AU QUALITON LPX1070 ジェルジ・レヘル リスト・ダンテ交響曲
通販レコード→豪イエロー・ラベル茶文字盤

AU QUALITON LPX1070 ジェルジ・レヘル リスト・ダンテ交響曲

商品名AU QUALITON LPX1070 ジェルジ・レヘル リスト・ダンテ交響曲

教会のオルガンの響きを保持した、中音域の充実した高級ウールの感触 ― フンガロトン( Hungaroton )はハンガリーの国営レコード会社。共産国時代の演奏がクリアな録音で聴ける。今の商業録音のポリシーの中でこういう演奏が録音される可能性はまずゼロである。共産主義というものは真の演奏芸術を保存するという意味においては鮮度の高い間保持されていただろう可能性を秘めていたとも思う。この録音はその証しだろう。オーケストラの原型を教会のオルガンを模した響きとしてドレスデン・シュターツカペレが、その遺伝子を保持したシルクの感触とすると、本盤の感触は高級なウールだ。
斯門(ここ)()ぎて()くところ惆悵(なげき)城市(まち)ぞ、斯門(ここ)()ぎて()くところ永遠(とわ)懊歎(なやみ)ぞ、斯門(ここ)()ぎて()くところ泯滅(ほろび)甿庶(たみ)ぞ、()れ 義は至崇(いとたか)造花翁(ぞうかおう)をも(うご)かして、全能の上帝(かみ) (いと)高き叡智(えいち)さてはまた、原初の愛など()玄門(げんもん)にしつらえしか。永劫(とわ)なるものを除きては斯門(ここ)のみまえに被造物(つくられしもの)とてあるなし。かくありて、斯門ぞ久遠(くおん)存立(ながら)へてあるなる。斯門に入る衆庶(もの) 一切の宿望(のぞみ)捨離(すて)よ。
リストは若い頃からダンテの愛読者であり、彼岸の旅人ダンテの『神曲』に感化されて作曲。当初の構想では『神曲』の構成に合わせて「地獄」「煉獄」「天国」の3楽章からなるはずであったが、作曲開始後にワーグナーに宛てた手紙の中でこの交響曲の構想を明かしたところ、「天国の喜ばしさを音楽で表現するのは不可能だろう」という意見が返ってきた。そこで計画を変更し、第2楽章の終わりに「マニフィカート」を女声合唱(または児童合唱)で歌わせ、天国を仰ぎ見つつ終結する交響曲とした。本盤ではハンガリー放送女声合唱団とリスト・フェレンツ賞を得ているルーマニアの名花マルギート・ラースロー( Margit László )のソプラノで歌われる。
ジェルジ・レヘル( Lehel György, 1926-89 )は1926年ブダペスト生まれのハンガリー人指揮者。個人教授で音楽教育を受け、1946年デビュー。1958年ブダペスト交響楽団 ― 彼が首席指揮者を務めた頃の名称は、ハンガリー放送管弦楽団 ― の指揮者の一人となり、1962年音楽監督・首席指揮者。1968年イギリス・デビュー。ソビエト、アメリカ、日本、ヨーロッパ各地で活躍、1974年にはバーゼル放送交響楽団(スイス)の常任指揮者となる。これらによりブダペスト交響楽団終身指揮者の地位を得る。リスト賞(1955年、1962年)、コシュート賞(1973年)を受賞する。ヤーノッシュ・フェレンチク( 1907-84 )と並んで、第2次世界大戦でハンガリーから外に出なかった国宝級の指揮者である点では、ジョージ・セル、フリッツ・ライナー、ゲオルグ・ショルティ、ユージン・オーマンディ、フェレンツ・フリッチャイ、イシュトヴァン・ケルテスなどが西側に出たのに対し、国に残って自国の楽壇を支えた。米国に渡った指揮者らが選んだ「スコアを正確に明晰に鳴らす演奏」スタイルは、イタリア移民であるトスカニーニに倣うところが顕著な、当時の米国の音楽メディアが圧倒的にラジオ放送依存だったことに関係がある。残響の少ないオペラハウスで情熱的なイタリア・オペラを振ってきたトスカニーニの音楽性は適任だった。同様に、ハンガリー人亡命指揮者たちの理知的で明晰さを重んじる音楽性もその流れに沿ったものだった。一方、低音を基盤としたピラミッド型の音造りと、教会のオルガンの残響の多い音響は欧州で伝統的である。ハイファイ 的な高音域、低音域の強調は全くなく、中音域が厚めのオーケストレーションが見事に鳴っている。そして、小聡明く強弱のデフォルメやキレの良いアレグロで興奮を煽らない、元祖ハンガリー系であるレヘルの指揮はライナーやショルティとは大きく違う。木管の和音はオルガンに似て、金管はオルガン的に和音を支える。個人芸に走らない弦楽器グループは中音の美を十全に醸し出し、存在感はあるが木管、金管とブレンドして、奥ゆかしい音色を作る。
ハンガリー録音、1967年初発。
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