながら、スマートでフレッシュな味わいを漲らせた演奏を聴かせている。この時代のカラヤンがベートーヴェンという切迫した課題に正面から対峙した録音。カラヤンのベートーヴェンの交響曲を推薦するなら私としては、1950年代のフィルハーモニア管と、1962年のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との最初の全曲録音を聴いて貰いたい。ベルリン・フィルの録音もベルリン・フィルハーモニーに移って録音された1975年のレコードが精密度が高く最高ですが、フィルハーモニア管の演奏は実に若々しく生き生きとした演奏です。この全集は当初、第8番のみステレオ録音でした。第9番「合唱」もステレオ録音されていたことがわかり、ワーナー・クラシックスから全集の中の1枚として2014年に初登場しました。演奏は猛然という言葉が最も当てはまるでしょう。特に《交響曲第9番》でその特性は遺憾なく発揮されています。後期の録音の明快さとは異なった意味あいで、非常にシャープです。もたついたところがなく全体感を大事にした演奏になっています。特に変幻自在のテンポの変化を見せる第2楽章は出色。第4楽章で所々に後のカラヤンに見られるテヌートの多用が聴かれる、若き日のカラヤンの良さが出た名演です。言い方はおかしいでしょうが、カラヤンはSPレコードで発売された、最初からカラヤンだったのです。なお、《交響曲第9番》だけがムジークフェラインザールの録音ですので、ほかの録音とは響きが若干違います。オーケストラ全体は弦楽器のアンサンブルが驚異的によいです。結果としてこの当時のフィルハーモニア管にしか出来なかった、あの清涼感のあるサラサラとした音が満喫できます。そして、楽器のアピアランスが明瞭で録音場所の響きを十分に生かしたとても清潔な響きの連続です。多分、相当に練られた録音でしょう。世界初のステレオ録音の《合唱》に成るべく製作されたのでしょうか、ワーナー・クラシックス盤には録音時のセッションシートが掲載されていますが、モノーラル・セッションとステレオ・セッションでマイクの配置が違います。合唱の録音に苦心がされたのでしょう。推進力溢れる第4楽章は独唱者が素晴らしく、テノールのエルンスト・ヘフリガーがマーチ部分で快適なテンポに乗って、素晴らしい歌唱を聴かせます。綿密にリハーサルを重ねたのでしょう、合唱も精密です。しかし、オーケストラと独唱者、合唱のタイミングにズレを感じます。カラヤンらしからぬ点ですが、マイクセッティングが原因でしょうか。本盤はボックス入り。2枚目の表が《合唱》の終楽章で、裏が《交響曲第8番》です。
英EMIはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で録音したモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」と「魔笛」の成果を認めて、1951年6月からウォルター・レッグのフィルハーモニア管弦楽団でヘルベルト・フォン・カラヤンのレコード制作に乗り出す。そうして発売したのは、ワルター・ギーゼキングとのグリーグ・ピアノ協奏曲、フランク・交響的変奏曲が最初だった。続くベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲録音から、ベートーヴェンの交響曲第7番のレコーディングに移っているから、交響曲全集録音の目論見は既にあったと推察できる。ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番、「コリオラン」序曲を挟んで、交響曲第6番「田園」となるから、交響曲との組み合わせを工夫したのだろうか、その頃はまだ、現在でも利益を支えるカラヤンになると予測できなかっただろうから、人気歌手エリーザベト・シュヴァルツコップの歌声を交響曲第5番「運命」と組み合わせている。ただし、ここに纏わるミステリーは後述するとして、英EMIの偉大なレコード・プロデューサー、ウォルター・レッグが目指したのは、未来の演奏会やアーティストを評価するときに基準となるようなレコードを作ること、彼の時代の最上の演奏を数多く後世に残すことであったという。レッグは戦後ナチ党員であったとして演奏を禁じられていたカラヤンの為にレッグ自ら1945年に創立したフィルハーモニア管弦楽団を提供し、レコード録音で大きな成功を収めたが、これに先立つこと1947年1月ウィーンでレッグとカラヤンが偶然出会い意気投合したことで、早速9月よりウィーン・フィルとレコーディングを開始する。こうしてレコード録音で評価を広めるレッグ&カラヤン連合軍の快進撃の第一幕が開いた。英米の本当の連合軍もレッグのロビー活動により、カラヤンに公的な指揮活動が許されたのと前後している。この快進撃の第一幕が、「フィガロの結婚」でした。このウィーン・フィルとのレコーディングは、1946年から1949年まで集中的に行われている。しかし、この時期のカラヤンとウィーン・フィルの演奏が評価の高いシロモノであったことが、その後カラヤンにとっての天敵ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが亡くなった後にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とウィーン・フィルがカラヤンを迎え、帝王として君臨することになる礎となったことは事実である。まさに、カラヤン芸術の原点として評価すべき時代の録音と云えるだろう。
エリーザベト・シュヴァルツコップとのモーツァルト・歌劇「フィガロの結婚」は初期のステレオ録音より歌手の声がハッキリ聞こえる、より生々しい歌声に感じる円熟のモノラル録音と若きヘルベルト・フォン・カラヤンの熱気と勢いありあまる演奏は文句なく素晴らしい。それはカラヤン&レッグ&フィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェン交響曲全集が、第8番と9番「合唱」がステレオ録音されていたことだ。しかも試験的とはいえステレオ録音にマイク・セッティングされて録音は残された。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーのベートーヴェン・交響曲第7番の轍は踏まないと考えたのか、レコード録音の未来に積極的だったことがわかる。「疑似ステレオ」ではなく、「ステレオ録音」とありますが正しくは「モノラル・セッションで平行して録られた試験的なバイノーラル録音」のようです。指揮者の前面にマイクを並べることでなく、カラヤンが指揮に立つ後方に、この「BINAURAL MICROFONE」がセッティングされていることから指揮者が聴いているオーケストラ・サウンドの再現をレコード録音のセールス・アピールにする目標としていたのでしょう。2017年4月の熊本地震復興一年目の記念コンサートで、指揮者無しのブラームス交響曲第1番の演奏会でティンパニとブラスが通常とは珍しい配置になっていた。これも「モノラルでふさわしいオーケストラのサウンドを得るために」行われた配置による成果と思われる。SPレコード時代の録音では、ソリストがマイクの前に入れ代わり立ち代わりして行われていた。ブルーノ・ワルターが英EMIで録音したウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのベートーヴェンの交響曲第6番「田園」をはじめ、対抗配置に馴染んでいたのを米コロンビアでのステレオ録音ではストコフスキー・スタイルに強制されて、初期の録音に弦楽器群と管楽器のタイミングに戸惑いが聴こえる。しかしハーモニーのバランスの良さと音の輪郭の美しさは流石カラヤンである。曲の構成が良く理解できる演奏で、力みは全くない。ウオルター・レッグと契約したばかりの40歳代後半のカラヤンの指揮は晩年のイメージとは全く異なっている。カラヤンの若々しさを感じることが出来る演奏です。ストレートな表現ですが、大きなウネリみたいなものもあり、早めのテンポで前進していく意志の強い指揮だ。録音も極めて聞きやすい。
21世紀に入り惜しまれつつ亡くなったエリーザベト・シュヴァルツコップは、様々な役柄において持ち前の名唱を余すことなく披露した。シュヴァルツコップは戦中にカール・ベームに認められてウィーン歌劇場でデビューを飾っているが、彼女の本格的な活動は戦後、大物プロデューサーのウォルター・レッグに見いだされ、その重要なパートナーとして数多くの録音に参加したことによる。そのレパートリーの多くはレッグが決定していたそうで、そのようなことを彼女自身が語ってもいる。シュヴァルツコップは大プロデューサーであったレッグの音楽的理想を体現した歌手の一人であったと思う。その絶頂期に残した素晴らしい完成度を誇るモーツァルト。最も得意としていたのは、その声質からしてもモーツァルトの楽曲であったと言えるのではないだろうか。オペラの録音というのは完璧なものなんて滅多にないもので、どこかに穴があるものだが、1962年に録音された歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」は指揮のベームをはじめてとして全てにわたって完璧である。フィオルディリージを歌うシュヴァルツコップの美しさ。こんな女性が相手なら、私は喜んで欺されてあげたくなる。1950年に録音されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団での歌劇「フィガロの結婚」などにおいても素晴らしい歌唱を披露しており、シュヴァルツコップとモーツァルトの楽曲の抜群の相性の良さを感じることが可能だ。決して綺麗な声で歌われているとは言えないのだが、どの曲もその濃厚な表情が美しい。愛らしくもあり格調高さを保つことを忘れない、この大歌手ならではの自在なものです。ベートーヴェンの歌劇『フィデリオ』よりレチタティーヴォとアリア「人間の屑!何をしているつもり?」と同日のセッションで、ベートーヴェンの演奏会用アリア「おお、不実なる者よ!」を録音しているが、カラヤンの伝記によると、この日はベルリンで行われたヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の最後の演奏会に立ち会ったことになっている。当日午後のロンドン~ベルリン間の移動が可能だったのだろうか。フルトヴェングラーとレッグの決裂が背景にあるだけにミステリーとして残る。この後、ウィーンのムジークフェラインザールでのベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」、そしてリヒャルト・シュトラウスの楽劇「薔薇の騎士」に至る。
エリーザベト・シュヴァルツコップ(Olga Maria Elisabeth Frederike Schwarzkopf)は1915年12月9日、ドイツ人の両親のもとプロイセン(現ポーランド)のヤロチン(Jarotschin, 現Jarocin)に生まれたドイツのソプラノ歌手。ベルリン音楽大学で学び始めた当初はコントラルトでしたが、のちに名教師として知られたマリア・イヴォーギュンに師事、ソプラノに転向します。1938年、ベルリンでワーグナーの舞台神聖祝典劇『パルジファル』で魔法城の花園の乙女のひとりを歌ってデビュー。1943年にウィーン国立歌劇場と契約し、コロラトゥーラ・ソプラノとして活動を始めます。第2次世界大戦後、のちに夫となる英コロムビア・レコードのプロデューサー、ウォルター・レッグと出会います。レッグはロッシーニの歌劇『セビリャの理髪師』のロジーナ役を歌うシュヴァルツコップを聴いて即座にレコーディング契約を申し出ますが、シュヴァルツコップはきちんとしたオーディションを求めたといいます。この要求に、レッグはヴォルフの歌曲『誰がお前を呼んだのか』(Wer rief dich denn)を様々な表情で繰り返し歌わせるというオーディションを一時間以上にもわたって行います。居合わせたヘルベルト・フォン・カラヤンが「あなたは余りにもサディスティックだ」とレッグに意見するほどでしたが、シュヴァルツコップは見事に応え、EMIとの専属録音契約を交わしました。以来、レッグはシュヴァルツコップのマネージャーと音楽上のパートナーとなり、1953年に二人は結婚します。カール・ベームに認められ、モーツァルトの歌劇『後宮からの誘拐』のブロントヒェンやリヒャルト・シュトラウスの楽劇『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタなどハイ・ソプラノの役を中心に活躍していましたが、レッグの勧めもあって次第にリリックなレパートリー、モーツァルトの歌劇『フィガロの結婚』伯爵夫人などに移行。バイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭にも出演し、カラヤンやヴィルヘルム・フルトヴェングラーともしばしば共演します。1947年にはイギリスのコヴェントガーデン王立歌劇場に、1948年にはミラノ・スカラ座に、1964年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビュー。1952年には、リヒャルト・シュトラウスの楽劇『ばらの騎士』の元帥夫人をカラヤン指揮のミラノ・スカラ座で歌い大成功を収めます。以来、この元帥夫人役はシュヴァルツコップの代表的なレパートリーとなります。オペラ歌手としてもリート歌手としても、その完璧なテクニックと、並外れて知性的な分析力を駆使した優れた歌唱を行い20世紀最高のソプラノと称賛されました。ドイツ・リートの新しい時代を招来したとまで讃えられシューマンやリヒャルト・シュトラウス、マーラーの歌曲を得意とし、中でもとりわけヴォルフの作品を得意とし、1970年代に引退するまで男声のディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウと並んで最高のヴォルフ歌いと高く評価されています。1976年にオペラの舞台から、1979年には歌曲リサイタルからも引退し、後進の指導にあたっていました。2006年8月3日、オーストリア西部のフォアアルルベルク州シュルンスの自宅で死去。享年90歳。
ベートーヴェン:交響曲第8番、第9番「合唱」
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-08-20

Symphony No.9 - Stereo mix previously unissued, Recorded:24-29. VII.1955, Musikvereinssaal, Vienna, Producer:Walter Legge, Balance Engineer:unknown. Symphony No.8 - Recorded:20.V.1955, Kingsway Hall, London, Producer:Walter Legge, Balance Engineer:Christopher Parker.
FR COL  FCX448-449 カラヤン ベートーヴェン・交響…
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