DE  DGG  2707 064 ギレリス&ヨッフム  ブラームス・ピアノ協奏曲1-2番

商品番号 34-10997

通販レコード→独ブルーライン赤文字盤[オリジナル]

鋼鉄のピアニスト・ギレリスのすごさが如実に味わえる。ただただうっとり。 ― エミール・ギレリスは、西側で自由に活動することをソ連政府から許された最初の芸術家だった。また、スビャトスラフ・リヒテルやラザール・ベルマンのことを、自分より優れたピアニストとして西側に紹介したのもギレリスだったといわれている。彼はそのことについて一度も語ったことはなかった。誰かを助けることを好んだが、それを人前で明らかにすることはなかった。多くの人たちが、助けられたことを今もって知らない。人助けをした時には、他人に口外するものではない ― これはギレリスの言葉である。ギレリスは、鋼鉄のタッチと通称される完璧なテクニックに加えて甘さを控えた格調高い演奏設計で非常に評価が高い。バロック時代のスカルラッティやバッハ、ロマン派のシューマンやブラームス、さらにはドビュッシーやバルトーク、プロコフィエフといった20世紀音楽に至るまで幅広いレパートリーを持っていた。プロコフィエフからはピアノ・ソナタ第8番を献呈され、1944年12月29日にはこの作品を初演してもいる。とりわけベートーヴェンの解釈と演奏においては、骨太で男性的な演奏で「ミスター・ベートーヴェン」と呼ばれるほどであった。1970年代からドイツ・グラモフォンで録音を開始し、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、グリーグ等の作品を録音。晩年には骨太な表現が鳴りを潜め、力を抑えた枯淡の境地と言える表現に変わっていった。ギレリスのピアノ演奏は、その内面からくる音楽解釈の深さと卓越した技巧により常に私たちを魅了し続けており、現在でも多くの音楽ファンは楽曲の本質的な演奏をギレリスに求めています。米ロの冷戦の最中、西側登場以前、以後ともに豊富な録音が残されていますが、ギレリス50歳前後、まさに脂の乗り切った絶頂期の録音で若い時から比類ないと云われてきた完璧なテクニック、ピアノを豪快に鳴らしきった明快な音はそのままに、表現は一層深みを増している感じ。永年、いやこれからも筆頭に挙げられ続けているブラームスの名盤中の名盤として君臨する。そのことに異論はない。ピアノの力量の凄いことはわかる。然し、こういうふうにやらなくても、ブラームスの圧倒的な凄さを現せるのではないかとついおもってしまうのだ。そうした本盤は、巨匠オイゲン・ヨッフムやベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の懐深い統率の賜物といえるでしょう。1972年にベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたこれらの協奏曲は、この教会での録音ならではの野太い音質も功を奏し、どこをとっても音響が充実しているという意味では、これ以上の演奏は考えられないというくらい気持ちのよい音がリスニング・ルームを埋め尽くしてくれます。
ギレリスの協奏曲録音のなかで重要な位置を占める名盤の誉れ高い1972年録音。〝鋼鉄のピアニスト〟と呼ばれるだけあり、力感に満ちた表現を聴かせます。ただ、やり過ぎという感じはなく、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共に強い構成感を感じます。さらにオイゲン・ヨッフムとベルリン・フィルが絶妙なアンサンブルで、素晴らしいブラームスを奏でている。名ピアニストの故エミール・ギレリスは強靱なタッチで迫力ある演奏を聴かせるばかりでなく、とっても繊細でロマンティックな所もあり、その対比が絶妙で実に素晴らしい。骨太のピアノとベルリン・フィルの完璧なアンサンブルは素晴らしい。でも、この演奏のよさがわからない。おそらくヨッフムとの相性も良いのだと思います。同時期にヨッフムはドレスデン国立管弦楽団とブルックナーの全集をEMIに入れている。それゆえか、ヨッフムがベルリン・フィルから見事なブラームス・トーンを引き出し、重厚感たっぷりの演奏を聴かせ、ドッシリ構えてギレリスをサポートしています。ブラームスのピアノ協奏曲は、オーケストラが重要な役割を果たす場面が連続する作品で、それだけに指揮者とオーケストラには、まるで交響曲のような演奏のグレードが求められるため、これまで名盤といわれてきたものの多くが、有名オーケストラと指揮者によるものだったのも頷けるところです。そうした名盤群の中でも、もっと気骨のある演奏が聴きたいと思ったとき、本盤は最適な巡り合わせとなる。このギレリスのパワフルなスケール大きなピアノと立ち向かった、名指揮者ヨッフムの質実剛健なサポートで、ヘルベルト・フォン・カラヤン時代全盛期の豪華かつピラミッド型のドイツサウンドの典型と言えるベルリン・フィルによる壮大な演奏で、堅牢なブラームスの曲構成の図抜けた存在感を示していたものでした。20世紀ドイツを代表する名匠ヨッフム(1902〜1987)は、1902年11月バーベンハウゼン生まれ。ドイツ・グラモフォンへ数多くの録音を特に1950、1960年代という壮年期に行っています。ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーという三大Bの作品では、最も熱く、渋く、重厚、そしてロマンティックで熱情的な演奏は、現在においても名盤として称賛され続けています。1972年にベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたこの協奏曲は、従来のピアノ協奏曲とは一線を画した〝ピアノ付き交響曲〟といった趣の、気宇広大ともいえるスケールがある。抑制された沈鬱感が横溢する晦渋さを湛えた作品。ヨッフムとベルリン・フィルの純ドイツ的な響きも聴きもの。録音はややオーケストラから距離をおき、ピアノは適度に位置します。
オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum、1902年11月1日〜1987年3月26日)は、バーベンハウゼン生まれ。アウグスブルク音楽院でピアノとオルガンを学び、1922年よりミュンヘン・アカデミーでハウゼッガーに指揮を学ぶ。1949年にバイエルン放送交響楽団の設立に関わり、音楽監督を1960年まで務め同楽団を世界的レベルにまで育てた。演奏スタイルに派手さはなく地味ではあるが、堅固な構成力と真摯な態度、良い意味でのドイツ正統派の指揮をする。やはり本領はバッハ及びロマン派音楽と思われる。彼は音楽を自己の内心の表白と考える伝統的ドイツ人で、したがってバッハ、ブルックナー、ブラームスに於いては敬虔な詩情を迸っている感動的な名盤を生むが、モーツァルトの本質を探ろうとするほどに湧き溢れて来るがごとき心理的多彩さや、ベートーヴェンの英雄的激情、それにリヒャルト・シュトラウスの豊麗なオーケストラの饒舌を表現するには乏しい結果となっている。ヨッフムがはたして、すでに成長すべき極言まで達してしまった人なのか、それともさらに可能性が期待できるのか、いつまでも巨匠の風貌に至らないのが、好感とともに焦燥を禁じえないが、おそらく同世代のカール・ベーム、エドゥアルト・ファン・ベイヌム、ヘルベルト・フォン・カラヤンたちに比べれば個性と想像力において弱く、名指揮者にとどまるのではないかと思われた。ところが、後年のヨッフムの録音活動の活発さは目を引いた。戦前のSPでは、わずかにテレフンケンのベートーヴェンの「第7」「第9」ほどだったのと比べて、彼が晩年型の指揮者と称されることを簡易に理解できる面だろう。ベルリン放送交響楽団(1932~34年)、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団(1934~49年)、バイエルン放送交響楽団(1949~60年)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1961~64年)、バンベルク交響楽団(1971~73年)とオーケストラ首席指揮者を務めた変遷を見ると、バイエルン放送響以外は短いのに気づくが、同時に2つのオーケストラを兼務することをしていないことも見て取れる。そうした、一つ一つの歴任を経て来たことは彼の律儀な性格のあらわれかも知れない。でも彼の真価が本当に発揮されるのは1970年代に入ってからで、幾つかの楽団を渡り歩いたのちの70歳代になってからである。シュターツカペレ・ドレスデンとのブルックナー交響曲全集やロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とのブラームス交響曲全集、そしてロンドン交響楽団とのベートーヴェン交響曲全集をのこしたのもすべてこの時代である。ヨッフムは若い頃からブルックナー作品に熱心に取り組み、やがてブルックナー協会総裁も務めるなど権威としてその名を知られるようになります。交響曲全集も2度制作しているほか個別の録音も数多く存在しますが、晩年に東ドイツまで出向きシュターツカペレ・ドレスデンを指揮してルカ教会でセッション録音したこの全集は、独墺でのさまざまなヴァージョンによる演奏など、数々の経験を膨大に蓄積したヨッフム晩年の方法論が反映された演奏として注目される内容を持っています。その演奏は重厚で堂々たるスケールを持っていますが、決してスタティック一辺倒なものでは無く、十分に動的な要素にも配慮され起伏の大きな仕上がりを示しているのが特徴でもある。ベートーヴェンの交響曲も重要なレパートリーとしており、交響曲全集についてもドイツ・グラモフォン(1952〜61)、PHILIPS(1967〜69)、EMI(1976〜79)と3度にわたって制作しています。長大なキャリアの最初から最後まで、常にレパートリーのメインに据えられた重要な存在だったベートーヴェンだけにロンドン響を指揮した晩年の録音でも、味わい深い演奏を聴かせてくれています。早熟な天才指揮者ではなかったが、長く生き、途切れること無くオーケストラを相手したことで職人指揮者で終わることもなかった。
1972年6月12、13日ベルリン、イエス・キリスト教会でのクラウス・シャイベによるセッション、ステレオ録音。2枚組。
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