34-18156

商品番号 34-18156

通販レコード→独ブルー黒文字盤

4つの弦がひとつに集積して音の小宇宙を形成している ―  新型コロナウイルス感染拡大の防止のための自粛要請で、心が風邪をひいて、思考まで肺炎になりかけていないか。1720年フランスで大流行したペスト、1817年カルカッタで発症したコレラ、そして20世紀に入って1918年アメリカで発症したスペイン風邪。100年周期で地球上には強烈な病原体が流行る。そして、有名な言葉ですが「戦争は起こすんじゃなくて、戦争は起きるんです」 ― 戦争は覇権国家の移り変わりに繋がりますが、東京オリンピックを振り返ってもいいでしょうが、産業の躍進と、新しい文化意識が生まれるために必然的な出来事であり、100年後からみるとターニングポイントの出来事になってるのかもしれません。天気が良い日は外に出ろ。そういうゆとりをくれてるんですよ、ミクロの世界から。未来の地球人の心のために。さて、アルバン・ベルク四重奏団が、2代目ヴィオラ奏者のトマス・カクシュカが生地のウィーンで死去してほどなく、2008年7月に解散してから、長い年月が経ったが、彼らのウィーンの伝統と革新的な音楽精神の両方を称える研ぎ澄まされた完璧なるアンサンブルは、いまだ耳の奥に強い印象となって居座っている。出だしの第1音から心がピーンと張り詰め、ふだん味わうことのできない緊張感に満ちたモーツァルト「プロシア王セット」を体験して、わたしは室内楽曲の魅力に覚醒した。メリハリが実にはっきりとしていて、少しの曖昧さもない。4人の奏者がそれぞれ溌剌と弾いているが、その造形はいささかの狂いもない。まるで〝精密機械のような完璧〟であればこそ、感動を呼び起こす。ブラームスへの尊敬からか、冒頭からヴィオラが主役を演じるドヴォルザークの弦楽四重奏曲では、第12番「アメリカ」が親しまれている。ヴァイオリンやチェロの輝くような音色に比べると、少々くぐもった感のあるヴィオラは裏方に回り、リズムを刻むか、ピチカートを爪弾くか、和音を作ることに徹している。旋律を奏でるのはもちろん第1ヴァイオリンとチェロの役割である。しかしこの二つの楽器はひたすら、新型コロナウイルス感染の不安で、自粛を要請されているだけで愚痴か哀しさを歌っているばかりで、哀しいけれどもゆっくりと歩いていくしかないんだよ、と背中を押し続けているのはヴィオラなのだ。ことヴィオラの音をその役割、という視点から聴くためには、このドヴォルザークの弦楽四重奏曲はうってつけである。ヨハン・セバスチャン・バッハ、ベートーヴェン、シューベルトと同様に、ドヴォルザークもヴァイオリンよりもヴィオラを弾いた。大作曲家にヴィオラ奏者が多いのは中音域を担当することと、作品全体を見通す能力との間には何らかの関係があるのかもしれない。ドヴォルザークの『鉄道オタク』ぶりのエピソードは、枚挙にいとまがありません。乗車目的とする「乗り鉄」、列車写真を趣味とする「撮り鉄」、鉄道の音を収集する「録り鉄」、車両を研究する「車両鉄」、駅が好きな「駅鉄」、時刻表が好きな「時刻表鉄」など様々な鉄道ファンがいる中、ドヴォルザークは毎朝、ナショナル音楽院とは正反対の方向にあるセントラル駅に出掛けて何時間も機関車を眺めたり、駅員と親しくなって新型車両の製造番号のチェックや模型を製作するなど、全体を見通す音楽性に通じているように思われる。ドヴォルザークの人気は若い聴き手には、チャイコフスキー、ブラームスに続く第3位を維持している。60歳以上の年齢層では、ベートーヴェン、マーラー、モーツァルトに抜かれ6位に甘んじている。最もやさしい作曲家との評価もある。ドヴォルザークは、アマチュアにとって最も演奏し易い作曲家と分類できよう。然しこれはアメリカから招聘を受ける頃からの傾向で、中期交響曲などはかなり手強い。→コンディション、詳細を確認する
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アルバン・ベルク四重奏団は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、ギュンター・ピヒラーにより1970年に結成。ラサール四重奏団に学び、ウィーンの音楽の伝統を尊重し、20世紀の音楽に対するプレーヤーのコミットメントを示すために、そしてアルバン・ベルク未亡人によって〝アルバン・ベルク四重奏団〟という名前の使用を許可され、1971年ウィーン・コンツェルトハウスでデビューし、忽ち国際的に活躍の場を拡げました。その名は、膨大なレコーディングによっても知られ、ベートーヴェン、ブラームス、バルトーク、ヴェーベルン、ベルクの弦楽四重奏曲全曲や、カーネギー・ホール、ウィーン・コンツェルトハウスなどでのライヴ録音など、多くの名盤が30以上の国際的な賞を受賞。ウィーン古典派とロマン派の伝統、また新ウィーン楽派との彼らの密接な関係を象徴し、更に現代音楽まで幅広いレパートリーをもち、ウルバンナー(1973、1993年)、ライターマイヤー(1974年)、ハウベンストック=ラマティ(1974、1978年)、フォン・アイネム(1976年)、ヴィムベルガー(1980年)、リーム(1983年)、シュニトケ(1989年)、ベリオ(1994年)、バルギールスキー(1999年)、シュヴェルトシク(2003年)らの作品を初演しています。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音は2度行われ、最初はスタジオ録音、2度目はウィーン・コンツェルトハウスでのライヴ録音でCDと映像でリリースされました。アルバン・ベルク四重奏団は、2005年、ヴィオラのトマス・カクシュカを死によって失うという悲劇に見舞われた。残されたメンバーは、彼らの信念とカクシュカの遺志を継いで、イザベル・カリシウスと共にコンサート活動を続けました。
  • Record Karte
  • Violin – Günter Pichler, Klaus Maetzl, Viola – Hatto Beyerle, Cello – Valentin Erben.1975年リリース。
  • DE TELE  6.41933 アルバン・ベルクSQ ドヴォルザー…
  • DE TELE  6.41933 アルバン・ベルクSQ ドヴォルザー…
ブラームス:弦楽四重奏曲第3番
アルバン・ベルク四重奏団
ダブリューイーエー・ジャパン
1996-05-20