34-20817

商品番号 34-20817

通販レコード→独チューリップ ALLE HERSTELLER 盤

両端楽章のカデンツァはシュナイダ-ハン一世一代の大熱演 ― シュナイダーハンは同曲を3回セッション録音したほか、ライヴ録音も数種残しています。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーと共演したベートーヴェンは1953年のライヴ録音で、フルトヴェングラーの没後10年の1964年に初発売されました。シュナイダーハンは世にも優雅な音色をもつヴァイオリニストである。昭和27年刊行の渡辺護著「現代演奏家事典」(全音出版社)にはオペラや交響曲演奏会で、ヴィーナー・フィルハーモニカーのヴァイオリン独奏のところでシュナイダーハンが奏するのを、われわれは魅せられたように聞き入ったものだった。とある。ウィーン出身のヴォルフガング・シュナイダーハン(1915~2002)は神童として早くから活躍したあと、1937年からはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務め、戦中戦後の困難な時期に、ウィーンの音楽界を支えた一人でした。1949年、ソリストとして独立するためにウィーン・フィルのコンサートマスターを辞任。1950年代にはヨーロッパを中心に演奏活動を行い、1960年代からは世界に活躍の場を拡げました。1950年代後半から1960年代前半では、ヴィブラートを抑えた清潔な音色や引き締まった造形が演奏に反映され、ロマンティックな感情との相克が含羞の風情漂う演奏を生んでいます。そして1960年代後半になると、瑞々しい音楽性はそのままに、形式的にも精神的にもより自由度を増した境地へと至ります。彼が残した録音をあたってゆくと、そうした環境の変化が、彼の演奏スタイルにも影響を与えていたことが判ります。さて、渡辺護氏の記述にあるとおり、音色が甘美で柔らかく、旋律を歌い、格調高くもロマンティックな演奏を示していたのが、神童時代から1950年代前半の本盤録音の頃。気高く聳え立つ楽聖唯一のヴァイオリン協奏曲は、どちらかというと女性的で優美な作品という印象にあるが、苦しい時も、辛い時も、そこでのすべての経験があればこそ人々を共感へと導けるという思想の強かったベートーヴェンは、つんぼになろうが、女にふられようが、世間から歓喜を拒まれようが意にも介さなかった。すべてが必然であるとわかったがゆえに、彼は死を思い止まり、以降「傑作の森」と呼ばれる崇高な作品群を立て続けに書きあげていくことができたのだ。第2次世界大戦を共有した、この世紀の巨匠との共演盤は3種類残された録音の中で最も厳しく、最も燃え立った演奏として知られています。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは自身の著書「音と言葉」のなかで、ベートーヴェンの音楽についてこのように語っています。『ベートーヴェンは古典形式の作曲家ですが、恐るべき内容の緊迫が形式的な構造の厳しさを要求しています。その生命にあふれた内心の経過が、もし演奏家によって、その演奏の度ごとに新しく体験され、情感によって感動されなかったならば、そこに杓子定規的な「演奏ずれ」のした印象が出てきて「弾き疲れ」のしたものみたいになります。形式そのものが最も重要であるかのような印象を与え、ベートーヴェンはただの「古典の作曲家」になってしまいます。』その思いを伝えようとしている。伝え方がフルトヴェングラーは演奏会場の聴衆であり、ラジオ放送の向こうにある聴き手や、レコードを通して聴かせることを念頭に置いたヘルベルト・フォン・カラヤンとの違いでしょう。その音楽を探求するためには、ナチスドイツから自身の音楽を実体化させるに必要な楽団を守ることに全力を取られた。そういう遠回りの中でベートーヴェンだけが残った。やはりフルトヴェングラーに最も適しているのはベートーヴェンの音楽だと思います。カラヤンとは異世界感のシロモノで、抗わずに全身全霊を込めて暖かい弦楽器が歌心一杯に歌い上げた演奏で感動的である。フルトヴェングラーの音楽を讃えて、「音楽の二元論についての非常に明確な観念が彼にはあった。感情的な関与を抑制しなくても、構造をあきらかにしてみせることができた。彼の演奏は、明晰とはなにか硬直したことであるはずだと思っている人がきくと、はじめは明晰に造形されていないように感じる。推移の達人であるフルトヴェングラーは逆に、弦の主題をそれとわからぬぐらい遅らせて強調するとか、すべてが展開を経験したのだから、再現部は提示部とまったく変えて形造るというような、だれもしないことをする。彼の演奏には全体の関連から断ち切られた部分はなく、すべてが有機的に感じられる。」とバレンボイムの言葉を確信しました。これが没後半世紀を経て今尚、エンスーなファンが存在する所以でしょう。
  • Record Karte
  • 1953年5月18日ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ録音)
  • DE DGG LPM18 855 シュナイダーハン&フルトヴェングラ…
  • DE DGG LPM18 855 シュナイダーハン&フルトヴェングラ…