DE  DGG  2530 302 アマデウスSQ ハイドン・弦楽四重奏
通販レコード→独ブルーライン盤

DE DGG 2530 302 アマデウスSQ ハイドン・弦楽四重奏

商品番号 34-9999

室内楽の鑑 ― 名門アマデウス四重奏団が、1970年代にレコーディングしたハイドン作品集は機械的で正確なアンサンブルという以上に、4挺の楽器が骨の髄まで溶け合い、何とも親密で流れの良い音楽を紡ぎ上げていきます。最も室内楽の鑑と言うに相応しい録音のひとつでしょう。
ヨーゼフ・ハイドンは1732年に生まれ、1809年に亡くなっています。その77年の生涯は、29歳から58歳までを過ごした30年に及ぶエステルハージ時代を中心に、それ以前とそれ以降の3つの時期に分けて考えることができます。「エステルハージ以前」の28年間は、幼少期の声楽やさまざまな楽器演奏の修行、青年期に入ってからの作曲の勉強により、弦楽四重奏曲を多数作曲したほか、十数名という小編成オーケストラのための交響曲を作曲して指揮するという実地経験により高いスキルを身につけた時期。続く「エステルハージ時代」の30年間は、楽才にも恵まれたニコラウス・エステルハージ候のもと、二十数名規模のオーケストラも常設され、安定した境遇下で膨大な作品を作曲・演奏しています。シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒涛)様式と言われるスタイルが導入され、数多くの交響曲やピアノ・ソナタ、弦楽四重奏曲、協奏曲、そしてオペラやオラトリオが書かれたほか、ニコラウス候が熱中していたヴィオラ・ダ・ガンバに似た楽器「バリトン」を主役にした「バリトン三重奏曲」も大量に作曲されています。それに伴い海外での名声も高まって、1780年代なかばからは作曲依頼が舞い込むようになり、『十字架上のキリストの最後の七つの言葉(管弦楽版)』や、『パリ交響曲集』、『ドニィ交響曲集』などの傑作が生み出されます。「エステルハージ以降」の19年間は、二度のロンドン長期滞在により、国際的な知名度を獲得した時期で、市民がお金を払って訪れるコンサート・ホールという環境で、大型のオーケストラを駆使して演奏される楽曲を創造した円熟の頂点ともいうべき時代でした。
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本盤は「第1トスト四重奏曲」集に含まれる《弦楽四重奏曲第57番ハ長調Op.54-2》と《弦楽四重奏曲第58番ト長調Op.54-1》の2曲。この曲集から、ハイドンの円熟期の作品と考えることが出来ますが、大きな特徴は、これまでの曲集で行なってきた実験が、最早実験としてではなく、重要な表現の手段として用いられているということでしょう。表面上はあくまでも明快、しかしながら、気のおもむくまま如何様にも変化し得る、という遊び心を備えた世界は、はなはだ痛快です。序奏のようなアダージォで始まり、それが朗々といつまでも気持ち良さそうに続いてしまいます。かなり行ってから、ふと気が付いたようにロンド風のプレストのテーマが登場します。一見バロックのフランス風序曲を思わせますが、精神的には全く異なった音楽で、聞く人の予想の裏をかいて楽しんでいるような趣があります。ハイドンの弦楽四重奏曲では第1ヴァイオリンにソリスティックな節が頻繁に出てくる。技巧も問われるが、かといってひたすら清潔に弾いてしまうだけではハイドンの音楽は楽しめない。その点アマデウス四重奏団では品よく上品な音楽より、泥臭いロマンティシズムに満ちた曲が絶品。ハイドンの愛嬌あるフレージングが技巧的なパッセージに絶妙の彩りを添える。
元気を出したいときによく聴く、不動のメンバーが晩年に残した珠玉のハイドン。アマデウス弦楽四重奏団は1948年に結成され、1987年に活動が停止するまで、約40年もの長きにわたり演奏活動を続けてきました。アマデウス四重奏団の演奏は、はじめて聞くアマチュアの演奏に「良い曲だな」と思う時に似ている。そういうところからか何度聴いても、初めて聴いた時の感激と興奮が戻ってくる。常に同じメンバーで、アンサンブルに磨きをかけ続けたアマデウス弦楽四重奏団が、晩年に残した珠玉のハイドン作品集。その演奏スタイルは格好良さとは無縁、一所懸命だけど全然厳しくなく、心底アンサンブルを楽しんでいる仲間たちの姿が伝わってきて、とっても微笑ましく音楽を聴く楽しさを享受するのにアマデウス四重奏団とハイドンとの相性は最高です。
Munchen, Residenz, Plenarsaal der Akademie der Wissenschaften, 10/1971。

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