34-17907
通販レコード→チューリップ盤

DE DGG SLPM138 822 リヒテル&カラヤン チャイコフスキー・ピアノ協奏曲

リヒテルのピアノ演奏は、その内面からくる音楽解釈の深さと卓越した技巧により常に私たちを魅了し続けており、現在でも多くの音楽ファンは楽曲の本質的な演奏をリヒテルに求めています。米ロの冷戦の最中、1960年の西側登場以前、以後ともに豊富な録音が残されていますが、本盤も其の中の一つです。ピアノ一音一音の粒立ちがハッキリしています。リヒテルのピアノソロは隔絶した高みにいるので、全体に一段も二段も止揚した高みに聴こえて来るから不思議。発見させられることばかりで、疑問を持つどころではない。カラヤンは音楽に甘さや感傷などいっさいまじえないのに十分に美しく、ガッチリとしているのにリリシズムにも欠けていない。そして勿論スケール大きな、リヒテルのピアノが入ってきます。まさに白熱の演奏で、リヒテルのピアノがオーラを発しているようだ。往年のジャズ・レコード愛好家には、コルトレーンがマイルスと組んだ時の気魂に類似しているといえば伝わるだろう。カラヤンは自分の音楽を優先するので、ソリストにはその音楽の中に溶け込むことを求めているのかもしれない。リヒテルも自分の音楽を優先するので、オーケストラに負けずに大きな音で弾いている。そのオーラを披露されているからファンには堪ったもんではない。ウィーン・フィルは翌日に初日を控えていたために、レコーディングを拒否。ウィーン交響楽団が代わりになったことで印象に残る異形レコードを、わたし達は今も聴くことが出来る。世評では名演だと言われている演奏が、弾いた本人は不満足な出来だと思っている曲が何曲もある。リヒテルには不満が残ったことを自伝にも書いているわけですが、でも、これはそうした破天荒なところが面白いのだ。
DE DGG  SLPM138B 822 リヒテル&カラヤン…
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