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通販レコード→独ブルーライン盤[クラブ・エディション]
カラヤン節の極み。 ― 長岡鉄男外盤ジャーナル及びレコード漫談推奨ディスク。メンデルスゾーン、ブルッフのヴァイオリン協奏曲のカップリング。哀愁を帯びた甘美な旋律のメンデルスゾーンと、創意の溢れるブルッフの2曲を収録、迸る情熱で奏でられるソロと壮麗で重厚なオーケストラの響きが織りなす演奏です。カラヤンの録音で一番充実しているのは1970年代後半から80年代前半の録音。再録音の多いチャイコフスキー、ドヴォルザーク、ベートーヴェンと1970年代の演奏は緊張感が違うと思う。円熟してカラヤン節の極みとでも言える。レコード録音の壺を先天的に把握していたカラヤンのオーケストラの鳴らしっぷりは、ダイナミック・レンジが非常に大きい。ノイズに埋もれないレコード録音の理想を手に入れて、弱音部では繊細きわまりない音楽を作り出し、強奏部分では怒濤の迫力で押してくる。その較差、落差と云ってもいいのかな、他の指揮者ではなかなか見られないカラヤン流の演出。ベルリン・フィルの迫力も頂点に達している。個々の楽器が当然のように巧いし、全体がよく揃っている。ムターもカラヤンの意図を良く理解している。カラヤンの教えに忠実に弾いているのか、2人共に同じ目標を目指していたからか、現在のムターのスタイルも延長線上にあるのでカラヤンの美点を吸収したのかもしれない。個人的には大評判のメンデルスゾーンよりブルッフの演奏の方が好みである。録音もブルッフの方が優秀。音場はワンポイント録音のような広がりがあり、ドイツ・グラモフォンらしい切れもある。初期のデジタル録音の良さが出た優秀録音盤と言っていい。
カラヤンはムターの演奏を聴き「奇跡のようなヴァイオリニストを発見した」と絶賛し、1977年にザルツブルグで共演した。これが大きな反響を呼び、翌78年には初録音をカラヤン指揮ベルリン・フィルの伴奏で行った。この時、ムターは僅かに14歳だったが、デビュー・アルバムとなったモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番、5番で、すでに彼女は揺るぎのない安定した技術と大家のような風格を持っていた。その後、ムターは20歳になるまでカラヤンとベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、ブルッフ、チャイコフスキーといった超有名協奏曲を録音していった。本盤は『カラヤンと華麗なるソリストたち』の一枚に数えられている当時17歳のアンネ=ゾフィー・ムターが初めて挑戦したロマン派ヴァイオリン協奏曲の名作2曲のレコーディング。どちらもたった2回のセッションで録音されました。17歳のムターがカラヤン&ベルリン・フィルに臆せず立ち向かっていっている姿が彷彿とさせられる白熱したところを感じます。メンデルスゾーンではカラヤン&ベルリン・フィルの厚みのある響きがムターのソロを盛り立て、スケールの大きな演奏を繰り広げています。冒頭からムターが存分にその美音を発揮している。良く響き、よく歌うヴァイオリンはこの曲に対してまさにはまり役。艶のある低音域と凛と張詰めた高音、いずれも全く濁るということがないのは奇跡的である。純粋な美音というイメージであり、甘さはさほど強調されない。演奏スタイル自体が素直で嫌味な装飾がない。カラヤンは大きく包み込むようにサポートしているが、自己表現をかなり抑え、ムターが気持ちよく演奏できるように黒子に徹しているようだ。白眉はブルッフ。かつては三大ヴァイオリン協奏曲に位置づけられていた名曲だけに数々名演奏は聞きましたが、これほど迫力に満ちた演奏は初めて聞くような新鮮さを感じます。この曲は協奏曲としては変わった構成で、第1楽章には「前奏曲」というタイトルを付け、第2楽章がメイン、第3楽章が終曲となっています。聞き所は第2楽章の瑞々しいロマンティシズムで、ムターの魅力が最大限に発揮されています。クライマックスは、これがとても協奏曲の伴奏とは思えぬ素晴らしさで、ムターの力強いヴァイオリンとともに曲の美しさを満喫できます。もちろんカラヤンは威圧的にねじ伏せるようなところはなく、ムターのヴァイオリンを受けて立っているものの、だからと言って手加減はしていない、そんな感じを受けます。
戦時下、作曲家の名を伏せて数々の演奏家が奏でた協奏曲は、平和に憧れて、みんなで新しく作った曲と言って良いのではないか。
レコード・アカデミー賞受賞盤。1980年9月ベルリン、フィルハーモニー。ギュンター・ヘルマンス録音、ギュンター・ブリーストのプロデュース。優秀録音、名盤。2532 016 と同マスターを使用した『クラブ・エディション』。
DE DGG 40 0051 カラヤン&ムター メンデルスゾ…
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