34-18145
商品番号 34-18145

通販レコード→独ナローバンド ED4盤
ブラームスの秘曲ともいえるカンタータ ― アバド唯一のセッションになるブラームスの『リナルド』ではテノールのジェームズ・キングを起用して、決して息苦しくならない、むしろ明るい希望を予感させるオペラティックな表現に特徴がある。クラウディオ・アバドは、1966年2月~1969年1月の間、デッカにLP9枚分の録音を行いました。この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。アバドが最もアバドらしい時代の演奏群で、大変すばらしい演奏ばかりです。彼のデビュー盤はベートーヴェンの「第7交響曲」でした。今までこういった演奏をする人はおらず、聴衆には大変な刺激になったであろう事がよくわかります。その他、現在ほとんど演奏される機会の無いブラームスの『リナルド』、当時は野心的なプログラムだったブルックナーの「交響曲第1番」やヒンデミットの録音など、若き日のアバドによる劇的で鮮烈な名演が刻まれています。ブラームスの秘曲ともいえるカンタータ。後年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でヨナス・カウフマンをソロに迎えてのライヴもあるので思い入れがあったのだろう。本盤はその、最初の録音。ブラームスは、いうまでもなくオペラを書かなかった作曲家で、それどころか表題音楽的な作品も非常にすくない。そんなブラームスの、オペラに一番近いジャンル作品がこのカンタータ。ブラームスの30歳台の作品で、「ドイツ・レクイエム」と同時期。『リナルド』の原作は、ゲーテの詩による。聖地へ向かう航海の途上、魔法使いのアルミーダの誘惑にとらわれてしまう十字軍に参加した戦士リナルド。それを励ます仲間たちに助けられ、次第に彼を愛するようになったアルミーダも共に解放し、妃として一緒に帰還する、ハイドンやグルックもオペラとして取上げている物語。オーケストラと合唱とテノールのためのカンタータで、明快で聴きやすい。アルミーダ役の女声と対話するわけではなく、当然、どこをどう聴いても、ブラームスの響きがする。かなり謹厳な音楽をキングが楽しみやすく和らげている。普段ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスで聴きなれた、劇場向けの解放的な歌声が時として顔を出す。劇的というより〝演劇的〟な傾向で聴かせる、若き日のアバドの名演のひとつ。宗教作品でもないから、思ったほどの取っ付きにくさはなく、美しい旋律も豊富。アバドとキングの唯一の貴重な競演。健康的で明朗かつヒロイックな独唱、渋くしかし雄弁に語る合唱団(アンブロジアンシンガーズ)、安定感のある響きと各パートの個性的な音色が魅力のオーケストラ(ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)、の三者を着実にしかもスケール大きく纏め上げているストレートでわかりやすい、若手指揮者らしい表現とも言える。アバドが好むヘルダーリンの詩による伸びやかな作品「運命の歌」は、真摯さや誠実さはこの頃から変わりなし。また合唱団の〝厚さ〟は『リナルド』同様に強烈なインパクトを与えてくれる。都合3度録音していて、どれもが素晴らしい演奏。ベルリン・フィルの退任コンサートでの演奏などは、涙を誘う名演なのだ。
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)は1933年6月26日、イタリア・ミラノ生まれの指揮者。ヴェルディ音楽院の校長を務めた父のもとで育ち、1954年からウィーン音楽アカデミーで学ぶ。父のミケランジェロ・アバドはイタリア有数のヴァイオリンの名教育者であり、19歳の時には父と親交のあったトスカニーニの前でJ.S.バッハの協奏曲を弾いている。オペラ監督のダニエル・アバドは息子、指揮者のロベルト・アバドは甥である。1959年に指揮者デビューを果たした後、ヘルベルト・フォン・カラヤンに注目されてザルツブルク音楽祭にデビューする。ベルリン・フィルやウィーン・フィル、シカゴ、ドレスデンなどの桧舞台に早くから客演を重ね、確実にキャリアを積み重ねて、1968年にミラノ・スカラ座の指揮者となり、1972年には音楽監督、1977年には芸術監督に就任する。イタリア・オペラに限らず広大なレパートリーを高い質で提供しつつ、レコーディングにも取り組んだ。1990年、マゼールなど他に様々な有力指揮者らの名前が挙がった中、カラヤンの後任として選出されベルリン・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督に就任し、名実共に現代最高の指揮者としての地位を確立した。アバド時代のベルリン・フィルについて、アバドの音楽的功績や指導力については評価はかなり様々であるが、在任年間の後期の成熟期におけるベルリン・フィルとの録音として、ベートーヴェン交響曲全集(2回目・3回目)や、ヴェルディのレクイエム、マーラーの交響曲第7番・第9番、ワーグナー管弦楽曲集、等々がある。現代音楽もいくつか録音されており、世界最高の名器たる実力を余す所なく披露している。楽曲解釈は知的なアプローチをとるが、実際のリハーサルではほとんど言葉を発さず、あくまでタクトと身体表現によって奏者らの意見を募る音楽を作っていくスタイルだという。その点がアルゲリッチの芸風と相性が良いのだろうか、マルタ・アルゲリッチとも多くの録音がある。比較的長めの指揮棒でもって描かれる曲線は力強くかつ繊細であり、自然なアゴーギクとともに、色彩豊かな音楽を表現するのが特徴である。
ジェームズ・キング(テノール)、アンブロジアンシンガーズ、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、1968年録音。
DE DEC SXL6386 アバド&キング ブラームス・リ…
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